せっかくの欧州遠征だというのに、海外組のうち、俊輔、高原は故障のため辞退、あとのメンバーもリーグの都合で途中参加。従って今回はJリーグ所属選手だけで望んだハンガリー戦。
この試合での日本のフォーメーションはまたもや3バックだった。いい加減にして欲しい。Jリーグ所属選手中心の場合は3バックの方が慣れているから、なんて話は聞きたくない。4バックのコンビネーションを高めてゆかないでどうするというんだろうか。もうそろそろ僕もジーコの行き当たりばったりな方針には痺れが切れてきた。
スタメンは楢崎、坪井、田中誠、茶野、西、遠藤、福西、藤田、アレックス、久保、玉田の十一人。前半に関してはいいところがまるでなかった。ギリシャ戦でのU-23もそうだったけれど、芝の状態が悪くて終始誰かが転んでいるような状況。海外のスタジアムはあんなのばかりなんだろうか。とにかくもうぼっこぼこ。あんな芝、日本国内では見たこともない。どうも日本は恵まれているみたいだ。世界で戦うにはもう少し過酷な環境に慣れないといけないのかもしれない。
なにはともあれ前半はいいところが全然なかった。惜しかったのはアレックスのポストをかすめるFKと、終了間際の久保のシュートくらい。後半に入ってもあまり状況は変わらない。そうこうするうちにセットプレーから2点を奪われ、敗色が濃厚になった。負けるにしても、これではあまりに内容が悪過ぎる。この調子じゃ次のチェコ戦も期待はできないだろう。こりゃあ、この遠征が終わったらジーコの解任も時間の問題かと思えた。
ところがこの状況を一変させてくれたのが、嬉しいことに途中出場した本山だった。後半27分にピッチに立った彼は、相手の足が止まり始めた時間帯だったこともあって、持ち前の攻撃力を遺憾なく発揮。いきなり流れを日本に引き寄せる。泥臭く玉田のゴールをアシストし、久保の同点弾では、ここだというところへスルーパスを通して見せる。本山が出場してからわずか5分の間で日本は同点に追いついてしまった。
でも、ここで終わってしまうのが日本の弱さだ。本当に強いチームならばあそこでさらにもう一点奪って逆転してしまうような流れだった。ところが同点に追いついた途端に日本の勢いは止まる。なんだかそこまでで安心してしまったような印象だった。なんだよと思ってみているとロスタイム。本山の中途半端なプレーから敵にわたったボールをゴール前まで運ばれ、これを茶野がうしろから倒してPKをとられて万事休す。ジーコや解説のラモスはあんなのはPKじゃないと怒っていたけれど、あの時間帯にあの位置でああいうプレーを許してしまったのはあきらかに日本のミスだ。やはりこの試合は負けるべくして負けた試合だったと思う。
とりあえず今日の試合で好印象を受けたのは玉田、西、本山の三人だけだった。とにかく全体的にプレーの精度が低過ぎる。パスカットしてせっかくマイ・ボールにしても、次のパスが味方に通らない。コンビネーションなんてないに等しい。海外組が参加していないにしたところで、ジーコが監督になってそろそろ二年になろうというのに、この完成度の低さはないだろう。この一点だけを取ってみても、ジーコはやはり今の日本の監督にはふさわしくないように思える。
ゲームには直接関係ないけれど、試合終了後に玉田が相手選手と交換したユニフォームをジーコが奪い取り、つかつかとレフェリーのところまで歩いていって投げつけるという謎のシーンがあった。理由はわからないけれど、とても後味の悪い映像だった。これが引き金になってジーコの解任騒動が巻き起こってもおかしくない気がする。本当にあの人は……。
(Apr 25, 2004)