日本0-1ガーナ
2006年10月4日(水)/日産スタジアム/TBS
直前のリーグ戦で坪井と闘莉王が負傷、おまけにちょっと前に加地も負傷で、それでなくても少ないDF陣はほぼ全滅状態。強制的に新しい布陣を試さざるを得なくなったオシムさん、いったい誰を招集するのかと思ったらば、阿部に加えてジェフの水本、そして今野を最終ラインに配置しての3バックときた。そこまで日本のセンターバックは使えないと思っているのだろうか。どうにもよくわからない。
そもそも水本のほかにも攻撃的MFにはジェフの山岸をスタメン起用した上に、最初の選手交替が羽生だったりする。羽生が入った時点でフィールドプレーヤーのうち、半数がジェフの選手だ。どうにもジェフ贔屓の感が強すぎて、正直おもしろくなかった。
でもその羽生の投入をきっかけとして、後半が半分過ぎたあたりから、ばたばたと選手が入れ替わる。播戸、我那覇、中村憲剛、長谷部、そして二川。見たいと思っていた選手を次々と使ってもらえたことで、途中からはジェフ偏重に対する不満もすっかり忘れて、夢中で試合のゆくえを追っていた。
それにしても噂には聞いていたけれど、中村憲剛がいい。縦へと積極的なスルーパスを連発するプレーにはとても好印象を受けた。彼のプレーはもっと長いこと見てみたかった。今度、フロンターレの試合を一度ちゃんとチェックしてみよう。
話が前後するけれど、この試合のスタメンはGK川口に、DFは前述の3人、中盤が駒野、啓太、アレックス、遠藤、山岸、そして巻と佐藤寿人の2トップという布陣だった。ちなみに佐藤寿人にとってはこれが代表での初スタメンだそうだ。それはちょっと意外。
それにしてもこうして見ると、フィールドプレーヤーのうち、FWの二人をのぞいたそのほか全員が、ディフェンダーかボランチの経験者だ。こうした人選に、オシムのまず守備ありきという方針が見てとれる。基本的な選考基準は、キックが正確であること、ボール奪取力に優れていること、90分コンスタントなプレーができること、そしてこれらのうち複数を備えていることなんじゃないかと思う。
とにかく基本的に守備的MFの集まりのようなチームなので、実際に試合を見ていても、ポジションがとても流動的で、誰がどこにいるか、よくわからない。それでいて全員が全員、ニアボールの時にはきちんとプレスにゆくという姿勢で一貫している。フォローがしっかりしているから、あまり危険なシーンは作られない。なので、得点力不足はあいかわらずの問題ではあるけれど、守備面ではかなりいい試合ができていると思う。しかも引いて守って、という消極的な姿勢ではなく、常に前から奪いにゆくという積極的なディフェンスが効いている。その点はとてもいい。急造の3バック、しかもプロパーなディフェンダーは水本だけ──この子はまだ21歳──という布陣でワールドカップ決勝トーナメントに進出したチーム相手に1失点なのだから、まあ及第点だろう。
ガーナに失点を許した場面は、ちょっと相手が見事すぎた。ペナルティエリア左側から高速クロスを入れられ、それにずばっとあわされたもので、あまりのスピードに僕にはシュートが見えなかった。ガーナは全体的なボールコントロールという点ではかなり雑な印象だったけれど、ここという瞬間のスピードが半端じゃなかった。何度、なんだそりゃと驚かされたことか。あの瞬発力はちょっと真似しても身につくものじゃない気がする。
なんにしろ代表初キャップの選手が、播戸、中村憲剛、山岸、水本の4人、さらに初スタメンが佐藤寿人に今野と、いままでとは違った選手のプレーが見られたおかげで、新しいものの日本人のひとりとしては、負けはしたけれど、なかなか悪くないゲームだったと思っている。
(Oct 04, 2006)