星の王子さま
サン=テグジュペリ/浅岡夢二・訳/ゴマブックス/Kindle
僕はあまり読書とは縁のない家庭で育ったので、子供のころに童話や児童文学をたしなんだ時期がまったくない。
記憶にあるいちばん古い読書体験はシャーロック・ホームズや江戸川乱歩だし(最初から殺人事件)、そんな読書歴を持つ男が、それ以前にさかのぼって児童文学を読もうなんて思うはずもなく。大学時代に英米文学の基礎教養として『不思議の国のアリス』くらいは読んだけれど、結局、児童文学はそれが最初で最後くらいの勢い。
ということで、いまごろになって生まれて初めて読みました、『星の王子さま』。理由はいつものパターンで、Kindle版がディスカウントで安かったから(百円とかだった)。
でまぁ、傑作といわれるだけあって、それなりにおもしろかったけれども、やはり五十すぎの中年男では感じ入るにも限度があるなぁと。こういう作品でわざわざあらすじを書くのも興ざめだし、となると、これといって書くことがない。なぜこの電子書籍の挿絵はこんなに小さいんだろうと不思議に思うばかり。
とりあえず、イノセンスとナンセンスとアイロニーたっぷりで、最後にちょっぴりペーソスが加わっているところが人気の秘訣とみました。
──って。あぁ、なんて身もふたもない。
(Feb. 13, 2019)