ねずみとり
アガサ・クリスティー/鳴海四郎・訳/クリスティー文庫/早川書房/Kindle
短編集『愛の探偵たち』に収録されていた『三匹の盲目のねずみ』の戯曲版。
もともとラジオ・ドラマのための脚本として書かれた話だということなので、形式的にはこちらのほうがオリジナルに近いものと思われる。
小説版を読んでから日が浅いので、さすがに物語は記憶に新しくて、ミステリとしての謎解きを楽しむというわけにはいかない。なので興味は味つけの違いということになる。音楽でいえば、スタジオ版とライブ版の違いを楽しむ、みたいな感じ。
とはいえ、スタジオ版の音がどんなだったかなんてすっかり忘れているので──さすがにメロディーは覚えているけれど、アレンジの相違を確認できるほど聴きこんでいない状況──印象的には、あれ、ちょっぴりキャラクターの設定が違っている? というくらいの印象でしかなかった。
できればもっと間をおいて読んだほうがよかったとは思うけれど、そこは全作品を時系列で読むという企画の副作用だから、致し方なし。
それにしても二度も同じ話をつづけて読むと、できたら舞台も観たいなって気分になる。
(Jul 29. 2018)