ガンバ大阪1-0柏レイソル(延長1-0)
天皇杯・決勝/2009年1月1日(木)/国立競技場/NHK総合
ここ2年、クラブワールドカップに日本のチームがつづけて出場したことで、Jリーグの位置付けが軽くなった気がする。Jリーグでの優勝はあくまで通過点であり、その先にあるアジアを制して、クラブワールドカップで世界の強豪と対戦したチームこそ、日本一である──そんな雰囲気が一般的になったように感じている。
おかげでJリーグで1シーズン制になってから初の連覇という快挙をなし遂げたというのに、アントラーズの影の薄いこと……。やはりクラブW杯でマンU相手に派手な打ち合いを演じてみせ、天皇杯でも野戦病院状態になりつつ決勝進出を果たしたガンバこそ、08年シーズンの主役だった──アントラーズが好きな僕でさえ、そんな風に感じてしまうこの年末年始だった。
この天皇杯・決勝も、ガンバにとっては簡単な試合じゃなかった。遠藤、橋本が足の痛みを押しての出場だったというし、二川はやはり使えない。ということで西野さんはACLからメンバー構成を若干いじって、播戸をベンチに下げ、寺田をスタメンで起用。ルーカス、山崎のツートップとして、遠藤を攻撃的なポジションで起用してきた。遠藤を高い位置に置いたのは、足を痛めている彼の守備での負担を減らそうという意図だったという。
しかしながらこの形が機能しない。フォーメーションの問題ではなく、過密日程による疲労の影響が大きかったのかもしれないけれど、序盤は得意のポゼッション・サッカーが展開できず、柏に主導権を握られたままだった。
しかしながら、フランサと李忠成の二人を温存したままの柏も、藤ヶ谷の好セーブにあったりで、あと一歩ゴールに及ばず(この日の藤ヶ谷は当たりまくりだった)。その後、次第にエンジンが温まってきた感じでガンバがいくぶん盛り返し、前半はスコアレスのまま終了する。
柏は後半のあたまから切り札のフランサを投入。彼の巧みなボール・コントロールでゲームを支配し始める。
しかしながら、おもしろかったのはこのあと。ガンバの遠藤が自らの提案で橋本とポジション・チェンジして、ボランチの位置に下がってボールをさばき始めてから(もしかしたら後半の初めからそうだったのかもしれないけれど、僕が気がついたのはそのあたりからだった)。
これでゲームは一気にガンバのペースになった。以降、柏が李を投入しても流れは変わらず、終始ガンバが試合を支配していたと思う。この形がいまのガンバにとってはベストなんだろう。それにしても遠藤、おそるべし。攻守ともにその貢献度ははんぱじゃなかった。
結局、播戸の決勝ゴールが決まったのは、延長も残り3分とかだったけれど──播戸は延長後半からの出場──、後半のなかばくらいから先は、いつそれが決まってもおかしくない展開だったと思う。
ということで、ガンバが過密日程の最後の最後に120分を戦いぬき、しぶとく勝利を収めて優勝、今期のACLへの出場権を獲得した。クラブW杯の三位決定戦もそうだったけれど、こういう苦しい試合をどうにかして勝ち切るあたり、ガンバは常勝チームならではのしぶとさが身についてきた気がする。強敵の成長はあまり喜ばしいことじゃないので、やや困りもの。
レイソルは石崎監督のラストゲームだということで、石崎さんを胴上げしようとここまでがんばってきたようだけれど、今期のACLを見据えるならば、出場権のかかったこの試合に勝ってもらっては困るかなあというのが、野次馬としての正直なところ。やはりJリーグを代表してアジアで戦うからには、それなりに勝算のあるチームに優勝して欲しい──そんな風に思ってしまうところにも、クラブW杯効果をありありと感じる今年の天皇杯決勝だった。
(Jan 05, 2009)