スウィート17モンスター
ケリー・フレモン・クレイグ監督/ヘイリー・スタインフェルド、ウディ・ハレルソン/2016年/アメリカ/Apple TV
『トゥルー・グリッド』や『ホークアイ』で魅力的な演技を見せたヘイリー・スタインフェルドが主演だということで観た青春コメディ。
もてない思春期の女の子を主役にした映画というと、『ゴーストワールド』とか『ブックスマート』とかを思い出すけれど、この作品はその二作品と比べると残念ながら出来がいまいち。
冒頭でいきなりヘイリー・スタインフェルド演じる主人公が、担任の教師(ウディ・ハレルソン)に詰めよって、「これから私は自殺するから」とのたまうところからこの映画は始まる。で、時間軸を戻して、どうして彼女が自殺するほど思いつめることになるかまでを描いてゆくのだけれども。
この主人公がどうにも共感を呼ばない。
子供のころから人とはズレていて、ルックスもいまいち。イケメンの兄ばかりが可愛がられる家庭で孤独感を育み、唯一の親友が大嫌いなその兄とつきあい始めたことに憤慨して、彼女とも絶交するという展開で、彼女はどんどん孤独になってゆく。
でもさ。観ていて兄貴がとくに悪い奴だとも思えないし、親友との喧嘩も一方的で、たんに主人公が心が狭くて残念な子にしか思えない。彼女に思いを寄せる隣の席のアジア系男子とのかかわりあいも中途半端だ。
とにかく、あふれる性欲をもてあまし気味でどうしていいかわからない十代の女の子の暴走を、まるで作り手もどう描いたらいいかわからないまま映像化して、最後に適当なハッピーエンドをつけました、みたいな作品。つまらないとまではいわないけれど、いまいち残念な出来栄えだった。
それにしてもこの映画に『スウィート17モンスター』なんてタイトルをつける日本の配給会社のセンスはあいかわらずだ。この映画のどこにスウィートな要素があるんだって問いたい(まぁ、確かにエンディングは甘々だけど)。
原題は "The Edge of Seventeen』。その名の通り、もっとエッジの効いた邦題をつけて欲しかった。
(Jun. 09, 2024)