余命10年
RADWIMPS / 2022
RADWIMPS、通算三作目となる映画のオリジナル・サウンドトラック。
新海誠とタッグを組んで作った前の二枚とは異なり、今回はアニメではなくて実写――しかもヒロインが不治の病に苦しむ恋愛もの――なので、内容もそれ相応のものになっている。
歌ものは最後の主題歌『うるうひと』一曲だけだし、インストの曲調もアップテンポなものは皆無。いつごろレコーディングした作品なのかわからないから、確かなことはいえないけれど、桑原くんが活動休止中なので、その影響もあるのだと思う。これまででもっともギターの出番が少ない。
ということで、主となるのは洋次郎の素朴で優しい音色のピアノ。そこにオーケストラでいろいろ味をつけたって感じの曲が大半という印象だった。
前の二枚は、歌が入ることによって起承転結がついていた感があったけれど、今回はずっと映画の流れをインスト曲だけで辿っていって、最後に『うるうひと』でクライマックスを迎えるって感じの仕上がりだった。
映画を観たあとで、ひとつひとつ曲名を確認しながら聴くと、あぁ、ここはあのシーンなのかと、映画のシーンがよみがえってきてじーんとくるけれど、逆にいうと、映画を知らないで聴くと十分にその魅力を味わえない作品という気もする。
そういう意味では、ラッドとしては、これまででもっとも映画のサントラらしいサントラかもしれない。
CDのブックレットは16ページ分の小松菜奈と坂口健太郎の写真集みたいなので、映画のファンの人は買って損はないと思います。眺めているだけでけっこうくるものがある。
ただし、音楽ファンとしては、最近のCDは楽曲や演奏者のクレジットが知りたくて買っているようなものなので、個々の楽曲ごとにそれらのデータがきちんと書いていないのが不満。暗黙の了解ってことなのか、作詞・作曲のクレジットさえない――少なくても僕は見つけられなかった――のはさすがにどうかと思う。
(Aug. 07, 2022)