中国2-2日本
東アジア選手権/2005年8月3日(水)/韓国・大田(テジョン)/テレビ朝日
楢崎、坪井、茶野、茂庭、駒野、阿部、今野、村井、本山、田中達也、巻。あとがない東アジア選手権第二戦においてジーコが選んだのは、全員、前の試合で控えだった選手たちだった。
スタメン総入れ替え。思い切りがいいにもほどがある。そう言いながら、そのメンバーでの試合にわくわくしている自分もいた。仕事が滞っていることもあり、このところ内容も低調なので、本当ならばこの試合は録画でもいいかと思っていたりしたのだけれど、総入れ替えという話を聞いて、こりゃリアルタイムで見ないとと思い直したくらいだ。変わり映えしないことをトレードマークのようにしてるジーコの日本代表にあっての、ここまで劇的な変化があることは、やはり新鮮きわまりなく、捨て難い魅力だった。
選ばれた選手たちもそんなチームにおけるチャンスの少なさを知っているがゆえに、序盤からガンガンと飛ばして、ものすごく爽快な攻撃を見せてくれた。おー、なんておもしろいサッカー。これはもしかしてこのメンバーでレギュラー奪取かという勢いがあった。だにしかし。
その勢いが続いたのは最初の三十分だけだった。結局その間に猛攻を見せながらも得点を奪えなかった日本は、その後は疲労からか、ばったりと足がとまり、逆に2点を奪われて前半を終えるというていたらくとなった。
後半は阿部の芸術的なFKのこぼれ球を茂庭がダイビングヘッドで押し込み、田中達也が爽快きわまりない同点ゴールを叩き込んで、同点までおいあげてみせてくれはした。ただ結局、前半途中からの動きの悪さは後半もあいかわらずで、チャンスは作れど得点には到らず。ドローのまま試合終了、優勝は極めて厳しい状態となった。
ジーコは失点はミスが原因だと一刀両断していたけれど、それは弁解だろう。平均身長が180センチを超えるという中国相手に、急造のDFで対戦したのだから、ある程度の失点のリスクは覚悟しないといけない。実際、空中戦はほとんど競り負け続けだった。相手のFKやCKの場面は危なっかしくて見ていられなかった。
最初の失点の場面は、マークについた本山が守備の拙さからきれいなクロスをあげられてしまい、それにあわせた選手に3バックの誰一人対応できないという形。坪井が後からついていったたけれど、マークがずれ過ぎていた。2点目はFKから。本当に中国の高さにはまるで対応できていなかったから、これはもう仕方のない失点だと思った。
でもDFを入れ替えていなければ、これらの失点は防げただろう。少なくても今年これまでに2失点を喫した相手はイラクとメキシコだけだ。若手中心にチームを再編成中の今の中国がそれらの相手に匹敵する強敵だとはとてもじゃないけれど思えない。よってこの日のドローはジーコの采配ミスだったと僕は思う。勝ちにこだわると言いながら、どうしてスタメン総入れ替えなんていうドラスティックな作戦に出るかな。本当にジーコという人はわからない。
ジーコの采配うんぬんはおいて強い不満を感じるのは、やたらと横パス、バックパスが多いことだ。これは今回のメンバーだけの話ではない。ジーコが監督になってからはずっとそれを一番の不満に感じている気がする。ボール・ポゼッションを重視するあまり、安全第一の消極的なボール回しが多過ぎる。優勝を狙うならば絶対勝たなくてはならない試合で、同点においついたあとのあのちんたらとしたボール回しはなんなんだ。ストレスがたまることおびただしい。
なんでバックパスが増えるかと言えば、相手が引いてきてパスの出しどころがないというのもあるだろうけれど、それよりも一対一に対する自信がないからなんじゃないだろうか。相手がチェックに来た時に自信を持って相手をかわす、というような場面があまり見られない。なんだか恐がって味方にパスをして逃げている感がありありだ。そんなプレーばかり見せられていれば嫌になって当然だろう。
中田が一対一に負けないようにならないと世界とは戦えないという発言を繰り返して、チーム全体がそれを強く意識したのがコンフェデだったはずだ。この大会の日本代表はもう既にそのことを忘れてしまっている気がする。
アジアの国を相手に逃げの横パスばかりを連発して無為に時間を失ってばかりの日本代表なんて見たくない。こういう試合を見せられると、やはり日本代表にはまだまだヒデが必要不可欠だなと思わされてしまう。
(Aug 04, 2005)