2004年4月のサッカー

Index

  1. 04/04 ○ 鹿島3-2名古屋 (J1・1stステージ第3節)
  2. 04/10 ● 市原2-1鹿島 (J1・1stステージ第4節)
  3. 04/21 ○ U-23ギリシャ1-1U-23日本
  4. 04/24 ○ U-23ギリシャ選抜1-2U-23日本
  5. 04/25 ● ハンガリー3-2日本
  6. 04/28 ○ チェコ0-1日本
  7. 04/29 ● 鹿島1-2F東京 (ナビスコ杯・グループD)

鹿島アントラーズ3-2名古屋グランパス

J1・ファーストステージ第3節/2004年4月4日(日)/カシマスタジアム/BS1

 秋田の移籍先、名古屋グランパスとの対戦。となれば秋田の出来はどうなのさというのが一番の関心となるのだけれど。2点目、3点目は両方とも秋田のサイド。これではやっぱり戦力外も仕方ないだろうと思わせるプレーぶりだった。
 アントラーズの布陣は曽ヶ端、名良橋、金古、大岩、新井場、熊谷、フェルナンド、小笠原、本山、ファビオ・ジュニオール、深井という顔ぶれ。熊谷と金古がスタメンに名前を連ねているのが嬉しい。
 とかいっても試合内容はいまひとつぱっとしないものだった。どこがどう悪かったのかわからない。ツートップは連係がまったくなく、小笠原、本山も得点こそあげたものの、動きはいまいち。そんな中でも無難に勝利をあげたのだから、やはり地力はあるんだろう。
 それにしてもファビオ・ジュニオールは高さがある割にはヘッドが強いでもないし、動きものっそりしているし、この試合に関してはあまりいいイメージがなかった。
 一点目は小笠原のFKがGKの前で絶妙のワンバウンド、そこにあわせそこなった新井場の動きがおとりになった形で、楢崎が目測を誤ってそのままゴール。二点目はファビオの鋭いクロス(この日唯一の仕事らしい仕事だったんじゃないだろうか)にファーサイドで本山がダイレクトであわせたもの。実に綺麗なゴールだった。そういう意味では3点目の金古のヘッドもとても綺麗な形だった。どちらの場面も得点者のマークについていたのは秋田。背番号3をつけた金古にものの見事にゴールを決められてしまったのは、盛者必衰の理を地でいったようで、なかなか劇的だった。
(Apr 06, 2004)

ジェフ市原2-1鹿島アントラーズ

J1・ファーストステージ第4節/2004年4月10日(土)/市原臨海競技/BS1

 前節と同じ布陣で望んだジェフ市原戦。オシム監督のもと、すっかり優勝争いの常連となった感のあるジェフだから、そう簡単には勝たせてくれないかもと思ってはいたけれど、やはり予想どおりに苦杯を喫することになってしまった。
 敗戦の原因はやはり左サイドにあると思う。新井場のDFとしての仕事ぶりがまだいまひとつだ。最大要因はペナルティ・エリアの外で相手FWを倒してしまったことによる曽ヶ端の退場だけれど、そのプレーも左サイドのディフェンスの戻りの遅さゆえだと思う。失点の場面でも左サイドのバランスの悪さが気になった。二度、三度とたたみかけるようにシュートを打たれ、きちんとディフェンスラインを崩されての失点なのが痛い。前節では秋田を悪く書いたけれど、やはり彼や相馬が持っていた経験が失われたのは痛いかもしれない。ベテランDFが抜けた穴を感じさせる負け方だった。
 とにかく新井場はまだポジション的に不慣れなためか、持ち前の攻撃力も発揮できていないし、プレーが中途半端に終わってしまっている気がする。やはりDFとして慣れるまでは仕方ないんだろうか。そろそろ中田浩二復帰かというニュースもあったりするので、守備力の高い彼がボランチの位置に入るようになるとまた状況が変わるかもしれない。期待しつつ浩二の復帰を待とう。
 攻撃の方では小笠原が中盤でかなりいい感じでボールをさばいていた。得点は右サイドへ開いていた本山が、フェルナンドからのパスをダイレクトボレーで真ん中へ折り返し、そこへ駆け込んで来た小笠原がどかんと決めたもの。とても綺麗な形だった。前節の本山のゴールといい、この二人はこの頃けっこう切れている。本山に関しては、あれでもう少しボールに触る回数が増えれば文句がないのだけれど。あ、でもシミュレーションでイエローを貰っていたのはいただけない。本山は永遠のサッカー少年っぽいイメージの割には演技過剰の嫌いがあるのが難点だ。もっとクリーンなサッカーを目指して欲しい。
 今日の試合で一番文句を言いたいのはファビオ・ジュニオール。キープ力はそこそこあるものの、動きは緩慢だし、チームプレーはできないしで、やたらとイメージが悪い。ナビスコ杯で途中出場した時に受けた好印象がこのニ試合ですっかり薄れてしまった。退場になった曽ヶ端の代わりに小澤を入れるため、トニーニョ・セレーゾは深井を交替させたけれど、あそこはいっそのことファビオを外して欲しかった。まあ、高さとキープ力に期待したい気持ちはわからないでもないのだけれど、やっぱり今の状態じゃ彼には期待できない気がする。
 なにはともあれ全体の三分の二を一人少ない状態で戦っていながら、とりあえず一時は勝ち越しただけに、敗戦は残念だった。やはりファースト・ステージは取れないのか。
(Apr 11, 2004)

U-23ギリシャ1-1U-23日本

2004年4月21日(水)/ギリシャ・パトラス/テレビ東京

 アテネ五輪へ向けて、現地での調整の意味が強いギリシャとの親善試合。阿部、近藤が故障で不参加、那須等がチーム事情で途中参加という状況のため、3バックは徳永、茂庭、北本(神戸)というメンバーになった。あとは予選最終戦の3トップ、両サイドに石川と森崎弟、2ボランチが鈴木啓太と今野、GK林という順当なメンバー。
 この試合、序盤はそれなりにいい感じで試合に入れているように思ったのだけれど、20分に田中達也のゴールで先制してからは、なんだか膠着状態に入ってしまった感じだった。相手に崩されることはないものの、こちらもこれといったチャンスは作れない。逆に時々消極的なバックパスを奪われてピンチを招いたりする。あの辺はどうにかならないものかと毎回のように思う。
 後半あたまから田中、平山、鈴木啓太を下げて松井、平松、森崎兄を投入。ベンチに下がった選手の出来が悪かったわけではないので(というか3トップでは一番出来が悪かった大久保を残したくらいだから)、この交替は単にその他の選手を見たいという意図だろう。さらに後半途中から大久保に代えて山瀬、右サイドに根本を投入して見せた。
 後半の始めのうちはメンバーチェンジが好影響を及ぼした印象があったけれど、いい感じは持続しない。松井、山瀬が一緒にピッチに立つという珍しい状況も、あまり期待するほどの効果は得られず。5分ものロスタイムに同点に追いつかれ、勝てる試合を引き分けに終わってしまった。ああ、やっぱりまだまだ甘い。
 それにしても森崎兄弟は二人揃ってどうしてああもバックパスが多いかな。
(Apr 21, 2004)

U-23ギリシャ選抜1-2U-23日本

2004年4月24日(土)/ギリシャ・ピルゴス/テレビ朝日

 所属チームの事情で前の試合が終わってからチームに合流した那須、栗原(横浜)、田中隼磨の三人をスタメンで起用。さらに後半だけで八人の交替を入れ替えるという采配でもわかるように、とにかくオリンピック本番の地、ギリシャのピッチに一人でも多くの選手を立たせること、それが今回の遠征での山本監督の目的だったようだ。結局この遠征に参加して一度も出場機会がなかったのはアントラーズの青木だけ(残念ながらどうも怪我をしていたらしい)。そんな試合なので内容は{}して知るべしだ。これといって見るべきものもない試合だった。
 あえて言うのならば、山瀬があまりに存在感がなさ過ぎたことと、黒河の安定感のなさが気にかかった。根本、大久保あたりの出来も悪かった。とにかくつまらない試合だった。
 あ、それでも先制ゴールを叩きこんだ場面での田中隼磨のプレーには感銘を受けた。田中達也からのワンタッチパスを受けてゴール前へドリブルで切り込み、倒されかかったところを堪えて、落ち着いて蹴りこんだ。あそこで倒れなかったのはとても偉かった。ああいうプレーをもっともっと見たいと思う。
 あとそのプレーでアシストを決めた上にニ試合連続ゴールの田中達也にも感謝。
(Apr 25, 2004)

ハンガリー3-2日本

2004年4月25日(日)/ザラエゲルセグ・スタジアム/テレビ東京

 せっかくの欧州遠征だというのに、海外組のうち、俊輔、高原は故障のため辞退、あとのメンバーもリーグの都合で途中参加。従って今回はJリーグ所属選手だけで望んだハンガリー戦。
 この試合での日本のフォーメーションはまたもや3バックだった。いい加減にして欲しい。Jリーグ所属選手中心の場合は3バックの方が慣れているから、なんて話は聞きたくない。4バックのコンビネーションを高めてゆかないでどうするというんだろうか。もうそろそろ僕もジーコの行き当たりばったりな方針には痺れが切れてきた。
 スタメンは楢崎、坪井、田中誠、茶野、西、遠藤、福西、藤田、アレックス、久保、玉田の十一人。前半に関してはいいところがまるでなかった。ギリシャ戦でのU-23もそうだったけれど、芝の状態が悪くて終始誰かが転んでいるような状況。海外のスタジアムはあんなのばかりなんだろうか。とにかくもうぼっこぼこ。あんな芝、日本国内では見たこともない。どうも日本は恵まれているみたいだ。世界で戦うにはもう少し過酷な環境に慣れないといけないのかもしれない。
 なにはともあれ前半はいいところが全然なかった。惜しかったのはアレックスのポストをかすめるFKと、終了間際の久保のシュートくらい。後半に入ってもあまり状況は変わらない。そうこうするうちにセットプレーから2点を奪われ、敗色が濃厚になった。負けるにしても、これではあまりに内容が悪過ぎる。この調子じゃ次のチェコ戦も期待はできないだろう。こりゃあ、この遠征が終わったらジーコの解任も時間の問題かと思えた。
 ところがこの状況を一変させてくれたのが、嬉しいことに途中出場した本山だった。後半27分にピッチに立った彼は、相手の足が止まり始めた時間帯だったこともあって、持ち前の攻撃力を遺憾なく発揮。いきなり流れを日本に引き寄せる。泥臭く玉田のゴールをアシストし、久保の同点弾では、ここだというところへスルーパスを通して見せる。本山が出場してからわずか5分の間で日本は同点に追いついてしまった。
 でも、ここで終わってしまうのが日本の弱さだ。本当に強いチームならばあそこでさらにもう一点奪って逆転してしまうような流れだった。ところが同点に追いついた途端に日本の勢いは止まる。なんだかそこまでで安心してしまったような印象だった。なんだよと思ってみているとロスタイム。本山の中途半端なプレーから敵にわたったボールをゴール前まで運ばれ、これを茶野がうしろから倒してPKをとられて万事休す。ジーコや解説のラモスはあんなのはPKじゃないと怒っていたけれど、あの時間帯にあの位置でああいうプレーを許してしまったのはあきらかに日本のミスだ。やはりこの試合は負けるべくして負けた試合だったと思う。
 とりあえず今日の試合で好印象を受けたのは玉田、西、本山の三人だけだった。とにかく全体的にプレーの精度が低過ぎる。パスカットしてせっかくマイ・ボールにしても、次のパスが味方に通らない。コンビネーションなんてないに等しい。海外組が参加していないにしたところで、ジーコが監督になってそろそろ二年になろうというのに、この完成度の低さはないだろう。この一点だけを取ってみても、ジーコはやはり今の日本の監督にはふさわしくないように思える。
 ゲームには直接関係ないけれど、試合終了後に玉田が相手選手と交換したユニフォームをジーコが奪い取り、つかつかとレフェリーのところまで歩いていって投げつけるという謎のシーンがあった。理由はわからないけれど、とても後味の悪い映像だった。これが引き金になってジーコの解任騒動が巻き起こってもおかしくない気がする。本当にあの人は……。
(Apr 25, 2004)

チェコ0-1日本

2004年4月28日(水)/トヨタ・アレナ(プラハ)/日本テレビ

 はじめに前の試合でのジーコの謎の行動について。あれはレフェリーにシャツを投げつけたわけではなく、ハンガリー贔屓のレフェリーに対して「プレゼント・フォー・ユー、ハンガリー・シャツ」と言いながらハンガリーのユニフォームを贈呈したのだそうだ。負けず嫌いなジーコならではのエピソードだなあと、妙に納得してしまった。ほめられた行動だとは思わないし、ジーコの奇行に巻き込まれてシャツをとりあげられた玉田には気の毒だったけれど、ちょっとばかり笑える事件の真相だった。
 ということでジーコのシャツ投げ事件については閑話休題。本題はチェコ戦だ。
 この強豪との対戦に中田英寿と中村俊輔を故障で欠いた日本は、ハンガリー戦のメンバーからボランチ二人を稲本、小野に入れ替えただけの布陣で臨んだ。ところがこのチームが思いがけない(失礼)、実に立派な戦いぶりを見せてくれる。後半こそ一方的に押し込まれていた印象だったけれど、前半は五分と言える内容。久保の豪快なゴールで先制してあげた虎の子の一点を守りきり、アウェイでFIFAランクトップテンに入る強豪に勝ってしまったのだから文句のつけようがない。A代表のゲームを見てこんなにすっきりとした気分を味わえたのは実にひさしぶりだった。
 MVPはスーパーセーブを連発してチームを救ってくれた楢崎、といいたいところだけれど、今日の試合で個人的に一番いい印象を受けたのはFWの二人だった。彼らが果敢にゴールを目指す姿には今までの日本代表には見られなかった積極性が感じられた。それがこのゲームの好印象を支える一番の理由だと思う。
 特に玉田。久保の能力の高さはもとより知っていたけれど、このニ試合での玉田のプレーにはびっくりさせられた。技術もゴールに向かう意識も実に高い。彼を代表に呼んできたのは今回の遠征でのジーコの一番のファイン・プレーだと思った。
 まあチェコの出来もいまひとつだったんだろう。プレスの効きはやたらと甘かったし、後半には七人を入れ替えてきたことでもわかるように、勝ち負けよりも選手の選考を重視した試合だったのはあきらかだ。だとしても強い相手であったことには変わりがない。日本は本当によく戦った。ファールすることなく相手からボールを奪うシーンを再三見せられると、ああ、日本の選手も随分とうまくなったもんだなあと、その成長を実感することができる。本当にひさしぶりに満足のゆく試合だった。
 ハンガリー戦とチェコ戦との一番の違いはピッチ・コンディションにあった。ひどくデコボコだったハンガリーのピッチとは違って、この日の芝はちゃんとしていた。やはりピッチ・コンディションさえまともならば、日本もきちんとしたサッカーができるということなんだろう。逆にいえば、いつぞやのサンドニや今回のハンガリー戦のように、荒れた芝やぬかるんだピッチでは自分たちのサッカーができないということでもある。パス回しが思うようにいかないと、体格で負けている日本が苦戦するのはあきらかだ。今後の課題として、その辺のことを再確認させられた一戦でもあった。
 僕はといえば、日本代表のプレーに意識を集中するあまり、噂のネドベドやロシツキーのプレーを楽しむ余裕はまるでなかった。それが残念と言えば残念。もっと大局的ににサッカーを観戦できるようにならないと、サッカーの本質には迫れないなあと思う。
(Apr 29, 2004)

鹿島アントラーズ1-2FC東京

ナビスコ杯・グループD/2004年4月29日(木)/カシマスタジアム/MXテレビ

 Jリーグの前節に退場を食らった金子に代わり、岩政が初スタメン出場。故障中の名良橋に代わって右サイドは内田。左サイドには石川が入り、新井場はなぜかボランチとしてフェルナンドとコンビを組んだ(青木は五輪代表で怪我をしたというのでわかるけれど、熊谷や本田はどうしちゃったんだろうか)。代表に呼ばれて不在の本山の位置に入ったのは18歳ルーキーの増田誓志。そして2トップが平瀬と深井(ファビオ・ジュニオールは?)。とにかく苦しい台所事情が明白なこの日のアントラーズのスタメンだった。
 対するFC東京も五輪代表の選手たちは休養のため出場していない。まあそれならば条件は五分以上、負けることはないだろうと踏んでいたのに、残念ながらの黒星に終わった試合だった。前半にフェルナンドのクロスから大岩のヘッドで先制して、この試合はもらったと思ったのが間違い。後半開始直後にオウンゴールで同点とされ、後半なかばには相手のルーキー梶山陽平にミドルを決められて、これが決勝点となってしまった。
 この頃はアントラーズの出来があまりよくないせいもあってか、僕はいまひとつ試合に集中し切れていない感じがある。この試合もまともには見られなかった。
(May 04, 2004)