2023年5月の映画

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  1. RRR

RRR

S・S・ラージャマウリ監督/N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア、ラーム・チャラン/2022年/インド/シネ・リーブル池袋

 ゴールデンウィークのイベントってことで、話題のボリウッド映画『RRR』を映画館で観た(何週間前の話だ)。日本語、英語、フランス語以外の映画を劇場で観るのって初めてかもしれない。
 この映画に関しては、テレビで紹介されていたふたつのシーン――橋で子供を助けるシーンと、宮殿に猛獣を放って襲撃するシーン――があまりに規格外だったので、これは絶対に観なきゃと思って、せっかくだから映画館へ足を運ぶことにした。
 だからといって定価で観るのは嫌だから、映画の日を選んでいったらば、だ。
 池袋の小さめのシアターだったこともあるけれど、満席でした。
 公開から半年以上たってんだよ?
 まぁ、ふだんは映画館に足を運ばない僕が観たいと思ったくらいだから、そういう人がほかにもいたんだろうし、そもそもリピーターが続出しそうな映画でもある。さすがにもう公開終了した映画館がほとんどだから、観られる映画館がもうそこくらいしかなかったってのもあるんだろう。
 いや、それにしてもこの期に及んでチケット完売ってのがすごい。満席の映画館で映画を観たのっていつ以来だろう。とんと記憶にない。
 まぁでも、これは評判を呼んで当然だと思う。ここまでこてこての娯楽映画はそうそう観られない。
 舞台は1920年代のインド。イギリス人の総督に奪われた部族の娘を取り戻すべく指名を受けてデリーに潜伏したビーム(N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア)と、わけあってイギリス軍に仕えているラーマ(ラーム・チャラン)が、ひょんなことから知り合い――それが冒頭の橋の傑作シーン――お互いの身分を知らないまま友情をはぐくむも、美しき友情の日々は長くはつづかない。ついに敵対する日が訪れ……というような話。
 で、ふつうだとそんな主人公ふたりの対決シーンがクライマックスになりそうなところを、この映画はそこから二転三転――いや、それどころか四転五転――する。そんな数多くのエピソードを特殊撮影の超絶アクション――あと歌と踊り――をふんだんに盛り込んで、ケレンミたっぷりに描いてゆく。
 とにかく、なにもかもがもう過剰でこてっこて。それを三時間を超える長尺でみせるんだから、とにかくその熱量がはんぱない。まるでよくできたアクション・ロールプレイング・ゲームを実写で観ているみたいな気分になった。
 ご都合主義?――オッケー、だってそのほうがおもしろいじゃんって。エンタメなんだから観る人を楽しませなくてどうすんのって。
 そういうあっけらかんと開き直ったサービス精神が終始一貫していて、とてもすがすがしいかった。インド映画すげー。
(May. 27, 2023)