サウジアラビア1-0日本
アジアカップ最終予選/2006年9月4日(日)/サウジアラビア・ジッダ/テレビ東京(録画)
日曜の深夜2時半キックオフの試合。しかも翌日に飲み会が控えているとなると、人一倍体力のない僕には、危なくてとても生では観られない。ということで仕方なくワールドカップの時と同じように、翌朝6時に早起きして録画で見た一戦。
スタメンは前回のイエメン戦と同じメンツだった。でもこの日はフォーメーションが若干違う。中盤でボールをさばくのが鈴木啓太ばかりだから、阿部はいったいどうしたんだろうと見てみると、彼はディフェンス・ラインに飲み込まれ、坪井と闘莉王ときれいに並んでいる。なんだよ、今日は3バックじゃないか。
あとでインタビューを読んだところ、相手が2トップの場合にはそうしようと、闘莉王らとあらかじめ打合せをしていたのだそうだ。アジアの強豪相手ということで、慎重を喫したのだろう。そういう風にメンバーが勝手に話してフォーメーションを決めてしまうというのも、オシム・ジャパンならではという気がする。
なんにしろ自主的に3バックを選択してしまった以上、攻撃力の低下は避けられない。啓太から前へのつなぎがスムーズにいかず、パスミスをカットされてばかりという、じれったい展開がけっこう続いた。特に序盤は非常にパスミスが多かった。見ていて嫌になってしまった。オシムも前半の十五分は最悪だったと言っていたようだ。
まあ、それでもその後は徐々にいい形が出せるようになってゆく。たまに遠藤がボールに絡んだ場面では、ダイレクトパスがきれいにつながり、おっと思わせることもあった。暑さを考えると、最後まで足が止まらずに立派に戦っていたし、悪い内容ばかりだったとも思わない。でもやはり得点できそうな感じは、最初から最後まであまりなかった。
ただしそれは相手のサウジアラビアも一緒。守備はともかく攻撃の面では、ホームでこの程度かと思わせる出来だった。こりゃあ、スコアレスの引き分けが妥当な結果かなと思った。ところがどっこい、日本が先制点を奪われてしまう。
失点の場面もミスからだったようだ(記憶なし)。ミスで失ったボールをシュートまで持ち込まれ、そのシュートが闘莉王が出した足に当たって、よりによってフリーになっていた敵の足元へ。あの位置でフリーでボールをもたれてしまったら、さすがの川口でも止めようがない。これをきちんと決められて、オシム・ジャパン発足以来の初失点を喫し、なおかつそれが初黒星の決勝点となってしまった。
確かにフリーの敵にボールが渡ってしまったのは不運だった。失点のきっかけとなるその前のシュートも、闘莉王が触っていなかったら、川口が普通にセーブできていたようなシュートだったし。ただし3バックで守っていたのだから、あの位置でフリーの選手を作ってしまっていたこと自体はミスじゃないんだろうか。どうにもマークが甘かったように思えた。
そうそう残念だといえば、オシムも指摘していたラストシーン。ロスタイムの最後の最後にボールを持った駒野が、クロスを入れて終わればいいところで、出しどころをためらって、横パスを選択した直後に試合終了の笛が鳴ってしまった。残り時間がないのはわかりきっているのに、なぜあの場面で強引にでもクロスを入れられない? なんでもオシムからは「状況を考えてクロスを入れるように」と指示を受けていたそうだけれど、あの場面は素人の僕が見たって、パワープレイが当然の時間帯だ。90分以上戦って疲れ切っていたにしろ、そのくらいの判断はできて欲しかった。あれではオシムに「子供だ」と非難されても仕方がない。
でもまあ、サウジにとっての得点のチャンスはたった一度だけ、あのゴールの瞬間だけだった。攻撃的MFに遠藤やアレックスを起用しているのは、このチームは全員で守備をするんだというオシムの意思表示だと思う。その点から言えば、ほとんど相手にチャンスを与えなかったのだから、いい戦い方ができていたと言っていいんじゃないだろうか。実際に全体的な内容では間違いなくこちらが上だったと思う。それだけにこの結果はとても残念だ。
(Sep 06, 2006)