2007年8月のサッカー

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  1. 08/04   J-WEST3-2J-EAST (JOMOオールスターサッカー)
  2. 08/15 ○ 鹿島3-2千葉 (J1・第20節)
  3. 08/22 ○ 日本2-0カメルーン
  4. 08/22 ○ U-22日本1-0U-22ベトナム (五輪最終予選)
  5. 08/29 ● G大阪5-1鹿島 (J1・第23節)

J-WEST3-2J-EAST

JOMOオールスターサッカー/2007年8月4日(土)/エコパスタジアム/テレビ朝日

 横浜FCがJ1に昇格してきたため──今年一杯でまた降格しちゃいそうな勢いだけれど──、カズがひさしぶりに登場。ゴン中山と東西にわかれて、最年長FW対決ということで話題を呼んだ今年のオールスターだった。アントラーズからの選出は、今年も去年に引き続き、最年少の内田篤人のみ。
 カズとゴンの二人がいまだに現役でバリバリがんばっているというのは、同世代の僕としても心から嬉しいのだけれど、それよりも、この日の個人的な注目は、日本代表ではなかなか見る機会のなかった、中澤と闘莉王のセンターバックコンビだった。スタメン表で二人の名前を見たときには、おうっ、ついにこのコンビが観られるのかと興味津々だったのだけれど、だにしかし。
 闘莉王、あがってばっかりで、ぜんぜんディフェンスしてないじゃん……。まあ、お祭りゲームでディフェンダー同士のコンビネーションもあったもんじゃないので、やはりこの形の是非は、今後のお楽しみってことにしておくべきなんだろう。
 なんにしろこのコンビに加え、中盤では、かたや中村憲剛と小野が一緒にプレーをしているのが観られたり、最年少・内田篤人のクロスでカズがシュートを打ったりと。こういう思わぬ組み合せを楽しめるのもオールスターならではだ。それに、今年の試合は、最年長の二人が真剣にプレーしているせいか、少なくても去年のようにおちゃらけたプレーはまったくなくて、全体的に勝つんだという意欲が感じられて、好印象だった。前半のキックオフ早々、最終ラインでボールを回し始めたのは、ちょっと苦笑いもんだったけれど。日本代表じゃないんだから、なにもこんな試合でそんなに慎重に入らなくても……。
 苦笑ものといえば、やはり最初のゴンのオウン・ゴール。あれはあまりにあまりにビューティフルだった。その後、自身でちゃんとWESTの1点目を決めてみせたりもしたし、さすが千両役者。最多得票で出場を決めたカズも、フル出場してがんばっていたのだけれど、結果ではすっかりゴンに食われてしまっていた。ま、とりあえずそんな風にカズを最後まで使った関塚さんはナイス采配だった。
 ちなみに、対するWESTの監督は、地元清水の長谷川健太氏。こちらは途中まで負けていたせいもあって、勝ちに徹したんだろう、後半途中でゴンを見限っていた。WESTはキャプテンも清水の藤本で、彼はWESTでの最多得票だとのこと。藤本がキャプテンマークをつけるたあ、またひとつ時代が変わったなあと思った。
 そう言えばこの試合では、ゴンの2ゴールを含め、その他の得点も、我那覇、佐藤寿人、大久保と、みんなFWだった (MVPは終了間際に決勝ゴールを決めた大久保)。日本代表でもこれくらいFWが活躍してくれれば、アジアカップもまたちがった結果になったかもしれないのにねえ。まあ、彼らFW陣には、今後の巻き返しを期待しよう。
 なんにしろ、ひさしぶりにカズやゴンや小野の元気なプレーが見られて、なかなか楽しいゲームだった。
(Aug 06, 2007)

鹿島アントラーズ3-1ジェフ千葉

J1・第20節/2007年8月15日(水)/カシマスタジアム/BS1

 いやはや、強いじゃないか、アントラーズ。ほんと、開幕当時の低迷が嘘みたいだ。
 Jリーグが再開して二試合目となるこの試合、スタメンは曽ヶ端、内田、岩政、ファボン、新井場、中後、小笠原、本山、野沢、マルキーニョス、田代という顔ぶれだった。
 そう、小笠原が帰ってきた。背番号は40だ。アジアカップ前のチームはかなり調子が上向きだったので、ここに小笠原が加わったら、バランスが崩れて、かえって逆効果になりはしないかと、ちょっと心配したのだけれど、そんな心配は無用だった。小笠原はまったく違和感なく、いままでいなかったのが嘘のような顔をして、チームになじんでいた。いきなりキャプテンマークつけてるし、篤人がもらったPKも自分で蹴るし。
 彼が決めてみせた復帰弾の勝ち越しゴールもとても素晴らしかった。マルキーニョスからゴールエリア斜め前のスペースへ出たボールに、ステップを踏んでタイミングをあわせて、ノートラップで打ったミドルシュート。あの位置で積極的にシュートを打っていった姿勢にイタリアでの苦労を感じた。日本代表に復帰するのではないかという噂があるけれど、こういうプレーを続けていれば、それも当然だと思う。もとより攻守のバランスのとれた、オシム好みの選手であるのだし。
 いやしかし、オガサがイタリアでプレーの幅を広げ、野沢や中後も成長著しい昨今、もしかしたら、いまのアントラーズは近年最強なんではないかという気がしてきた。それくらいこの試合はよかった。ワンタッチでのアイディアのあるパスがあちらこちらから出て、見ていて気持ちいいこと、この上ない。もしかしたら、アジアカップの日本代表よりも、いまのアントラーズのほうが強いんじゃないかとさえ思ってしまった。
 スタメンでそのほか目を引いたのはファボンの復帰。この試合ではいきなり綺麗なオウンゴールを決めてくれてしまったけれど、それでもこの人と岩政のコンビはかなり強力だ。右サイドの内田篤人は最年少でA代表の合宿に呼ばれるくらいの逸材だし、逆サイドの新井場も守備力はそこそこながら、この日は追撃のミドルを決めて、攻撃センスのよさを見せてくれた。この4バックは余所様に自慢できるのではないかと思う。
 FWで田代が出ているのは、柳沢が前節でイエローカードを二枚もらって退場してしまったせい。いきなりなにをやっているんだか。
 まあ、なんにしろFWも柳沢、マルキーニョス、田代、興梠、佐々木と、ベテランから若手まで、なかなか駒がそろっている。これはやはり攻守ともに最高の状態じゃないだろうか。首位のガンバまで勝ち点8というのはかなりの差だけれど、それでも、いまの状態ならば、ガンバやレッズとも五分に戦えそうだし、直接対決に勝てば、まだ優勝の望みはある。ぜひともがんばってもらいたい。
 対するジェフは、羽生が怪我で欠場だったのを除けば、巻、山岸、水野、佐藤勇人、水本ら、日本代表でおなじみの選手がたくさん揃っていた。それにしては、あまり怖くない。後半はやや押される時間帯もあったけれど、それでも結局、許した得点はオウンゴールの1点だけだったし、どっちが日本代表を多く擁しているんだか、わからないような試合だった。
(Aug 16, 2007)

日本2-0カメルーン

2007年8月22日(水)/九州石油ドーム(大分)/テレビ朝日

 さて、闘莉王の復帰にともなう阿部の起用法に注目していたこの一戦。オシムの選択は、やはり阿部のボランチ起用だった。しかも選手交代が多かったこの試合で、阿部は中盤より前の選手としては、唯一のフル出場。どうやらオシムの彼に対する信頼と期待は、ゆるぎないらしい。阿部と啓太のコンビでは、どうにも守備的な印象が強すぎて、僕としては気にいらないんだけれど、まあ、今回は思いきってそのほかの千葉の選手をすべて代表から外したことだし、彼ひとりくらいはご贔屓がいても仕方がないかなと思う。
 ということで、この試合のスタメンはGK川口、DF加地、中澤、闘莉王、駒野、MF鈴木啓太、阿部、遠藤、FW前田、大久保、田中達也という11人。フォーメーションは4-3-3で、{ちまた}の注目は、もっぱらの新顔の3トップだった。アジアカップが終わっての再出発の一戦ということで、選手交替もさかんに行われ、今野、山瀬、寿人、高松、憲剛、橋本と、ベンチ入りしたフィールドプレーヤーは全員ピッチに立った。招集を受けた18人のうち、出場機会がなかったのは楢崎のみとのこと。
 試合内容はといえば、やはり印象的にはいまいち。相手がカメルーンという、それなりの強豪だとしたところで、あちらは試合直前の来日でコンディションはぜんぜんみたいだし、あまり完封勝利だと喜ぶ気にはなれない。なんたってアジアカップの印象が悪すぎた。あの大会まで、親善試合ではほとんど失点していなかったのに、それがいざ真剣勝負の場に出たとたんに、あのていたらくだったのを考えると、いまさらホームでいくらディフェンスがいい試合をしても、よくやったという気にはなれない。逆にオフェンスでは、あいかわらずボールは回せるのにフィニッシュの回数が少ないとか、精度が低いとか、旧来の課題がそのまま残ってしまっているし。
 やはり攻撃のバリエーションを増やすならば、ボランチは阿部や啓太よりも中村憲剛でしょう。まあ、アジアカップでは阿部のセンターバックでの起用に加え、憲剛をボランチに起用したがゆえに守備力が低下したという面もあったのかもしれないから、まずは守備ありきとするならば、この日のような布陣がもっとも安定感があるのかもしれない。けれど、僕自身は、ちょっとくらい守備力のリスクを負ってもいいから、できる限り攻めて欲しいと思っているので、やはり啓太と阿部のダブルボランチというのは、あまり気に入らないのだった。
 アテナ五輪代表のときにはほとんど見る機会がなかった田中達也と大久保のコンビが見られたり、代表に復帰したばかりの闘莉王や山瀬が見事なゴールを決めたりと、それなりにいいシーンもあったものの、なにはともあれ、アジアカップからまだひと月たらず。いまだ祭りのあとといった気分が抜け切らず、あまり盛りあがれない一戦だった。
(Aug 25, 2007)

U-22日本1-0U-22ベトナム

オリンピック最終予選/2007年8月22日(水)/国立競技場/BS1

 やっぱりA代表と五輪代表の試合を同じ日にやるなんてのはなしでしょう。しかも平日に、A代表の試合が終わってから10分もしないで、五輪代表の試合がキックオフになるなんてタイトなスケジュールは、あまりにむちゃだ。日本サッカー協会もなにを考えているんだか。おかげさまで僕は集中力が持続しなくて、不覚にも後半はうつらうつらしてしまった。この暑いなか、戦っている選手たちに申し訳ない。
 なにはともあれ、北京オリンピックへ向けた五輪代表の戦いも、この試合からとうとう最終予選に突入。同じグループにいるのは、ベトナム、サウジアラビア、カタールという、つい先日A代表がアジアカップで戦った国ばかりだ。でもってA代表は、そのうちサウジに負け、カタールと引き分けている。それを考えると、五輪代表も決して楽な戦いはさせてもらえそうにない。それでなくても、ここまで先行きに不安を抱かせるような試合ばかりしている五輪代表だ。本当にオリンピックに出られるのか、心許{こころもと}なくていけない。
 この日の試合でも、そんな不安感を解消するような戦い方は見せてもらえなかった。序盤こそ水野を中心にいい感じで攻撃を仕掛けていて、これはもしかしたら、さっきまで見ていたA代表の試合よりもおもしろいかもと思わせたものの、なにせ得点が取れない。あれだけ圧倒的にゲームを支配していて得点できないと、かえって攻められっぱなしよりもストレスがたまる。結果、セットプレーからの1点のみで終わってしまったのでは、なおさらだ。グループ中、もっとも力が劣ると思われるベトナム相手に、ホームで1-0の辛勝って……。この調子で本当にオリンピックにゆけるんだろうか。不安だなぁ。
 この日の出場選手は、スタメンがGK山本(清水)、DF細貝、青山直、水本、MF梶山、本田拓、水野、本田圭、柏木、FW平山、李忠成で、フォーメーションは3-5-2、途中出場は家長、岡崎の二人のみだった。西川と伊野波が負傷のため、欠場。アントラーズからは内田篤人だけで、増田、興梠は呼ばれていない。内田にしろ3バックでは出番がなさそうだし、鹿島ファンとしては、そうした面でもあまりおもしろくないのだった。
 まあ、それでも、水野はあいかわらず素晴らしいし、平山も不出来ながら、さかんにシュートを打っていた姿勢は悪くないと思った。
 あとはやはり、U-20での活躍を認められて合流した、注目の柏木陽介(広島)。貴重な決勝点は彼のCKを青山が頭であわせたものだった。チームに加わって間もないのに、いきなりCKを任されるだけの技術力があって、なおかつ運動量が豊富なところがいい。さかんにピッチ中を駆けずり回っていて、非常に好印象だった。
 柏木については、試合後のインタビューで「このチームに貢献できることはなんですか」と訊ねられて、「あかるさです」と答えていたのにも、思わず笑ってしまった。そういう話じゃないでしょうに。この子はプレーもキャラもおもしろそうだ。
(Aug 25, 2007)

ガンバ大阪5-1鹿島アントラーズ

J1・第23節/2007年8月29日(水)/石川県西部緑地公園陸上競技場/BS1

 これくらい派手に負けてくれちゃうと、感想を書く気も失せるというか……。いやはや、2週間前に「もしやいまのチームは近年最強じゃないか?」なんて思った自分が恥ずかしくなるような惨敗だった。
 ちゃんと調べていないけれど、なんでもアントラーズが5失点を許したのは4年ぶりだそうだ。僕個人がこれほどの大量失点を喫するのを見たとなると、94年の天皇杯決勝で、横浜フリューゲルスにボロ負けしたとき以来じゃないかとさえ思う。でも、あの時はたしか退場者が出たし、崩れたのは延長戦に入ってからだった。この試合みたいにベスト・メンバーで戦って、Jリーグのチーム相手に90分間でこてんぱんにされるところなんて、とんと見た記憶がない。ほんと、信じられないような大敗だった。
 まあ、始まる前から嫌な流れだとは思っていた。なんたって、それまで首位を独走していたガンバが、ここのところ三戦連続白星なしで、レッズに首位を明け渡したのみならず、すでに勝ち点4の差をつけられている。ここで踏んばらないとあとがないという思いはさぞや強いだろう。そんなチーム相手に、そう簡単に勝てるわけがない。鹿島に有利な点があるとすれば、あちらとちがって日本代表がいないから疲労の心配が少ない点──ちょっと情けない──、それとガンバの年一度の北陸遠征だということで、試合会場が純粋なアウェイではない点。あとは4連勝中の勢いで、なんとかなるかもという期待はあった。
 ところが、いざ始まってみると、そんな淡い期待はどこへやら、試合は序盤から一方的なガンバのペース。試合前に遠藤が「中盤で負けなければ勝てると思う」と語っていたそうだけれど、まさしくそんな展開だった。的確なプレスで中盤を制圧するガンバの前に、アントラーズ自慢の中盤は沈黙したまま手も足も出ない。攻撃といえば、最終ラインからロングボールを放り込むばかり。でもって、そのボールがツートップに収まらず、反撃の糸口さえ見出せない。
 そうこうするうちに、二川のクロスにバレーが頭できれいにあわせて、ガンバが先制。その後も遠藤、バレーの個人技でさらに2点を奪われ、前半だけで3-0と引き離されてしまう。遠藤も、ああいう積極的なシュートは日本代表で打って欲しいもんだ、まったく。
 この日の試合で唯一収穫があったとすれば、柳沢と交替で後半あたまからピッチに立ったダニーロの出来くらいだった。これまで失望させられてばかりだったこの人が、この試合ではようやく、助っ人らしい働きを見せてくれた。
 ブラジル時代は、プレースタイルがジダンに似ているというので、ジダニーロと称されたという噂のダニーロだけれど、これまでの試合では、あまりの凡庸なプレーぶりで、どこがジダンだって感じだった。それが、この試合では、大きな身体で巧みにボールをキープしてみせる姿勢に、なるほど、ジダンに似ていなくもないかなと思わせるものがあった。この日、唯一の得点も彼の意表をつくダイレクト・プレーから生まれたものだったし、半年待ってようやく、ただのでくの坊ではないところを見せてもらえた気がした (いい加減、遅すぎる感はあるけれど)。中盤での劣勢をはね返すベく、思い切って1トップにして、中盤を厚くしてみせたオリヴェイラ監督の采配もよかったと思う。
 でもまあ、そんな風にダニーロの出来がこれまでよりもよかったからといって、彼ひとりが入っただけで、それまでの劣勢がいきなり改善されるはずもない。彼のボール・キープ力が効を奏して、前半よりもちょっとはマシな試合になりはしたものの、結局、後半も2失点を喫しているのだから、やはり惨敗もいいところだった。
 ちなみにガンバの後半の2得点は、どちらも播戸がDFやGKに競り勝って、泥臭く決めたもの。バレーと播戸のツートップで4得点……。うーん、かなわない。マグノ・アウベスと播戸という強力なツートップを擁しながら、補強でバレーを獲得したときには、ずいぶんともったいないことをするなと思ったものだけれど、こうしてマグノ・アウベスが怪我をした状況で、こうも豪快な勝ち方をされてしまうと、バレーの獲得はじつに慧眼だったと、素直に認めて降参するしかない。
 アントラーズ唯一の得点は、内田篤人が左サイドへと展開したクロスを、ダニーロがダイレクト・ボレーで真ん中に折り返し、それをゴール前に詰めていたファボンが落ち着いて決めたもの。あの辺の落ち着きぶりは、DFとはいえ、さすがブラジル人だ。なんにしろ、このゴールで一矢報いるのがやっとという、この日のアントラーズだった。
 これで首位のレッズまでの勝ち点差はじつに10。ここまでわずか1敗のレッズが、残りの10試合ちょっとで3敗以上するというのは、ちょっと考えにくい。うーん、今シーズンもどうやらここまでみたいだ……。
(Sep 01, 2007)