日本3-3ホンジュラス
キリンカップ/2002年5月2日(木)/神戸ウィングスタジアム/日本テレビ
W杯出場メンバー決定前の最後の国内戦なのだそうだ。キリンカップ二試合目の相手は、北中米予選4位で惜しくも本大会出場を逃したホンジュラス。
この試合にトルシエはスロバキアとはうってかわったオーソドックスな布陣で臨んだ。FWは鈴木と西澤、トップ下は森島、左サイド俊輔、右サイド波戸、ボランチは稲本と福西、スリーバックはいつもどおり、GKは楢崎。唯一おやっと思うのは戸田の代わりの福西くらいだ。戸田は左ひざ痛で大事をとった模様。
しかしそれにしても今日の試合は……。
結果から書いてしまえば3-3だけれど、それにしても前半だけで3失点だ。しかもどの得点も救いようがないくらい見事に奪われた3失点だった。そんなに簡単にフリーにしてどうすると言いたくなる。何が悪かったんだか、僕などには全然わからないのだけれど、あえて言えばやはり戸田の欠場が響いたんじゃないかという気がする。ボランチの稲本と福西は両方ともどちらかというと攻撃的な選手だから、その分、守備力がやや下がったんじゃないだろうか。実際、今日の稲本はとても積極的に攻撃に絡んでいた。そう考えると本大会で戸田が欠けた場合に大丈夫なのか、とても不安になる。トルシエもそう考えたのか、この試合では福西をフル出場させていた。
でもなぜ稲本ではなく福西? 確かに稲本は途中でちょっと傷んでいたから、大事をとったのかもしれない。それにしても現在の福西は多分当確線上の選手だろう。そんな選手に残り少ないテストマッチのうちの貴重な90分をフルに与えていいのかと思う。それで最終的に23人から外したりしたら笑うぞ。しかしどう考えても明神と福西二人を入れる余地はないだろうし。というか、そうなると多分落選するのは小笠原の可能性が高くなるので、それは勘弁してもらいたいという思いが強いのだけれど。
なんにしろディフェンス面での課題がありありという一戦だった。
一方、とりあえず3点を返して引き分けに持ち込んだのは、ひとえにトルシエのもつ強運のなせる技という感じで、とてもじゃないが五分に渡りあったという印象はない。
1点目は俊輔が直接狙ったFKを相手GKが取り損なった結果。2点目も俊輔で、こちらはCKを直接決めたもの。これぞまさに芸術というカーブを描いた、文句なしの見事なゴールだった(と僕は思うのに、本人はミスキックだというし、某氏はこれも明らかにGKのミスだと言う。まあいいけれど)。
3点目も俊輔がファールを受けて得たPKでの得点(だと僕は思ったのだけれど、各種の報道ではすべて西澤へのファールによるものとされていた)。後半からは左サイドにアレックスを投入する采配により、念願の司令塔を任されていた俊輔だったけれども、このファールで足を傷めて途中交替してしまった。それでも彼のプレーは今日も随所で光っていた。彼がいなかったらば確実に負けていた試合だったろう。とにかく流れからの得点はひとつもないのだから。
ちなみに俊輔と入れ替わりに出場したオガサは可もなく不可もなくという感じ。
全体を見るとボールの支配率では日本の方が高かったはずだ。惜しい場面も少なくなかった。しかし決まらない。考えてみたら、このところ攻撃陣が流れの中でまともに取った得点がひとつもない。昔ながらの決定力不足がW杯をひと月後に控えたこの時期に復活してしまっている。ああ、困ったものだ。
テレビ放送の解説によると、相手の監督がハーフタイムに注目の選手として名前を挙げていたという鈴木隆行。彼の場合、動きはいいのかもしれないけれど、今年はフィニッシュの精度が異様に低い。リーグ、代表ともここまで無得点という成績も当然という気がする。
でも確かに動きはいいんだろう。その証拠に再三チャンスに絡む。西澤もいい動きをしているなと思うんだけれど、彼の場合、どういうわけかシュート・シーンがほとんどない。動きの質は高いのに、ゴールに絡めないという点は柳沢に近い(ちなみにその柳沢は前の試合で左手を亀裂骨折したとかで、この試合は欠場)。
鈴木の場合、プレーの質が玄人受けする上に、その当然の結果なのか、とりあえずフィニッシュに絡む回数は多い。けれどそれが今年はとことん決まらない。結果、外している印象ばかりが強くなる。多分世間の風当たりも強いだろう。悪循環でどんどん悪くなりそうだ。でも地道にやることはやっているのだから、あとはきちんと決めるだけだ。めげずに頑張ってもらいたい。
まあ、なんにしろW杯まで残りひと月を切って、ここで攻守の問題点が浮き彫りになったのは、ある意味いいことかもしれない。リードされた試合をどう戦うかというシミュレーションもできたし(結果は散々だという気がするけれど)。散々邪険にしてきた俊輔にピンチを救われたトルシエが今後どういう態度に出るかも見ものだ。
あと、テストマッチだからといって毎試合かなりの数の選手交替をしている彼が、本番の3枚の交替枠をどう使うかもかなり興味深い(今日も5人を交替させている)。というか交替枠が三つしかない状態でトルシエに采配を任すというのは、相当こわい。
良くも悪くも(怖いもの見たさ?)、とにかく一ヶ月後が楽しみだ。
(May 03, 2002)