1Q84 BOOK 1, 2
村上春樹/新潮社(全2巻)
記録的な大ベストセラーになっているという噂の、村上春樹の五年ぶりの長編小説。
僕はここ数年、年がら年じゅうこの人の手がけた翻訳作品を読んでいるので、あまりひさしぶりって気がしないのだけれど、言われてみれば、前作 『アフターダーク』 からもう五年も過ぎている。どうにも年をとると時間が過ぎるのが速くていけない。
なにはともあれ、待望の春樹さんの新作なのだけれども。
うーん。僕にはこの小説をどう語っていいのかわからない。読み終わってから、かれこれ十日以上になるというのに、それ以来ずっと感想を書きあぐねている。いい加減、この本ばかりに時間を割いてもいられないので、どうにかしないといけないとは思うのだけれど、どうにもこうにも、適当な言葉が出てこない。
つまらなかったから?
いや、そうじゃない。この小説は十分おもしろかった。ひさしぶりに本を読んでいて、読み終わるのが惜しいとさえ思った。一ページ、一ページを
でも、それでいて僕はこの作品を、あまり高く評価する気になれないでいる。楽しく読ませてもらいはしたけれど、個人的には感心しないところも少なくなかった。結果として、なにかを書こうとすると、ネガティブな言葉が先に出てきてしまう。
このところの僕は、数日前に飲んだアルコールがいつまでたっても抜けないみたいな感じで、すっかり頭の回転が鈍くなってしまっている。こんな状態で、自分にとってもっとも重要な作家の一千ページを超える労作に対して、つべこべ言いたくない。
ということで、おそまつながら、この作品に関する感想は保留。まあ、この作品自体、あまりに多くのものごとが宙ぶらりんのままに終わってしまっていて、 『ねじまき鳥クロニクル』 のようにあとから第三部が出る可能性も少なくなさそうなので──だからこそ春樹氏も上・下巻じゃなく、Book 1、2としたのだろうし──、そうなったらばそのときに、あらためてきちんと考えたいと思います。あしからず。
(Sep 12, 2009)