ひどい民話を語る会
京極夏彦・多田克己・村上健司・黒史郎/KADOKAWA
京極夏彦がそのタイトル通り、友人らとともにひどい民話について語った対談集。
ひどいってどういうことかと思ったら、全三部構成のうち、もっとも長い第一部はほぼすべて下ネタ――うんことかおならとか――の話ばかり。えー、そういうひどさですかっ。
桃太郎にもさまざまなバリエーションがあって、そのうちのある地方の話では、お婆さんが川へ洗濯にゆくのは、お爺さんがお便所に落ちたから、糞尿まみれになったその着物を洗うためだとか。ううん、そりゃ確かにひどいんですが。
柳田國男先生は上品な人だから著作ではほとんど取り上げなかったけれど、じつは日本の民話はそういう下世話でくだらない話であふれかえっているんですよって。そういうのを民俗学オタク男子(のなれの果ての中年親父たち)が集まってやんやと盛り上がっているという。――そういう困った本。
京極夏彦のファンなので、先生のかかわった書籍はほとんど読んでいるし、興味のない話題でもたいていは楽しく読ませていただいてきたけれど、これは読まなくてもよかったかも……と思わされたはじめて一冊だった。
ゆえにあまり語るべきことがない。
(Dec. 26, 2022)