鹿島アントラーズ1-0東京ヴェルディ
J1・ファーストステージ第8節/2002年7月13日(土)/カシマスタジアム/BS1
ワールドカップも終わり、待望のJリーグが再開。しかもその初っ端からアントラーズのゲームが見られるとなれば、嬉しくて当然。
ワールドカップでの中断期間中に、鹿島は意外な戦力補強を行った。点の取れないツートップにトニーニョ・セレーゾが業を煮やしたのだろう。元ヴェルディのブラジル人FW、風の子との異名をとるエウレルを獲得。この試合でいきなりのスタメン起用となった。代わりに外れたのは誰か? 鈴木? いやいや。柳沢? いやいや。二人とも出ている。フォーメーションは驚いたことにスリートップだ。じゃあボランチが中田浩二一枚? いやいや、ツーボランチは鹿島の戦術的に崩せない。となると。
外されたのはなんと本山だった。ああ、やられた。これで多分今シーズンの彼には期待できないだろう。背番号10を与えられ、主力として期待されていたシーズンで、思わぬ不振の果てに、新外国人、しかもFW登録の選手に押し出される形でのスタメン落ち。これは彼の精神状態に与えるショックが普通じゃないと思う。セレーゾとしてはスーパーサブとしての素晴らしい活躍の記憶がある分、スタメン時の出来の悪さに満足できなかったのかもしれないけれど、でももう少しは我慢して使ってあげて欲しかった。ファースト・シーズンは本山と心中するくらいの信頼をかけてあげて欲しかった。今みたいな状況ではサブでの出場でも活躍できないだろう。残念ながら実際この試合で途中出場した本山には、見るべきものがなにもなかった。
ともかく本山をスタメンから外し、スリートップで望んだ長期中断後の初戦。最初の十分ばかりはその三人がいい感じで入れ替わりながら攻撃を仕掛けていたものの、その後は全然ぱっとしない。エジムンドがボールを持った時以外はほとんど恐くないヴェルディに対し、チャンスらしいチャンスを作れずじまい。後半途中からは、鈴木に代えて本山、柳沢に代えて長谷川を投入。ついにスリートップのうち、残るのは新加入のエウレルだけになってしまった。
しかしこのエウレルが決定的な仕事をしてくれる。残り十分を切った頃に、ファビアーノからのロング・フィードに対応。ワンバウンドしたこのボールに、走り込みながら左足でダイレクトであわせてのビューティフル・ゴール! 鹿島に勝ち点3をもたらした。
驚いたことに、試合の翌日、鈴木隆行がベルギーのクラブ、ゲンクへ移籍することが決まった。さらには平瀬のマリノスへのレンタル移籍までもが発表された。これで今年の残りの試合は柳沢とエウレルのツートップでの戦いとなるのだろう。柳沢が海外移籍ということになったらば、どうするつもりだろう。そもそも累積で二人のうちのどちらかを欠いたらばどうする気なんだろうか。セレーゾは本山のFWとしての起用を考えているのかもしれない。それでいいのか、アントラーズ?
ということで楽しみにしていた割には、今後の課題ばかりが目につくほろ苦い一戦だった。とりあえずエウレルには大いに期待できそうなのが朗報。
(Jul 15, 2002)