Grace and the Bigger Picture
Johnny Foreigner / 2009 / CD
去年のサマソニで来日して素晴らしいステージを見せてくれたUKの白黒男女混声スリー・ピース・バンド、ジョニー・フォーリナーのセカンド・アルバム。
すでに発売から一ヵ月以上になるのに、アマゾンUKを見ると、いまだにひとつもレビューがないので、本国ではほとんど売れていないらしい。おっかしいなぁ、なんで売れないんだろう。やかましくて明るくて最高なのにと思う。
基本的に僕は売れ線のものにしか反応しない、かなり平凡な趣味をしているという自己認識があるので──まあ、あまり音楽を聞かない人からしてみると、お前はいったいなにを聴いているんだと思われてしまうのかもしれないけれど──、自分が気に入ったバンドがここまで売れてないというのは、かなり意外だったりする。
まあ、バンド名はなんとなくあか抜けないし、曲名も長くて覚えにくいのが多いので、もしかしたらその辺の言語感覚の問題で、ネイティヴなイギリス人の鼻につくなにかがあるのかもしれない。
なんでも「ジョニー・フォーリナー」というのは、イギリス人が外国人を揶揄するときの呼び方だそうで──なんだったか忘れたけれど、この前読んでいた小説にも出てきて、おっと思った──、どこぞのインタビューでギター・ボーカルのアレクセイが、「うちのお祖父ちゃんがそう言っているのを聞いて、おもしろいなと思ってバンド名にした」みたいなことを言っていたので、あまり若い人は使わない言い回しなんだろう。確かにあまりロックな感じはしない。僕がミスチルやドリカムをバンド名のせいで敬遠しているように、それがブレイクの妨げになっていやしないかと、あらぬ心配をしたくなってしまう。
まあ、売れないバンドを好きになって、「僕だけのもの」みたいな感じで悦に入るのも楽しいかもしれないけれど、末長くつきあうには、やはり最低限のポピュラリティーは必要不可欠だ。好きになったバンドが、売れなくて明日には解散なんて憂き目にあうのは見たくないので、ぜひともブレイクして欲しいと思う。マジで。
とはいえ、ファーストと比べてこのセカンドで大きく飛躍を遂げたという感じもないので──というか、音楽的にはほとんど前作と変わらない気がする──、やはり現状のままではブレイクは難しいのかなぁと思う。願わくば、いずれは単独での来日公演ができるくらいになってくれると嬉しいんだけれど。
(Dec 09, 2009)