Butterflies
BUMP OF CHICKEN / 2016 / CD
前作『RAY』から2年足らずという短いインターバルでリリースされたBUMP OF CHICKENのメジャー6枚目のスタジオ盤。
エレカシが3年アルバムを出さなかったのも珍しいけれど、反対にバンプが2年もしないで新譜をリリースするのも珍しいというか、じつにメジャー・デビュー以来初の快挙。今回はその間もコンスタントにシングルをリリースしていたので、なおさら短い感じがする。
前作同様、収録曲にはその間のシングル曲5曲をすべて含むため、純粋な新曲は6曲だけ。ただ、僕個人は今回のシングル群をあまり聴き込んでいなかったので、全体的な印象はとても新鮮だった。聴いたことのある曲も、このアルバムのなかで聴くと、よりよく聴こえる。シングルではそれほど好きだと思わなかった曲まで、妙にヴィヴィッドに心に響いてくる。
とくに個人的には『You were here』がよかった。前回のツアーの途中で、オーディエンスへの贈り物として作られたアンサー・ソングだけれど、このアルバムの中に置かれたことで、ファンへと向けた藤原くんのメッセージが、さらに切実に伝わってくるように感じがする。こんなに沁みる曲だったっけ? と思ってしまった。
これぞアルバムであるがゆえの相乗効果。それぞれの曲がおたがいを引き立てて、アルバム全体のイメージをより広がりのあるものにしている。
配信ビジネスの普及により、楽曲が一曲ずつ流通するのがあたりまえの時代になってしまったけれど、それでもやっぱりアルバムで聴くのって違うよねって。そこには絶対になにか特別なものがあるって。そう思わせてくれるところが素晴らしい。
オープニングの『GO』やアルバム・タイトルにつながる『Butterfly』では、『ray』で聴かせた大胆な打ち込みの採用をさらに推し進め、真正面からEDMにアプローチしてみせている。それらのキラキラとした華やかな音のイメージが強いこともあって、今作のイメージはとても明るい。
BUMP OF CHICKEN のこれまでの作品の中でも、とびきり明るくポジティヴなイメージを持った、とてもいいアルバムだと思う。
(Mar 13, 2016)