鹿島アントラーズ2-0浦和レッズ
J1・第1節/2009年3月7日(土)/カシマスタジアム/NHK
Jリーグ2009年シーズンの開幕戦。浦和レッズをホームに迎えたアントラーズは、見事なカウンター攻撃から2得点を奪って、強敵を難なく退けてみせた。この調子ならば史上初の3連覇とアジア制覇、今年はマジで両方とも狙えるかもしれない――そう期待させるに十分な戦いっぷりだった。
この試合のスタメンは一週間前のゼロックス杯と同じ。ただし先週とのちがいは、ベンチに小笠原が入ったこと。そう、開幕には間にあわないと言われていた彼が、驚異的な回復でこの第1節からチームに合流してみせたのだった。まだスタメンというわけにはいかないようだけれど、それでもこの試合で最後の5分ばかりながら、ピッチに立った。
彼抜きでガンバやレッズに勝ててしまう状況で、さらにオガサが戻ってくるっていうんだから心強い。なんたって、小笠原が出てきたとたん、それまでキャプテンマークをつけていた岩政が、わざわざ自らのキャプテンマークをはずして、オガサに渡したくらいだ(フル出場の選手が途中出場の選手にキャプテンマークを渡すシーンなんて初めて見た気がする)。それくらいチームリーダーとしての信頼は絶大。なにより勝ちにこだわる負けず嫌いな性格がチームに与える影響が大きいと思う。
彼が帰ってくるとなると、野沢かダニーロがベンチということになってしまうけれど、JリーグとACL、本気で両方を勝ちとる気ならば、それくらいでちょうどいい。FWも大迫の加入で競争が激しくなっているし、DFはやや手薄ながら、それも中田浩二が戻ってくれば、それほど問題にはならないだろう。戦力の充実度は申し分なし。細工は流々、仕上げをご
対するレッズはドイツ人のフィンケ新監督のもと、フォーメーションを4-4-2に変えて新シーズンにのぞんでいる。スタメンは知った顔ばかりながら、なかにひとつだけ見慣れない顔があるから、誰だろうと思ったらば、なんと注目の17歳ルーキー、原口元気だった。
この子、さすが開幕スタメンに選ばれるだけあって、誰より積極的にシュートを打ってゆく姿勢はなかなか好印象だった。次々と若い才能が台頭してきて嬉しいかぎりだ。けれど、だからといってレッズほどのチームで十代の選手がそれほど目立てるものでもない。
なんたってレッズのスタメンはGK都築に、闘莉王、坪井のCBコンビ、両サイドバックが細貝と平川で、啓太と阿部のダブルボランチ、攻撃的な位置にはポンテと原口が入り、ツートップが高原と田中達也という顔ぶれだ。でもって途中交替で山田暢久やエジミウソンやエスクデロが出てくる。まだまだ4バックがフィットしていないからか、それほど手ごわい印象もなかったけれど、潜在能力の高さは折り紙つき。フィンケ氏の手腕が確かならば、最終節にアウェイで戦うときには、さぞや厳しい試合になるだろう。でもまだまだそれは先の話。
この日のアントラーズの2ゴールは、どちらも相手のセットプレーの直後のカウンターから。1点目は曽ヶ端のロングフィードをマルキーニョスがひとりで持ち込み、グラウンダーのクロスで野沢の足元にあわせたもの。2点目は素早いパスワークでゴール前まで運んだボールを、これまたマルキーニョスが思い切りのいいミドルで決めたもの。どちらの場面もゴール前には味方の選手が複数攻め込んでいて、数的有利な態勢を作っていた。強力なFWにロングボールを一本あわせるだけ、みたいな単純なカウンターとはひと味もふた味もちがう、チームの総合力の高さを感じさせる素晴らしい攻撃だった。
いやはや、いい試合でした。この調子で来週からのACLでも素晴らしいサッカーを見せて欲しい。
(Mar 08, 2009)