Coishikawa Scraps / Movies

2026年2月の映画

Index

  1. ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期
  2. ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今
  3. トレイン・ドリームズ

ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期

シャロン・マグワイア監督/レネー・ゼルウィガー、コリン・ファース、パトリック・デンプシー/2016年/イギリス、アメリカ、フランス/Netflix

ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期

 WOWOWで『ブリジット・ジョーンズの日記』シリーズ四部作が一挙に放送されたので、せっかくだから旧作も含めていっき観した。

 僕が最初の二作品を観たのがもう二十年前。この第三作目は前作から十二年後に公開されている。

 一作目で三十路の誕生日を迎えたブリジットさんもすでに四十代。前作では結婚して当然って終わり方をしたのに、マーク(コリン・ファース)との関係は結局うまくゆかず、いまだ独身のままテレビ局で働いている。

 キャストにヒュー・グラントの名前がないと思ったら、今回の彼はすでに故人という扱い。序盤に彼の葬儀のシーンがあって、そこでブリジットがマークとひさびさの再会を果たすことになる。

 その後、仕事仲間のミランダ(サラ・ソルマーニ)にグラストンベリーへと誘いだされた彼女は、パトリック・デンプシー演じるジャックと出逢って一夜をともにし、翌週には親友の赤ん坊の洗礼式でふたたびマークと逢って、こちらともベッドイン。でもって、三ヵ月後に妊娠が発覚して、子供の父親がどちらかわからずに、両者を巻き込んで右往左往のドタバタ騒ぎを引き起こすことになる。

 ブリジットが妊娠!――という展開に驚いていたら、原題は『Bridget Jones' Baby』だった。あらら。あらかじめ予告済みだった。

 なんにしろ、主演の組み合わせこそ変わったけれども、冴えないヒロインがイケメンふたりとの三角関係に右往左往するという展開はこれまでと一緒。今回はそこに出産という一大イベントが加わっているところが肝だ。

 あと、ロックファンとしてはグラストンベリーを観客目線で見られるがちょいお得。目玉は本人役で出演して、笑いを誘っているエド・シーラン。

 音楽といえば、定番のラブソングたっぷりだった旧作とは違って、今回はヒップホップや『江南スタイル』なんかがかかるのも時代を反映していておもしろかった。

 そういや、今回ブリジットはタバコをやめている。十二年でずいぶん時代が変わったなぁって思った。

(Feb. 11, 2026)

ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今

マイケル・モリス監督/レネー・ゼルウィガー、キウェテル・イジョフォー、レオ・ウッドール/2025年/イギリス、フランス、アメリカ/WOWOW録画

ブリジット・ジョーンズの日記 サイテー最高な私の今

 前作からさらに九年後。五十代になったブリジットさんのいまを描くシリーズ第四作――にしておそらく最終作。

 前作の最後にじつはダニエルは死んでませんでした、という続編への含みみたいなものがあったので、ふたたびマークとダニエルとの三角関係が主題になるのかと思ったら、さにあらず。

 今回はコリン・ファース演じるマークはすでに故人だし、ヒュー・グラントも出番こそあるけれど、すっかり気のいいおじいちゃんって感じになっていて、ロマンティック・コメディの主役を演じるには無理がある。

 ということで、今回ブリジットさんのお相手を務めるのは、『ドクター・ストレンジ』に出ていた黒人のキウェテル・イジョフォー(名前ムズ過ぎ)と新人のレオ・ウッドールで、どちらも年下。原題は「男の子に夢中」みたいな意味なので、前作同様、今回もそれを知っていれば、ある程度は予想ができる内容だったわけだ。

 物語はマークに先立たれて、ひとりで二児を育てるシングルマザーとなった彼女の、新しい恋と仕事と子育ての模様を描いてゆく。

 とにかく、若くてかわいい女の子が主役を演じるのがあたりまえのロマンティック・コメディにおいて、三十代でスタートして、五十過ぎまでシリーズ化されたというのは、きわめてレアケースでしょう。それもこれもレネー・ゼルウィガー(日本語表記がレニーからレネーに変わったらしい)という人の個性があってこそ。

 そんな彼女の親友たち三人――サリー・フィリップス、シャーリー・ヘンダーソン、ジェームズ・カリス――が、一作目からずっと同じキャスティングで出演しているのもこの映画のいいところ。テレビ局の同僚たちも同じだし、前作で産婦人科の担当医をつとめたエマ・トンプソンも引きつづき出演してる。

 恋愛劇としては今回もどうしてそうなるってくらいにイージーだけれど、笑ってなんぼなこのシリーズ、そこをつべこべいうのも野暮ってもの。ディテールの粗とかエッチなギャグに目くじらたてず、笑って流せる呑気な人向けのコメディです。

(Feb. 14, 2026)

トレイン・ドリームズ

クリント・ベントリー監督/ジョエル・エドガートン、フェリシティ・ジョーンズ/2025年/アメリカ/Netflix

 毎年恒例ネトフリで配信されているアカデミー賞候補作を観ようシリーズ。今年の一本目は二十世紀の初頭のアメリカに生きたブルーカラーの孤独な男性の生涯を描く文芸作品。

 原作はデニス・ジョンソンの中編小説とのことで、あとから知って、まさか読んだことのある作家の作品だったとは……と驚いた。

 予告編――というか本編映像を使ったニック・ケイヴの主題歌のミュージック・ビデオ――の映像の美しさに惹かれて観ようと思った作品で、こと映像に関しては期待を裏切らない素晴らしさ。最近の映画には珍しく、画角がワイドスクリーンではなく、ブラウン管サイズだったのにはいささか戸惑ったけれど、もしかしたらスナップ写真的な映像美を意識した結果なのかなと思ったりした。

 物語は親に見捨てられ、誕生日も知らずに育った天涯孤独な男性が、ゆきずりの町で出逢った女性と恋に落ち、その土地で家庭を持ち、子供を授かり、つかの間の幸せを味わうも……というような話。

 主演はジョエル・エドガートンという人で、ヒロインが『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』のフェリシティ・ジョーンズ。あの映画から十年たっているけれど、イメージはあまり変わらない。素朴で飾らない役どころが素敵だった。

 主人公のロバート・グレイニアは無学なので、肉体労働者として働かざるを得ず、愛する妻子をおいて、鉄道施設にともなう材木伐採の仕事に出かけてゆく。彼の家も町から離れた川沿いにぽつんと建つ手作りの一軒家だし、主人公がつねに自然のなかで暮らしているため、スクリーンに映し出されるのは前世紀のアメリカの豊かな自然の風景。ときおり電車や町の風景も映るけれど、とにかく印象的なのは自然の美しさや清々しさ。主人公が無口なこともあって、美しくも静かでもの悲しい作品だった。

 孤独な主人公が自然の中で生きる姿を淡々と描写している点では、五年前にオスカーを制した『ノマドランド』に近いものがあるけれど、こちらはその映像美ゆえだろうか、あの映画には感じなかった、おだやかな悲劇がもつ優しいカタルシス? みたいなものがある気がする。とてもよい映画でした。

(Feb. 21, 2026)