P.Y.L
illion / 2016 / CD+DVD
野田洋次郎のソロ・プロジェクト、illionのセカンド・アルバム。
海外進出を前提とした前作とは違って、今回はあまり海の外のことは気にしてない感じがする。英語の曲が多いけれど、日本語の曲もそれなりにある。とくに言葉にはこだわらず、創作意欲のおもむくまま、RADWIMPSとは違った形で自分自身の音楽と向きあった結果として生まれた音楽なのかなと思う。
音作りは打ち込みでいま現在の洋楽シーンの最新モードをなぞった印象。前作では『BEEHIVE』のように、そのままRADWIMPSに持っていってもよさそうな曲があったけれど、今回はそこはきっちりと分かれているように思う。あちらでやれることはあちらで、ソロはソロで別のことをって感じ。
とにかく、あまりコンセプトには縛られずに、いまの自分の内側から溢れ出てくる音楽を、いま現在の音楽シーンの方向性にのっとって表現してみたという作品なんだろう。
あえてなにに似ているかといえば、トム・ヨークのソロっぽい。あそこまで緻密な構築性は感じないけれど、ゆっくり静かな鍵盤のバラードとエレクトロニカが同居しているところに似た感触がある。
ボーナス・ディスクに収録されているのはファースト・アルバムのMVやライヴ映像が中心。このアルバム自体、もともとシングルとしてリリースする予定が、レコーディングの過程でふくれあがってアルバムになったという話のようだし、RADWIMPSの課外活動で生まれた音やらなにやらを、ここらでひとつにまとめて出しておこうという、棚卸し的な作品なのかなという印象を受けた。
ライヴ映像ではギタリストが元・東京事変の浮雲だったり、野田くんがWiiリモコンを演奏に使ったりしていてびっくりしました。
(Nov 05, 2016)