ジェフ市原2-3鹿島アントラーズ
J1・セカンド・ステージ第4節/2003年9月7日(日)/国立霞ヶ丘競技場/BS1
名将オシムのもとで躍進を見せたファースト・ステージに引き続き、セカンド・ステージでも三連勝と好調な滑り出しを見せたジェフ市原。対するわれらがアントラーズは、前節大分戦でキャプテン中田浩二が全治6ヶ月という負傷を負ってリタイアしてしまった。普通に考えたならばこれは非常に痛い。
けれどアントラーズには青木という将来性のあるボランチがいる。今まで浩二とフェルナンドの控えに甘んじていた彼にとってはこれは願ってもないチャンスだろう。ここで大きく伸びて、中田浩二が復活した折にはフェルナンドを追い出してしまうようなプレイヤーに成長を遂げてもらいたい。そもそもアントラーズには本田だっている。故障中の熊谷だっている。最近どこかへ消えてしまったけれど、クラウデシールだってまだ在籍しているんだろう。ボランチというポジションはチーム一の激戦区だ。ここでの競争に打ち勝てば日本を代表するボランチと呼ぶにふさわしい存在になるだろう。代表入りも目の前だ。いけいけ、青木。大いなる躍進に期待しているぜい。
さてそんなわけで序盤の天王山、ジェフ市原戦。個人的な一番の関心はひさしぶりに代表復帰を果たしたばかりの本山だった。個人的には今の本山はまだまだ日本代表のレベルではないと思っている。チームでもそれほどめざましい活躍を見せているわけではないし、ゲーム後半になると早々と交替されることもしばしばだ。ジーコが監督じゃなかったら、まず呼ばれていないだろう。
そりゃあ彼がとても素晴らしい才能の持ち主なのは確かだと思う。ドリブルの技術、パスのセンス、シュートの正確さなど、どれをとっても平均以上の力を持っている。そんな彼の能力をよく知っているジーコが自分のチームに呼びたくなる気持ちもわかる。
ただどう見ても今の本山は一国を代表するレベルのMFと呼べないように僕には思えて仕方ない。部分部分のプレーにはきらめきを感じさせながらも、総合的なプレイヤビリティで小笠原に見劣りしてしまう印象なのが何よりその証拠だ。
日本の選手がワールド・レベルで比較してまず指摘されるのが身体能力の低さだとするならば、本山こそまさにその象徴というべき選手のように思える。ジーコが指摘していた通り、とにかく倒れ過ぎ、あたり負けしまくりというイメージがある。しかも90分間コンスタントにプレーを続けるスタミナもない(さもなければあんなにも途中交替が多くなるはずがないだろう)。今のままではJリーグの中のそこそこ優れた選手というレベルで終わってしまうんじゃないかと心配でたまらない。
ジーコも同じように思うからこそ、今回代表に読んだのではないかと僕は邪推している。ワールドクラスのプレーヤーたちと接することで刺激を受け、より高いレベルを目指して成長してくれることを願って。本山の成長は鹿島のみならず、日本代表にとってもかけがえのない財産となるものだろうから。
なんにしろ代表復帰後の最初のこのゲームで、本山はそんなジーコの温情に感謝するかのように、それなりに溌剌としたプレーぶりを披露して、素晴らしいスルー・パスを何本か通して見せてくれた。ただ生きのいいプレーが見られたのは前半のみ。後半はほとんど存在感を見せられないまま、いつも通りに途中交替でピッチを去った。あれじゃあトニーニョ・セレーゾでなくたって替えたくなる。残念ながらやはりまだまだだと思った。
試合の方は鹿島優勢の内容ながら、阿部のFKで市原に先制を許す。ところが平瀬の思いっきりのいいシュートで同点とし(二試合連続ゴール!)、小笠原のシュートが相手のオウン・ゴールを誘って逆転して前半を終了(中西哀れ)。
後半、相馬がペナルティ・エリア内でサンドロを倒して一発レッドカードで退場、このPKをチェ・ヨンスが決めて同点に追いつかれてしまうものの、一人ビハインドの状態でセットプレーから秋田のヘディングで勝ち越すと、ついにそのまま逃げ切ってしまった。まさかの首位奪取だった。
この試合における上川さんのジャッジにはかなり疑問が多かった。相馬のファールでPKを取られたのは仕方ないにしろ、レッドカードは行き過ぎだと思う。笛を無視して余計なシュートを放ったチェ・ヨンスに対する二枚目のイエローカードもちょっと厳しすぎる印象があった。この判定によりチェ・ヨンスが退場してしまった時点で勝負は決まったようなものだ。Jリーグではレフェリーのレベルにもまだまだ改善の余地があることを感じさせる一戦だった。
(Sep 10, 2003)