Destiny
エレファントカシマシ / 2014 / CD[Single]
テレビドラマの主題歌となったエレカシの最新シングル。
『Destiny』というタイトルを聞いた途端に、そりゃ駄目じゃんと思ってしまう。僕はそういうファンです。以上。
――っていって終わりにしたい。べつに悪い曲だとは思わないけれど、それでもこれは僕の好きなエレカシじゃない。
とにかくそのメッセージがまーったく心に響かない。「時計回りの日々」ってサビのフレーズはとてもキャッチーだし、ポップミュージックとして適度に耳に残るけれど、ただそれだけ。この曲からは、かつて僕の人生を変えたほどの特別さは微塵も感じられない。けっして嫌いじゃないけれど、かといって好きかと問われるとなんともいえない。
とにかく「愛を求めて」だの「光の先へ」だの。そうした紋切り型な言葉の選択が凡庸すぎてつまらない。そして、そうした凡庸さがいつの間にか宮本のトレードマークのひとつになってしまった感さえある、そこが気に入らない。べつに俺は宮本に光の向こうになんて行って欲しくない。ふつうに地に足をつけて歩いていて欲しい。
なまじ BUMP OF CHICKEN や RADWIMPS のように、かつてのエレカシに負けないオリジナルな言葉を持ったあとの世代が、世間におもねることなく、確固たる地位を築いていたりするだけに、宮本にはいまこそ、かつてのようなとんがったところをみせて欲しいと思う。ここまでくれば、どんな歌を歌ったって、ある程度のファンは残るだろうし。
──というか、『待つ男』がアンコールの定番として定着するような時代ですよ? いまさらどんな曲を歌ったって、コアなファンは離れないだろう。逆に宮本が宮本らしい歌を歌って離れてしまうようなファンならば、いなくなってくれたほうが、チケットが取りやすくなっていいとさえ、僕なんかは思う。
願わくば、こういうテレビタイアップつきの曲をシングルで出しておきながら、たいして売れずに終わるなんてカッコ悪いことはしないでいただければと切に思います。
(Jul 27, 2014)