シンガポール・アームド・フォーシズFC1-4鹿島アントラーズ
AFCチャンピオンズリーグ/2009年4月7日(火)/シンガポール/BS朝日
なか2日での異国での試合というだけでも厳しいのに、そこに気温29度、湿度84%という暑さが加わり、さらには人工芝という慣れない環境が追い打ちをかける。なんとも過酷な状況下での対戦となったACLグループリーグ第3戦。
相手はシンガポール・アームド・フォーシズFCという長い名前のチーム。「アームド・フォーシズ」という言葉は、エルヴィス・コステロのサード・アルバムのタイトルとしておなじみだけれど、直訳すれば「武装勢力」で、どうやら軍隊のことを指すらしい。つまり今回の相手は、シンガポール軍サッカー・クラブということになる。
どうして軍隊のサッカーチームがこんなところに出てくるんだかよくわからないけれど、なんでも、もとは国軍のサッカー部だったチームが、プロリーグの発足にあわせて独立したとかどうとかいう話らしい。英語の情報しかなくて、詳しいことはよくわからない(英語を読むパワーがないやつ)。ちなみにこのチームのロゴにはサイがあしらわれていて(Wikipedia参照)、その点でもコステロのアルバム(ジャケットがゾウのイラスト)と似通っている。
なんにせよ、名前とマスコットはやたらと強そうだけれど、サッカー自体はべったり引いてカウンター狙いの、シンガポールのナショナル・チームから想像できるレベルのもの。要するにこのグループでは抜きん出て弱い。いくら条件が厳しいといっても、このチームを相手に取りこぼすようだと、グループリーグ突破は難しいだろう。いやあ、ちゃんと勝ちきれてなによりだった。
この日のスタメンは曽ヶ端、篤人、岩政、伊野波、パク・チュホ、青木、小笠原、野沢、本山、マルキーニョス、大迫という顔ぶれ。ここのところリーグ戦も含めると3試合連続で大迫とパクが先発に起用されている。ふたりともいいプレーを見せているので(ほんとに)、どうやら当分はこの形が定着してしまいそうだ。選手層が厚いのは頼もしいけれど、新井場や興梠らの心情を思うと、やや複雑なところでもある(ふたりともこの試合では途中出場)。
先制点は右サイドから野沢が上げたクロスに、本山が反対サイドでフリーであわせたもの。右足のインサイド・キックでのダイレクト・ボレーで、ジーコ直伝という感じの、落ち着き払った素晴らしいシュートだった。
その直後にセットプレーから同点ゴールを許したのはいただけなかったけれど、それでも前半のうちに追加点を奪ったので結果オーライ。
2点目は絵に描いたようなカウンターから。相手のセットプレーからの跳ね返りを、野沢が長距離ドリブルで持ち込み、攻め上がってきた内田篤人にラストパス。GKと1対1になったウッチーは、FKばりに狙いすましたシュートで、相手ゴールの右隅にボールを流し込んでみせた。ナイス。彼のうしろからは伊野波も詰めていたし、あそこでDFふたりが攻撃参加しているところが素晴らしかった。
3点目は後半早々の大迫のヘディング(アシストはマルキーニョス)。大迫くん、背が高いわりにはヘディングが苦手そうだと思っていたら、このところ特訓しているらしい。早くもその成果が出た──といいたいところだけれど、このゴールはマルキのアシストが抜群だった。まあ、もちろん、あそこでゴール前でフリーになっていた大迫も偉かった。
ちなみに大迫はこれがACL2点目。Jリーグではまだノーゴールだけれど、僕は次のFC東京戦をスタジアム観戦する予定なので、つまり彼のJ初ゴールを生で観られる可能性があるってことだ。これは楽しみ。
最後の4点目は後半終了間際に青木が右サイドから蹴りこんだクロスが、相手DFにあたって、ゴール左上の絶妙のところに飛び込んだもの。テレビではオウンゴールだと言っていたし、僕もそう思ったのだけれど、AFCの公式記録では青木のゴールになっていた。
ということで、以上4ゴールでアントラーズが快勝。上海がスウォンを破ったので、3チームが勝ち点6で並び、上海と得失点差で並び、総得点で1上回るアントラーズが2位に浮上した。次の2試合はつづけてホームなので、しっかり連勝して1位抜けを決めて欲しい。
(Apr 08, 2009)