幸せよ、この指にとまれ
エレファントカシマシ / 2010 / CD [Single]
5月にリリースされたエレカシの最新シングル。この数ヶ月、音楽について書くのを怠けていたせいで、すっかり取りあげるのが遅くなってしまった。
この曲、ライヴで初めて聴いたときから、いい曲だなぁ、シングルにしたら売れそうだなぁ、と思っていたんだけれど、いざシングルとしてリリースされてみたら、意外とセールスはふるわなかった。僕にはどうもいまどきの売れ線ってやつがまるでわかっていないらしい。
でもまあ、なんにしろこれはいい曲だと思う。歌詞はややベタ過ぎる気がしないでもないけれど、それでもおおらかであかるくて前向きで、宮本のボーカルの伸びもよくて、聴いていて気持ちいい。ブリッジの部分でアレンジがドコドコとダイナミックになるところとか、いきなり語りが入るところとかも、いかにも宮本節って感じだし。ユニヴァーサル移籍以降のシングル曲では、僕はこれが一番好きかもしれない。
カップリングの 『赤き空よ!』 も似たような方向性の曲。これもいい曲だとは思うんだけれど(うちの奥さんは大好きらしい)、個人的には歌い出しのメロディが 『君の瞳に恋してる』 みたいなところが、いまいちしっくりこない。
なんにせよ、どちらの曲もこのごろのエレカシらしく、とても明るい。風通しがいいというか、自然体で明るい。ポニー・キャニオンのころのように「これで本当にいいのか?」と思わせるようなところがない。いまのエレカシがこれまでで一番好きとまではいえないけれど、それでもそういう開放感のあるところには好感が持てる。
初回限定盤についてくるライブCDは、全10曲入り45分というフル・アルバム並みのボリュームは嬉しい(価格も良心的だし)。ただ、残念なこともふたつほど。
ひとつはギターのボリュームが控えめなこと。思いきりボーカルが前に出たミックスで、宮本の歌が聴けりゃいいって人にはいいのかもしれないけれど、個人的にはもっとガーガーギターを鳴らして欲しかった。ま、近頃は生で聴いてもこれくらいのバランスのような気がしないでもないけれど。
もうひとつは──これについては誰もが同意見だと思うけれど──、全10曲が1トラックになってしまっていて、好きな曲だけ頭出しができないこと。どういうつもりでこういう仕様にしたんだか知らないけれど、選曲自体は3日間のダイジェストなんだから、わざわざ1トラックにまとめるこたぁないだろうよと思う。
(Jul 30, 2010)