鹿島アントラーズ3-0清水エスパルス
J1・第34節/2007年12月1日(土)/カシマスタジアム/BS1
鹿島アントラーズ、まさかのJ1逆転優勝で十冠達成……。しばし呆然。
こんなことになるなんて、僕は想像だにしていなかった。2ヶ月前の時点で優勝はもうないと思っていた。いくら可能性があると言ったって、アントラーズがひとつでも負ければおしまいなわけだし。もしくはレッズがあとひとつ勝っていればおしまいだったわけで。それがまさか、最後の最後でアントラーズがJリーグ新記録となる9連勝を達成するは、一方でレッズが最後の5節を0勝2敗3分なんて成績で終えるは……。こんな結末、いったい誰に想像できただろう? 残り5試合を残した頃だったか、小笠原か岩政が「残りはすべて勝ちます」とか言っていたけれど、まさか本当に成し遂げてくれちゃうなんて、思ってもみなかった。
まあ、アントラーズの9連勝はともかく、レッズがここまでの不調に陥るというのは、あまりに意外だった。totoのデータを見れば、今節の浦和レッズ対横浜FC戦は、レッズの勝ちに賭けた人が81.4%だ。つまり日本中のtoto購入者のうち、8割以上の人がレッズの優勝を信じていたことになる。いちおう僕は残り2割のうちに含まれるわけだけれど、それにしたって賭けたのはレッズの引き分けだったし、それだって希望的観測ってもので、まさかレッズが負けるとは思っても見なかった……。
うーん、こんなことってあるのかい?
試合が終わってからしばらくのあいだ、僕の頭の中では、ストリート・スライダーズの 『のら犬にさえなれない』 の中の、そんなフレーズがリピートしまくっていた。
なんにしろ、最終節で大逆転して、鹿島アントラーズの6年ぶりのリーグ優勝が決まった。日本代表のいないチームが日本一に輝くのは初めてだという話があるようだけれど、最終節まで一度も一位になったことがないチームが優勝するなんてのも、初めてなんじゃないかと思う。いずれにせよ、勝ち星の数22は文句なしにリーグ1だ。もしもこの日の試合で浦和が勝ったとしたところで抜かれないんだから、胸をはって威張れる。よくもまあ、あの序盤の低迷からここまで這い上がってくれたものだと思う。
ちなみに今回の優勝に関して、僕にはひとりだけ気の毒だなあと思っている人がいる。それが新井場。
彼が04年に移籍してきて以来、アントラーズはすっかり優勝と縁遠くなっていた。その一方で、それまで彼が所属していたガンバ大阪は、彼がいなくなってから突然強くなり、いまや押しも押されぬ強豪チームへと変貌を遂げている。その点だけを見ると、まるで新井場は貧乏神のようだ。勝ち運がない人というのがいるけれど、新井場という人はまさにそういう存在なんじゃないかと思う。
そんな彼にもようやく優勝の喜びを味わう日がやってきた──と思ったらば、その大事な試合で出場停止ときた。ラッドウィンプスの歌じゃないけれど、どんだけ運が悪いんだろう。ここまでついてないと、もしかして優勝できたのは、彼が出場停止を食らったおかげじゃないかという気さえしてくる。このままじゃあまりに気の毒だから、そんな不憫な新井場くんのためにも、今年はいっそのこと天皇杯も制して、2冠を達成して終わって欲しいと思う。
あ、あとひとつ残念なことがあるとしたら、それはこの優勝をオシムに見てもらえなかったこと。自らが日本代表に選んだ選手がほとんどいないアントラーズの優勝を御大がどのように受け止め、その後の代表招集にどういう影響が出たか、見てみたかった。いまとなると叶わぬ夢になってしまったようで悲しいけれど……。いまは鹿島の優勝を祝う一方で、オシム先生の一日も早い回復を願ってやみません。
さて、最後にこの試合についてざっと。
スタメンは新井場のポジションにルーキーの石神を入れた以外は前節と一緒。対する清水はチョ・ジェジンが不在のところ、五輪代表の岡崎が思いがけない存在感を発揮したりしていて、なかなか
その後の2得点は後半の早い時間で、本山のミドルとマルキーニョス。この二人の活躍も今年のポイントだろう。とくに本山は今年、全試合出場を成し遂げたのだそうで、それはあっぱれ。通年でわずか2得点というのはさびしいけれど、まあその分、守備の意識も高くなり、運動量も豊富だったし、今年は背番号10に値する存在感を示してくれたと思う。
それにしても試合が終了した途端に──まだレッズの試合が終わってもいないのに──、率先してピッチに駆け出して、大喜びしていたオリヴェイラ監督はおかしかった。この人、本当にいい人だと思う。今年はほんと、いい指揮官に恵まれて、幸運だった。
最後に、見事レッズに勝ってくれた横浜FCに感謝を。特に決勝ゴールのお膳立てをしてくれたカズ、素晴らしいアシストをありがとう~。
(Dec 01, 2007)