鹿島アントラーズ3-0水原三星ブルーウィングス
AFCチャンピオンズリーグ/2009年5月5日(火)/カシマスタジアム/BS朝日
やった~。アントラーズ、スウォン相手に4-1で負けた前回の雪辱を果たすの巻。
この試合については、けっこう不安要素が多かった。マルキーニョスが先週のJリーグで足を痛めて万全じゃないところへきて(3日前のJは大事をとって欠場)、守備の要の岩政が怪我をしてベンチ外だという。予選リーグ突破をかけた大一番に、攻守ともに不安を抱えたまま臨むことになってしまったのは、なんとも心許なかった。
ただ、体制が万全じゃないのは相手のスウォンも同じだったようで。あちらも前回の対戦でゴールを決めているブラジル人ストライカーのエドゥほか、主力を何人か欠いていたらしい。
そういう状況でこちらのホームともなれば、韓国チャンピオンとはいえ、そんなに恐れることもなかったかと終わってみて思う。おまけにこちらの場合、岩政の穴には大岩という頼りになるベテランが控えているし、マルキーニョスが本調子ではない分は、ツートップでコンビを組む興梠が十分に補っていた。ベンチには故障明けの中田浩二(!)の名前もあった。連係不足の不安はあろうとも、技術的な面での駒不足の感は皆無。
こういう状況になってみると、選手層が厚いってのは大事だなあとつくづく実感する。考えてみれば、開幕スタメンだったダニーロがいつの間にかいなくなっているのに(はてどうしたんだろう)、そのことのマイナスをまるで感じさせないんだからすごい。主力級のブラジル人を欠いていてなお、J1とACLグループリーグの両方でトップにいるだけでも、いかに鹿島の戦力が充実しているか、わかろうってものだ。
この試合の勝利を引き寄せた貴重な先制点が大岩のゴールだったのも、見るからに本調子じゃないマルキーニョスがそのあとの2得点を上げてみせたのも、そんなチームとしての総合力の高さがあってこそ──そんな気にさせられる一戦だった。
先制点は野沢の右ショートコーナーからの速いクロスを、ニアに飛び込んできた大岩がヘディングであわせて、ファーサイドへと流し込んだもの。見事な連係からの、すごくきれいな得点だった。
反対に2点目のマルキのゴールは、かなり泥臭かった。誰か(オガサ?)がゴール前に無理やり放り込んだボールが、相手DFや興梠がさわれないような中途半端なバウンドでゴールの真正面にいたマルキーニョスにわたったものの、これをマルキもうまくヒットできずに、なんとかゴールに押し込みましたという感じ。見栄えはよくなかったけれど、かっこのよしあしはどうでもいい、決まったことがなによりと思わせる貴重な追加点だった。
ダメ押しの3点目は後半。カウンターから興梠がひとりドリブルで持ち込んで、最後はDFふたりを引きつれたまま、フリーのマルキーニョスにラストパス。これをマルキが詰めてきていたGKイ・ウンジェの頭の上を越す浮き球のボレーシュートでゴールに放り込んだ。してやったりの1点だった。
この日のマルキーニョスは、このほかにも3本も同じようなループ気味のシュートを打って、ことごとくゴールに嫌われていた。普段の運動量はなかったけれど、それでもあわやハットトリックという結果を残すあたりがさすが。まあ、それもこの試合では興梠のナイス・フォローあってこそだった。この日のMVPは興梠にあげたい。
後半のオリヴェイラ采配はいつも通り。早々に篤人を新井場に代え、中頃に本山を増田に代え、残り5分ばかりとなってから興梠を大迫に代えて、無難に試合を締めてみせた。ということで、心配されたスウォン戦でしっかり結果を残し、グループ首位に立ってみせたアントラーズだった。
これで2週間後の最終戦、アウェイでの上海との試合は、引き分けでも1位抜けが決まる。ただそうはいっても、その時点では上海もおそらく1位抜けの可能性を残しての対戦になるんだろうから、決して楽な試合にはならないのは必至。最後まで手の抜けないACL予選グループだった。ああ、たかがアジア、されどアジア。
――とか書いて一夜明けてみれば、その後の試合で上海がシンガポールAFと引き分けたので、あっけなくアントラーズの予選突破が決まってしまった。やってくれんなあ、シンガポール軍。ということで、2位スウォンに得失点差8の大差をつけているアントラーズは、次の上海戦でよほどの大敗を喫しない限り、1位抜けがほぼ確定という状況。とりあえず第一関門クリアって感じで、ほっとひと安心。
(May 05, 2009)