第6節が終わった時点で、アントラーズは5勝1分負けなしという堂々たる成績で、2位に勝ち点5の差をつけて単独首位。こんな展開になるなんて開幕戦の時には想像だにできなかった。浦和とのあの試合での出来の悪さを思うと、今日の(前半の)内容の良さとは雲泥の差がある。その点ではだてに首位は張っていないなと思わされた。あっぱれ。
それにしても宿敵ジュビロ。後半こそ見事な反撃で冷や冷やさせられたものの、結局この試合も落として、ここまで2勝4敗1分で15位に低迷。山本昌邦監督は「世界基準」のサッカーを目指すと言いながら、高望みし過ぎて、日々進歩しているJのレベルに対応できなくなってしまっている感がある。やっぱ藤田とか中山をベンチに置いちゃいけないだろう(藤田はこの日はスタメンだったけれど)。なんだかんだ言いつつ、トニーニョ・セレーゾはだてに6年も続けて監督をやっていないなと思う。
なにはともあれ、かつてはJリーグ最高と言われたカードだ。順位は離れていても、そうそうつまらない試合になるはずがない(と言いつつ、前半をアントラーズが2-0で終わった時点では、こりゃ今日の試合はラクショーとか思っていたわけだけれど)。
試合はものの見事にアントラーズの前半とジュビロの後半に分かれた。前半はほとんどアントラーズのみの時間。対して後半はジュビロがすべてを支配する。
前半のアントラーズで主役を演じたのは、この試合がひさしぶりのスタメンとなった深井だった。前節まで隆行の穴を埋めて2試合連続ゴールという活躍を見せていた野沢が故障欠場。その代役として登場した深井が2ゴール両方に絡む活躍を見せるあたりが、今のアントラーズの強さの所以だ。野沢にしろ、深井にしろ、なんだか妙に出場機会に飢えているように感じられる。それは深井のゴールに絡んだ二つのプレー(どちらもほとんど同じ形だった)に見られる積極性によるものだ。どちらのプレーでも彼は迷わずシュートを打っているように見える。その点は前節までの野沢の2ゴールも同じで、彼にしろ少ないチャンスを逃しちゃいけないと、シュートチャンスをきちんと得点に結びつけるプレーをしている。なぜそうなったのかはわからないけれど、今年のアントラーズには、僕が日本人プレーヤーに対してずっと求めているところの、ゴールを自分が決めるんだという意志が感じられるようになった。それが結果をともなっていることがとても嬉しい。
なんにしろこの日の深井のファースト・ゴールはナイスだった。2点目も、同じ形で深井が打ったシュートを川口が弾いたところに小笠原が詰めていたというもの。そのプレーの前に足を痛めて、結局わずか20分で交替してしまったけれど、それだけの間に十分過ぎる働きをしてくれた。ナイスきわまる。
2-0が一番あぶないという話はよく聞くけれど、この日の試合がまさにそういう展開になった。前半の雰囲気では2点差があれば楽勝という感じだったのだけれど、後半に入ってジュビロが突如、それまで隠していたのかという感じで牙をむき、わずか5分ばかりで追撃のゴールを決める。その後も鹿島は圧倒的に劣勢。なにがどうしてこうなっちゃったという感じで、なんとか凌いで逃げ切るのが精一杯という内容だった。見ているこちらも前半の圧倒的優勢な内容に気が弛んでいた感があるので、あまり選手を攻められなかったりする。いや、やはりジュビロは侮れなかった。前田とカレン・ロバート、二人の若いFWの決定力のなさに救われた(いやいや、日本代表の未来は……)。
そうそう、この日は鹿島の右サイドには内田ではなく、新外国人のアリが入っていた。サイドでもボランチでもいけるというユーティリティ・プレーヤーらしいけれど、この日のプレーを見る限りでは、まあ悪くないようだ。やや雑なプレーもあったけれど、ボールさばきは結構上手そうな感じ。近いうちに名良橋が復帰するという情報もあるので、右サイドのポジション争いにも注目したい。
そう言えば今日の試合では左サイドは新井場ではなく石川だった。なぜ新井場が欠場かは不明。Jリーグの公式ページをチェックしてみた限りでは累積警告による出場停止でもないみたいだし……。
なんにしろ、今年のアントラーズはポジション争いも結構熾烈だし、その辺がいい形に出ているんだろう。いやいや、いいぞ、単独首位。まだシーズンの五分の一とは言え、首位はとても嬉しい。どうせならばこのまま小笠原がしたいと言う通り、ぶっちぎりで優勝しちまって欲しい。大いに期待している(げんきんな奴)。
あ、最後に。この日のスタメンは曽ヶ端(あいかわらず素晴らしい)、アリ、岩政、大岩、石川、深井(なぜかMF登録)、青木、フェルナンド、小笠原、アレックス・ミネイロ、本山というメンツでした。
(Apr 24, 2005)