マニフェスト
RADWIMPS / 2010 / CD Single
「僕が総理大臣になったら」──という時事的フレーズを連発しながら、いつもどおりの恋愛至上主義にのっとった野田節炸裂のおかしな公約を並べてみせる、キャッチーなロック・ナンバー。
まあ、自分のうちから彼女のうちまで電車を走らせてみたり、彼女の両親に国民栄誉賞を送ったり、国旗を彼女のあの形にしてみたりと、「なに言ってんの、きみ」って言いたくなるようなふざけた歌ではあるんだけれど。
それでも「君のこと苦しめるすべてのものを苦しめよう」「最後はこの国から追い出そう」と歌う野田ヨージローは、じつはとてもマジなのではないかと思う。少なくても僕は、そんな風に「愛する国民をすべての苦しみから解き放とう」と思ってくれる政治家がいてくれたら、どんなにいいかと思う。きっと沖縄だっていまみたいなことにはならなかっただろう。ふまじめな中にもそういう真摯な思いがちゃんと透けて見えるところがこの曲のいいところだ。
カップリングの 『やどかり』 もいい。「おならが恥ずかしくなったのはいつからだろう」という歌い出しはちょっとどうかと思うけれど、それでも「せめて今は持って行こう。抱えきれないほど持っておこう」と歌うサビのメッセージには共感せずにいられない。実際、かかえきれないくらいのものに囲まれて、こういう歌に励まされてなんとか生きている僕にとっては、まさしくどんぴしゃの歌だから。
(Sep 16, 2010)