リチャード・ジュエル
クリント・イーストウッド監督/ポール・ウォルター・ハウザー、サム・ロックウェル/2019年/アメリカ/Netflix
1996年のアトランタ・オリンピックで発生した爆破テロ。警備員のリチャード・ジュエルは事前に爆破物を見つけて被害者が増えることを防いだことにより、当初は英雄として称えられるものの、その後FBIから自作自演の容疑者ではとして疑われ、これがマスコミにリークされたことから、一転して世間の非難の的に……。
そんな実話を映像化したクリント・イーストウッド作品。『ハドソン川の奇跡』もそうだったけれど、晩年のイーストウッドの関心は、もっぱら正しいことをしたにもかかわらず、その正義が報われなかった人を描くことに向いているらしい。
イーストウッドの演出の常で、この映画も過剰に感動的な話にはなっていない。実話ベースなので、主人公のリチャード・ジュエルを演じるポール・ウォルター・ハウザーは太り過ぎでぱっとしないタイプだし、正義漢ではあるけれど、銃器マニアのちょっぴりあぶなそうなところのある人として描かれている。
そんな彼を救う弁護士の役がサム・ロックウェル。もとよりうさん臭い役どころを演じさせたら抜群の人だけれど、ここでのうだつのあがらない弁護士役はまさに適役。あと、ジュエルの母親役がキャシー・ベイツ。このふたりのキャスティングがこの映画のいちばんのセールス・ポイントだと思う。
うん、でもほんとサム・ロックウェルがいいです。最近のこの人の出演作はどれもいい役ばかり。マイ・フェイバリット俳優ランキング急上昇中。
(Sep. 05, 2021)