Coishikawa Scraps / Movies

2026年3月の映画

Index

  1. フランケンシュタイン
  2. ONE PIECE シーズン2

フランケンシュタイン

ギレルモ・デル・トロ監督/オスカー・アイザック、ジェイコブ・エロルディ/2025年/Netflix

 メアリー・シェリーの名作『フランケンシュタイン』をギレルモ・デル・トロが映画化、しかも冒頭は原作通りに北極のシーン!

 ――ってことで楽しみにしていた作品。

 でもこれがいまいち思っていたのと違った。

 原作にある程度は忠実なのだろう(読んだのがずいぶん前なのでディテールはまったく忘れてしまった)。北極探検船の船長の手記から始まって、フランケンシュタイン博士の手記、そしてモンスターの手記と、三重の入れ子になった書簡小説の形式をとっている原作に基づき、この映画も同じ構成にはなっている。

 ただ、フランケンシュタインが生み出したモンスターのもつ超常的な再生能力は絶対にこの映画のオリジナル。どんな怪我をしても、それこそ銃で撃たれても、爆弾を仕掛けられて爆破されても死なない。どんな傷もあっという間に治癒してしまう。

 人によって生み出されたにもかかわらず、人類を超越した唯一無二の不死の存在。それゆえに天涯孤独な彼の、癒されることのない悲しみを強調するために、あえてそういう設定にしたのかもしれない。

 でも僕にはそこが残念だった。不死の彼に向って、探検隊の隊員たちは遠慮なく発砲する。彼も自分に仇をなそうとする相手に遠慮なく殺す。両者のあいだで繰り広げられるそんな殺伐としたバトルにはいささか辟易としてしまった。

 正直こういうのはもう食傷気味なんだよなぁ……。『フランケンシュタイン』でまで、そんなアベンジャーズや週刊少年ジャンプ的なアクションは観たくなかった。そういう余計なバトルシーンなしだったら、きっともっと好きになれたと思う。ギレルモ・デル・トロにそれを期待するのが間違いなんだろうか? まぁ、異形の者を愛する彼らしい作品なのは確かだけれども。

 出演者はフランケンシュタイン博士役がオスカー・アイザックで、彼のパトロン役がクリストフ・ヴァルツ。僕が知っているのはこのふたりだけ。怪物役を演じているジェイコブ・エロルディもこれからはきっと有名になるんだろう。とはいえずっと特殊メイクをしているので、ほかの映画で彼の顔を見てもわからないこと間違いなし。

(Mar. 12, 2026)

ONE PIECE シーズン2

イニャキ・ゴトイ、新田真剣佑、エミリー・ラッド、ジェイコブ・ロメロ・ギブソン、タズ・スカイラー/2026年/Netflix(全8回)

 世界中で大評判だという噂の『ONE PIECE』実写版ドラマの第二シーズン。

 今回はチョッパーが仲間に加わるというのが最大の見どころだったわけだけれども、そこに至るまでも見せ場がたっぷりだった。

 まずは麦わら海賊団がグランドラインへと向かう最後の島で、海賊王の処刑台を見上げるルフィがいい。新たな冒険の始まりに胸躍らせる感じが素敵。

 そしていざグランドラインへ!――というその入り口にあるリバースマウンテンの奇妙奇天烈なダイナミックさ。その出口に待ち構えている巨鯨ラブーン!

 巨大サボテンの島ウイスキーピークでのゾロの百人斬り!

 リトルガーデンでのエルバブの巨人たちとの出会いに、ドルドルの実の能力者ミスタースリーとのバトル!

 そしてドラム王国でのチョッパーとの出逢い!

 もうどれもこれも映像がすげー! 尾田栄一郎のあの絵がそのまま実写になっているのがひたすら感動的――というよりは、おかしすぎて笑っちゃうレベル。マンガだから特に気に留めていなかった尾田栄一郎のビジュアルセンスの奇抜さが、実写になったことでやたらと強調されている。

 前述した数々の風景はとにかくすごいんだけれど、加えてクロッカスとか、ドクター・ヒルルクとかが、マンガのまんまのへんてこりんな髪型で実写化されているのがいい。こんなものを世界中の人が大喜びで観ていると思うとやたらとおかしい。とくにヒルルク。あんなヘアスタイルの人に泣かされることってなかなかないよ?

 ドラム王国でルフィが無断借用するナミのコートとかもマンガのまんまで再現されているし、とにかくひたすら原作に忠実なところがこのドラマの最大の魅力。さすが尾田栄一郎ご本人が監修に参加しているだけのことはある。原作だとこの時点ではまだ出てこないキャラがちらほら顔出ししているのにもぐっとくる。

 まぁ、イガラムさんはもっと大きい人がよかったなとか、そのほか主要キャラにもいささかイメージが違う人はいるけれど(誰とはいいません)、それでも全体としての完成度には文句なしだ。

 日本が世界に誇る天才漫画家の奇天烈なビジョンが、マンガに興味のない人たちにも届く理想的な形で実写化されたという事実に祝福を――。

(Mar. 27, 2026)