no public sounds
君島大空 / 2023
『関ジャム』で蔦谷好位置が2023年のベストワンに選んでいた曲『c r a z y』が収録された君島大空のセカンド・アルバム。
蔦谷くんとはいまいち趣味があわなくて、彼のお薦めした曲の大半はふうんって感じでスルーしがちなんだけれど、この人だけは引っかかった。隙間の多い音作りとギターの音色に、お、これはもしやいいのでは?――と思った。
で、後日サブスクで聴いて、おーと思った。
音が椎名林檎――というか、東京事変みたいだ。
セルフ・プロデュースで、大半は自作自演。でもっておそらく二十代でしょう?
それでいてこの完成度はすごくない?
まぁ、新しさは感じない――というか、逆に不思議と懐かしい感触があるけれど、その温故知新な感触も心地いい。
あと、その独特な声がすごい。中性的で。
一聴して、え、この人ってもしかして女の子?――って思ったくらい。
こんな歌を歌う人、僕はほかに知らない。
ギター・オリエンテッドな凝ったアレンジと、繊細で柔らかで優しくて脆い印象の性別不詳のボーカルが妙に癖になる。
ここ数年はずとまよ中心にダンサブルな音楽ばかり聴いていたので、こういうメローな音楽にどっぷり浸るのもひさしぶりだった。
(Mar. 29, 2024)