去年までのスポンサーだった「たらみ」がJから撤退したため、今年はJOMOの主催となったJリーグのオールスターゲーム。ワールドカップの関係なのか、日本人選抜対外国人選抜のJOMOカップは今年は開催されないようなので、その代わりの一年限りの代行ということなのかもしれない。それともJリーグ所属の外国人選手も小粒になった印象が否めないので、もしかしたらJOMOカップ自体が廃止になったのかもしれない。細かいところはよくわからない。なんにしろJOMOの主催による、ファン投票とリーグ推薦で選ばれた選手たちによるお祭りゲームだ。
スタメンに外国人選手が一人もいないというあたりに、Jリーグ10年の歳月を感じるなあとか思っていたら、WESTにパク・チソンがいた(失礼)。そもそも調べてみたら去年の時点で既に同じような状況だった。その去年のゲームでは柳沢がハットトリックを決めたとかいう。全然記憶にない……。ああ、なんて記憶力だ。まあ、だからそこ、こうやって毎試合、文章を残そうという気になったんだけれども。
なにはともあれ、その柳沢は今年もフル出場を果たした。この試合では両チームともに3人のFWがスタメンに名を連ねた。お祭ゲームならばこそという攻撃的な布陣が楽しい。
そうそう、この試合では横浜F・マリノスの選手がWESTで出場していた。なんで横浜が西だとか思ってチームを数えてみたら、仙台のJ昇格とC大阪&福岡の降格によって、いつの間にか東京までのチームでリーグの半数になってしまっている。だから横浜はWEST。この結果、今シーズンの強豪チームは鹿島を除くとほとんどがWESTのチームとなってしまった。
WESTのスタメンはワールドカップ代表選手を中心とした錚々たる顔ぶれ。なんたってGKが楢先、DFは市川、松田、宮本、波戸の4バック、MFが戸田、名波、パク・チソン、3トップで中山、高原、久保と来たもんだ。控えにはカズもいる。そのまま現日本代表のオルタナ・パターンといっても通用する。
対するEASTのスタメンの地味なこと。GK曽ヶ端、DF小村、井原、茶野(市原)、中西、MF中田浩二(キャプテン!)、大野、岩本輝、FWが柳沢、小倉、山下の3トップ。なんとなく現役代表VS新旧代表混成チームの対決という感じで、旬なのは当然WEST。始まる前はこりゃあ一方的にWEST有利かと思われた。
ところがそこがサッカーのおもしろさ。予想通り前半は防戦一方だったEASTが、ワンチャンスをものにして先制してしまう。小倉がドリブルで持ち込んで、柳沢に見事なラストパス。柳沢のシュートはGK正面で弾かれてしまうものの、そのこぼれ球を小倉がゴールへ叩き込んだ。
その後もボールを支配するのは圧倒的にWESTなのだけれど、どうもゴール前にボールが入らない、じれったい展開が続く。だいたいメンツは地味とはいえ、EASTの選手だってオールスターに選ばれる選手だ。侮れるはずがないのだった(まあ大野と山下は、いったいどこにいたんだって感じだったけれど)。結局前半はそのまま1-0のまま終了。
ゲームの様相は後半からの選手交替で一変した。EASTは柳沢の他のFW二人を、エメルソンとエジムンドに変えてきた。さらに井原を明神に交替。エジムンドがトップ下的な動きをしていたので、多分4-3-3から3-5-2の布陣になったということだと思う。中盤が厚くなったことで前半とは段違いにボールがキープできるようになった。
さらに途中出場の二人の外国人のテクニックが群を抜いている。前線でどちらかにボールが入った時のわくわく度が違う。エメルソンのトラップ、ドリブル、パス、それらのスピードや精度など、すべてが柳沢よりも頭ひとつもふたつも上に見えた。彼のプレーのもの凄さには思わず笑ってしまった。
結局このエメルソンが宮本のイージーなバックパスのミスを見逃さずにボールを奪い取り、無人のゴールへ蹴りこんだ2点目が決勝点となった。WESTも後半初めから途中出場していたカズが、市川のどんぴしゃのクロスをヘッドで決めて1点差に追い上げたものの、その後のWESTの猛攻を凌いだEASTがそのまま逃げ切って、2年連続の勝ち星をあげた。
MVPはエメルソン。先制の小倉の方がゴールの形は良かったと思うのだけれど、それ以外の動き全般のインパクトはやはりエメルソンが圧倒的だったから、やはりという感じだった。カズは後半早々に“ど”フリーのチャンスを逃すミスが痛かった。あれを決めていれば文句なしのMVPだったろうに。はずしちゃうあたりに衰えを感じはするものの、それでもこういう舞台で曲がりなりにも得点をあげられるのだから、やはりただの選手ではないとも思う。柳沢は終盤に何度も決定的なシュートチャンスを得ながらも外しまくり、シュート技術の低さを露呈していた。なんだか年々下手になってゆく気がするのは気のせいだろうか?
話は変わるけれど、現在イタリア遠征中の鹿島はこの日、ASローマと対戦した。レギュラーのうち柳沢、中田浩二、曽ヶ端をオールスターゲームのために欠き、さらにはエウレル、熊谷が怪我のため出場できないというチーム事情もあって、6-0という屈辱的なスコアで大敗を喫したという。二日前に上海でのU-21代表の親善試合に出場した野沢と青木を呼び寄せて出場させざるを得なかった苦しい台所状況を考えれば致し方のない結果なのかもしれないけれど、どう言い訳をしたところで惨敗は惨敗。悔しくて仕方ない。
(Aug 25, 2002)