Coishikawa Scraps / Movies

2026年4月の映画

Index

  1. エミリー、パリへ行く シーズン5
  2. ドールハウス
  3. 爆弾

エミリー、パリへ行く シーズン5

ダレン・スター制作/リリー・コリンズ/2026年/Netflix(全10話)

 前のシーズンではそろそろ終わってくれよと思ったこのドラマ。

 それからしばらくあいたせいか、今回はなんだかふつうに楽しく観れてしまいました(いい加減)。

 前回の最後に話が持ち上がったローマ支社の話は、今シーズンの前半だけであっけなく決着。後半からはふたたびパリを舞台に物語が展開する。エミリーもまたイメチェンした。今シーズンのヘアスタイルはショート。

 あと意外だったのが、ガブリエルが本編から離脱したこと。店のオーナーのアントワーヌ(ウィリアム・アバディー)との意見の相違から店をやめて、なんと大富豪のヨットの専属シェフとして世界旅行に随行することに……。

 かわりに前シーズンでエミリーの恋人になったイタリア人のマルチェロ・ムラトーリ(エウジェニオ・フランチェスキーニ)との関係がシーズン通してメインになっている。仕事も彼が実家から独立して立ち上げる新ブランドの話が中心。

 エミリーの元カレのアルフィーも出てくるけれど(結婚したんじゃなかったでしたっけ?)、すでにエミリーとは友達ということで落ち着いたらしく、今回ふたりのあいだにはなんの波風も立たない。エミリーが三角関係に悩んでいないのって、シーズン初のような気がする。

 ただしそのアルフィーが今度はミンディーに惚れて、彼女と復縁したニコラ(ポール・フォーマン)との三角関係に苦しんだりしている(懲りない)。エミリーの上司シルヴィアは年の離れた若い愛人ができたと思ったら、それが訳ありな青年だったり。脇役たちのドラマもいろいろにぎやかだ。

 そういやミンディーのバンド仲間がどこか行っちゃって一度も出番がなかったけれど、彼女のバンドは解散したんでしたっけ? 断続的にぼんやりと観ているから、いろいろディテールの記憶が怪しい。

 前回マルチェロの登場とともに始まったイタリア・ローマ編は、このあともしばらくつづくのかと思ったら、今シーズンでもってあっさりと終了の模様。世界旅行に出たままシリーズから離脱するのかと思ったガブリエルの復帰がほのめかされて、ドラマは次のシーズンへ――。

 どうやら次回の舞台はギリシャらしい。

(Apr. 11, 2026)

ドールハウス

矢口史靖監督/長澤まさみ、瀬戸康史/2025年/日本/WOWOW録画

ドールハウス

 主題歌が気になって観た春の邦画二連発。

 一本目はずとまよの『形』が主題歌のホラー映画。監督の矢口史靖やぐちしのぶという人は僕よりひとつ年下だから、うちの奥さんと同い年だ。

 僕はホラー映画ってあまり興味がないし、うちの奥さんも「洋画はともかく邦画のホラーは怖くて嫌」って人なので、ずとまよが主題歌でなかったら、99%観ていなかったと思う。どちらかというと、好きなアーティストの曲が使われているからって理由で映画を観るほうが珍しい。エレカシが主題歌の映画もけっこうあるけれど、これまでひとつも観たことがないわけで。

 それなのにこれを観ようと思ったのは、『形』のリリース前にその曲が聴きたくて観た予告編がなんだかとてもおもしろそうだったから。亡くなった我が子のかわりに等身大の日本人形を愛でる長澤まさみの演技にはなんともいえない不気味さがあった。ずとまよ主題歌だし、たまにはこういう映画も観てみようって思った。

 でもこの映画、僕が予想していたホラーとは若干違った。

 前半の不気味な展開はだいたい期待通りだったんだけれど、人形の「あや」ちゃんの出自が明らかになる後半、田中啓司や安田顕が出てきて、人形が主演のふたりの手を離れたあたりからは、いまいちホラーっぽくなくなる。原因不明の怖さが、原因がわかったことで薄れてしまったというか。

 人形の由来が特殊すぎるせいで、長澤まさみが蚤の市だか骨董市だかで偶然人形を手に入れるという冒頭の展開がやたらと不自然で、全体的な物語の整合性が足りない気がする。変な因縁話をつけずに、この人形怖いねぇ……くらいで押し切ってくれた方が僕としては嬉しかった。

 結末もあまり好きではないけれど、まぁとりあえず主人公夫妻の次女が最後まで無事でなにより。冒頭で最初の子が命を落とすまでの展開はほんと嫌だった。いきなり観たのを後悔しました。ひとりだったら、あそこでやめていたかも。

(Apr. 22, 2026)

爆弾

永井聡監督/山田裕貴、佐藤二朗/2025年/日本/Netflix

 ひきつづき春の邦画祭り。二本目も宮本のMV(映画の予告編的なやつ)を観たら、なかなかおもしろそうだったので観ることにした作品。

 『国宝』が主要部門のタイトルを独占する勢いだった今年の日本アカデミー賞で、佐藤二郎が『国宝』の三俳優を退けて最優秀助演男優賞を獲得したサスペンス・スリラー。主題歌は宮本浩次だっ! 佐藤二郎はうちの弟と同い年だ!(だからなんだ)

 一昨年の『ラストマイル』と一緒で、これも連続無差別爆破テロ事件の話。そういや去年観た『新幹線大爆破』もそうだったし、立てつづけにこう爆弾を使った無差別殺人の映画ばかり作られるのをみると、この国はいささか病んでいるのではないかって気がしてくる。

 まぁ、それを喜んで観る僕らのような観客がいるからこそ作られているんだろうから、偉そうなことはいえない。

 物語は佐藤二郎演じる身元不明な愉快犯(暴行罪だか器物破損だかで現行犯逮捕されて尋問を受けている)と、彼がくりだす謎々仕立ての爆破予告に振り回される刑事たち――最初が染谷将太で、二番手が渡部篤郎、最後が山田裕貴――の尋問室でのやりとりを中心に進んでゆく。現場で捜査にたずさわる巡査の役で伊藤沙莉も出演してる。

 佐藤二郎の演技はさすが最優秀助演男優賞もの。気色悪くて小憎らしい。

 ただし彼のキャラクター設定はいささか説明不足な気がした。優秀な刑事たちを挑発しつづけ、つねに上手をゆく彼の優秀さの所以がきちんと説明されていないから、事件が解決してもいまいち気分がすっきりしない(単に僕が見過ごしただけ?)。思わせぶりな終わり方をしていると思ったら、原作には続編があるようなので、いずれ映画化されるんだろうその続編を観ろってことなのか。

 とりあえず、映画としてはおもしろかったけれど、やはり大規模なテロ事件を描く物語としては、犯行の動機づけに説得力がない気がする。『ラストマイル』や『新幹線大爆破』もそうだったけれど、そんな動機でこんな大事件を起こされてもなぁって思ってしまう。まだ金のためっていわれたほうが納得できる。

 日本中を騒がすような一大事件の背後には、レクター博士のような、一般人の感性を超越した、純粋な悪の化身にいて欲しい。逆にそういうキャラクター造形ができないのならば、気安く無差別殺人なんて起こさないでくれたほうがありがたい。

 それにしても、こういう映画の主題歌に『I AM HERO』なんてタイトルをつける宮本って、やっぱどこかずれている気がする。

(Apr. 24, 2026)