U-23日本1-1U-23マリ
2004年6月1日(火)/札幌ドーム/テレビ朝日
さあ、オーバーエイジ枠を使うか、使わないか。山本監督が決断を下す前の最終選考とも言うべきマリ戦。マリというのはまったく馴染みがない名前の国だけれど、なんでもアフリカ予選で前回オリンピック優勝国のカメルーンを蹴落とし、本戦出場権を獲得した国なのだそうだ。つまりオリンピックでは予選から顔をあわせる可能性のある国ということになる。そんなチームとこういう時期にマッチアップできるなんて、ちょっと珍しいんじゃないかと思った。
とにかくそんなわけで名前も知らない国だから試合が始まる前までは楽勝なのかと思っていたのだけれど、そんなわきゃない。なんたって相手はカメルーンを下したって国だ。アフリカ勢ならではという、身体能力の高い、手強い相手だった。しかも実際にオリンピックではライバルになるかもしれないという関係だ。加えて両国とも選手は本大会に出られるかどうかのアピールに懸命という時期。親善試合とはいっても自然と熱が入る。おかげで思いがけない見ごたえのある試合となった。
スタメンは黒河、茂庭、 那須、北本(神戸)、駒野、鈴木啓太、阿部、根本、山瀬、高松、坂田。こりゃまた前の試合と随分と入れ替わっている。阿部はボランチだし、那須が3バックの真ん中。この二人なんかは今後を睨んでのバリエーションとして試されている感じだけれど、北本、駒野、根本、山瀬、高松、坂田といったあたりは、本当にこれがラスト・チャンスという起用だ。これで頑張れないようではオリンピックになんか出られるはずがない。実際にこの日のプレーを見る限りでは、山瀬、根本の二人はアウトだろう。FW二人や駒野、北本などは十分アピールできていたと思う。でもじゃあそれでオリンピックへ行けるかというと疑問符がつく。やっぱりこういう選考って難しいと思う。
試合はスコアレスで前半を終了、後半マリにセットプレーから先行を許すものの、その後途中出場の今野、松井、大久保の三人の間に見事なパスが通り、これを大久保が力強く決めて同点に追いついた。本当にこの同点ゴールの場面の見事さったらばなかった。今野の正確なフィード、松井のトリッキーなラストパス、それをズトンと決めた大久保の決定力。どれにも惚れ惚れとしてしまった。いいものを見せてもらいました。
その後も攻め続けつつ結局勝ち切れなかったのは課題だけれど、それでもビハインドを跳ね除けただけでも十分価値のある試合だったと思う。前のA代表と違ってファールが少なかったのも好印象だった。やっぱりこの世代は平均的な技術のレベルでは歴代第一位だと思う。オリンピックが楽しみだ。
(Jun 01, 2004)