2002年7月のサッカー

Index

  1. 07/13 ○ 鹿島1-0東京V (J1・1stステージ第8節)
  2. 07/20 ○ 鹿島3-2柏 (J1・1stステージ第9節)
  3. 07/21   横浜M2-1東京V (J1・1stステージ第9節)
  4. 07/27 ○ 鹿島1-0神戸 (J1・1stステージ第11節)

鹿島アントラーズ1-0東京ヴェルディ

J1・ファーストステージ第8節/2002年7月13日(土)/カシマスタジアム/BS1

 ワールドカップも終わり、待望のJリーグが再開。しかもその初っ端からアントラーズのゲームが見られるとなれば、嬉しくて当然。臙脂{えんじ}のユニフォームを着た中田浩二や小笠原、秋田らの姿を見たらば、一瞬涙腺が緩みそうになった。けれど、いざキックオフとなってからは……。うーん、誉められた内容の試合じゃなかったと思う。
 ワールドカップでの中断期間中に、鹿島は意外な戦力補強を行った。点の取れないツートップにトニーニョ・セレーゾが業を煮やしたのだろう。元ヴェルディのブラジル人FW、風の子との異名をとるエウレルを獲得。この試合でいきなりのスタメン起用となった。代わりに外れたのは誰か? 鈴木? いやいや。柳沢? いやいや。二人とも出ている。フォーメーションは驚いたことにスリートップだ。じゃあボランチが中田浩二一枚? いやいや、ツーボランチは鹿島の戦術的に崩せない。となると。
 外されたのはなんと本山だった。ああ、やられた。これで多分今シーズンの彼には期待できないだろう。背番号10を与えられ、主力として期待されていたシーズンで、思わぬ不振の果てに、新外国人、しかもFW登録の選手に押し出される形でのスタメン落ち。これは彼の精神状態に与えるショックが普通じゃないと思う。セレーゾとしてはスーパーサブとしての素晴らしい活躍の記憶がある分、スタメン時の出来の悪さに満足できなかったのかもしれないけれど、でももう少しは我慢して使ってあげて欲しかった。ファースト・シーズンは本山と心中するくらいの信頼をかけてあげて欲しかった。今みたいな状況ではサブでの出場でも活躍できないだろう。残念ながら実際この試合で途中出場した本山には、見るべきものがなにもなかった。
 ともかく本山をスタメンから外し、スリートップで望んだ長期中断後の初戦。最初の十分ばかりはその三人がいい感じで入れ替わりながら攻撃を仕掛けていたものの、その後は全然ぱっとしない。エジムンドがボールを持った時以外はほとんど恐くないヴェルディに対し、チャンスらしいチャンスを作れずじまい。後半途中からは、鈴木に代えて本山、柳沢に代えて長谷川を投入。ついにスリートップのうち、残るのは新加入のエウレルだけになってしまった。
 しかしこのエウレルが決定的な仕事をしてくれる。残り十分を切った頃に、ファビアーノからのロング・フィードに対応。ワンバウンドしたこのボールに、走り込みながら左足でダイレクトであわせてのビューティフル・ゴール! 鹿島に勝ち点3をもたらした。
 驚いたことに、試合の翌日、鈴木隆行がベルギーのクラブ、ゲンクへ移籍することが決まった。さらには平瀬のマリノスへのレンタル移籍までもが発表された。これで今年の残りの試合は柳沢とエウレルのツートップでの戦いとなるのだろう。柳沢が海外移籍ということになったらば、どうするつもりだろう。そもそも累積で二人のうちのどちらかを欠いたらばどうする気なんだろうか。セレーゾは本山のFWとしての起用を考えているのかもしれない。それでいいのか、アントラーズ?
 ということで楽しみにしていた割には、今後の課題ばかりが目につくほろ苦い一戦だった。とりあえずエウレルには大いに期待できそうなのが朗報。
(Jul 15, 2002)

鹿島アントラーズ3-2柏レイソル

J1・ファーストステージ第9節/2002年7月20日(土)/カシマスタジアム/BS1

 体調が悪くて深夜0時からの録画放送を見る気力が湧かなかったため、情けないことにビデオ録画して翌日見た。見始めたのは朝食を取りながらだったし、集中力はいまいち。
 ゲームは前半途中、柏の13番・渡辺光輝からの斜めのクロスを、ユ・サンチョルが頭(多分そう)でゴールへ流し込んで先制。鹿島は後半にようやくエウレルの2試合連続ゴールで同点に追いつく。こちらも満男からのクロスで、柏の1点目とほとんど同じような形だったと思う。追加点も鹿島。またもや満男のクロスから、柳沢がどんぴしゃのダイビング・ヘッドを見せるも、GK南に阻まれる。ところがこのボールを拾った秋田が、落ち着いて切り替えしてゴール。秋田の足での得点ってのはいつ以来だって感じだった。
 ということで後半なかばにして鹿島が勝ち越し。なのにリードはほんの2、3分だった。またもや渡辺光輝からの鋭いクロスに北島がダイレクトであわせて同点。ワールドカップでのトルコのイルハンのゴールデンゴールを思い出させるとても見事なゴールだった。北島、侮れじ。そして渡辺光輝、恐るべし。
 ということで同点にされてしまった鹿島だったけれど、なんといってもこのゲームはホーム、しかも日本代表監督就任によるジーコのアントラーズ総監督としての最後の試合だ。そのままで終わるわけがない。終了間際に野沢のCKから、中田浩二が頭で競って流したボールを、長谷川がダイビング・ヘッドで押し込んで勝ち越し。セレーゾの采配が的中した形で、途中出場の二人の活躍により勝利をものにした。その二人と交替して引っ込んだのが、柳沢と本山という、個人的にはもっとも期待している二人だけに、やや複雑な思いはあるものの、まあ新旧の中核選手の活躍による勝利だからよしとしよう。長谷川、秋田のゴールでの勝利はジーコへのよい{はなむけ}になったことだろう。
 不本意な起用法によるモチベーションの低下が心配される本山だけれど、今日はまずまずのプレーを見せてくれていたと思う。積極的にシュートを打つ姿勢が目立っていた。それにしても交替で出てきた野沢がCKを蹴っているのを見せられると、なぜ本山にはセットプレーを蹴らせてあげないのか、疑問になる。トルシエが日本代表でプレースキックを任せていたのを見る限り、十分蹴れるだけの力はあるはずなのに。本山の場合、どうもアントラーズというチーム内では、きちんと自己主張できていないような気がする。
(Jul 21, 2002)

横浜F・マリノス2-1東京ヴェルディ

J1・ファーストステージ第9節/2002年7月21日(日)/国立競技場/BS1

 中村俊輔のセリエA・レッジーナ移籍前の最後の試合ということで、国立には5万2千を越える観衆が集まった。怪我の回復が心配された俊輔も無事ピッチに立ち、それなりの結果も残して見せてくれた。
 ゲームが動いたのは前半なかば。エジムンドのFKが横浜の壁の隙間を抜けて横浜のゴールネットを揺らした。ウィルは壁に立ったはいいけれど、役に立っていない。ある意味、横浜のミスによる失点だった。
 それでも横浜は前半のうちに注目の俊輔のFKから同点に追いつく。GKの前へと綺麗な弧を描いて放り込まれたボールを、鹿島からヴェルディにレンタル移籍中のGK高桑がパンチング。これがボールにあわせようとジャンプしていたナザの頭に当って跳ね返り、ゴールネットを揺らしてしまう。アンラッキーではあったけれど、どうにも今日の高桑はミスが多かった。若手の成長が著しい昨今、こんなプレーを続けているようでは残念ながらアントラーズへの復帰はなさそうだ。
 横浜はその後、ペナルティエリア右からドリブルとフェイントで突破を見せた俊輔がDF二人に倒されてPKを得る。これを俊輔自らが決めて勝ち越し。2-1としてからは危なげない試合運びで、俊輔のラストゲームに花を添えた。まさに壮行試合という感じで、俊輔のCKの場面がやたらと多い試合だった。
 そうそう、この試合から横浜に合流した平瀬が後半途中から出場。まずまずのプレーを見せていた。
(Jul 22, 2002)

鹿島アントラーズ1-0ヴィッセル神戸

J1・ファーストステージ第11節/2002年7月27日(土)/カシマスタジアム/BS1

 カズ、岡野、望月、平野ら98年の時の日本代表選手を多数擁するヴィッセル神戸と、本山、熊谷を累積警告で欠き、ファビアーノを故障で欠くアントラーズの対戦。レギュラー陣の代わりにスタメン出場したのは、野沢、本田、池内の三人だった。
 今日の試合のポイントはアントラーズのトップ下の二人、小笠原、野沢。この二人の出来があまりに悪すぎた。
 小笠原は多分、最近では一番悪かったと思う。ゲームに絡めていないだけでなく、たまにボールを持ってもパスミスしたり、パスの受け手を探しているうちに相手にボールを奪われたりするプレーの連続。身体の調子でもおかしいのかと思った。
 対する野沢の方は、中盤で精力的に右へ左へと動き回り、盛んに攻撃に絡んでいた点では評価するものの、ボールを持ったあとのプレーの精度が低すぎた。二十歳の若者にあれ以上のプレーを注文するのは酷かもしれないけれど、それでも彼の任せられたポジションは鹿島の司令塔だ。より一層の奮起を期待したい。
 ということで中盤の二人のプレーが精彩を欠いたことにより、いまひとつ攻撃の流れがスムースにゆかず、ストレスのたまる一戦だった。おまけに後半になってからは突如深い霧が立ち込めて、途中からはボールがどこにあるかさえわからないようなすごい状況になってしまい、ますますストレスがたまることになった。
 対する神戸は、前節終了後に不本意な成績の責任を取って川勝監督が辞任。代行監督が指揮を取る中、10番をつけた望月が背番号に恥じない惜しいシュートを放って鹿島ゴールを脅かしたり、岡野が右サイドで攻守にスピードのあるプレーを見せたりと、それなりのパフォーマンスを見せていた。それでもこの日は当りまくりだった曽ヶ端のファインセーブ連発に阻まれ、得点には到らない。ソガ、えらい。
 霧による視界不良なコンディションの中で膠着したまま過ぎ行く時間。そんなフラストレーションの溜まるこの日のゲームを決めたのは、エウレルの個人技だった。左サイドからのドリブルでDF3人を振り切りゴール前へ切れ込んで、DF2枚とGKも反応し切れない鋭いシュートをガツンッ! 鹿島が最少得点で神戸を退けた。とりあえず勝ってなによりという試合と、そしてものすごい霧だった。
(Jul 28, 2002)