ウズベキスタン0-1日本
ワールドカップ・最終予選/2009年6月6日(土)/ウズベキスタン・タシケント/BS1
試合自体は厳しい内容だったけれど、結果は上々。日本は最終予選を2試合も残して、世界一番乗りでワールドカップ南アフリカ大会への出場を決めた。
直前のキリンカップを小気味いいサッカーで制してみせたものの、一部のメディアからは「チリもベルギーもレギュラーがほとんどいない二軍レベルだから、あんなのは参考にならない」という意見があった。さて、真相はどうなんだろうと注目していたこの試合。いざ始まってみれば、わずかな予選突破の可能性をかけて戦うウズベキスタンの手強さは、キリンカップで対戦した両国とは比べものにならなかった。なんだ、チリとベルギー、弱すぎじゃん。
でもまあ、ものは考えようだ。いまの日本は、たとえ相手が南米やヨーロッパの国であろうと、ちゃんと選手がそろっていない中堅国ならば、まるでものとしないレベルにあるということなんだから。ある意味じゃ喜ばしい。
たとえば逆の立場になって、日本代表が海外遠征したときに、俊輔や長谷部が呼べなかったから完敗しましたなんていって、僕らが許すかというと、そんなことはないわけで。いまや僕らは、どんな試合でも、どんなメンツでも、日本代表に一定レベルの試合を要求する。でもって代表も、出来不出来はあっても、そこそこの結果は残している。調べてみれば、日本代表が3点差以上つけられて負けたのは、多分もう5年も前の話だ(まあ、あまり強豪国と対戦する機会がないからかもしれないけれど)。W杯のベスト8は厳しいにしても、ベスト16に残れるくらいの実力は十分あると僕は思う。
もっともそれは、潜在能力を存分に引き出せればの話で、この日のようにアジアの国を相手で苦戦しているようでは、本大会での活躍を期待するのは時期尚早な気がする。これからの1年でどれだけの上積みができるのかは、どれだけ強い国とお手合わせ願えるかにかかってくるのだろう。日本サッカー協会が強豪国とのマッチアップをひとつでも多く決めてくれることを切実に願ってやまない。なんでも9月にはオランダとの対戦が内定しているようなので、そういう試合をもっとガンガン入れて欲しい。
この日の試合については、それほど書くことがない。スタメンは楢崎、駒野、中澤、闘莉王、長友、長谷部、遠藤、憲剛、俊輔、岡崎、大久保。途中出場は本田、矢野、阿部の3人(アウトは憲剛、大久保、俊輔)。なぜウッチーがベンチにも入っていないんだと思ったら、なんでも当日になって発熱したんだとか。仮にもW杯出場を決めた試合に出られないたあ、なんともついてない。
前半9分の虎の子の1点は岡崎。中村憲剛がDFラインの裏へ放り込んだ絶妙のラストパスを受けて、泥臭い胸トラップからシュートを放つ。これは相手GKに弾かれるも、前のめりになった岡崎の目の前にボールが跳ね返ってくる。結果、これが見事なダイビング・ヘッドの形となって、ゴールネットを揺らした。やっぱ必死なやつのところにはツキも巡ってくるってことだろう。いかにも彼らしい、ナイス・ゴールだった。
でも残念ながらこの日の日本の見せ場は、これひとつだけだった印象で、その後はとにかくウズベキスタンに攻められっぱなしだった。去年のAFCのMVPに選ばれたという8番のジェパロフを中心にした攻撃はかなり迫力があったものの、それにしても攻められすぎ。まあ、それでもディフェンス面では楢崎や中澤らを中心にとても落ち着いて、あまり不安を感じさせなかったのはよかったけれど。
そうそう、この試合はレフェリーがひどかった。あちらのファールには甘く、こちらのファールにはきびしい、アウェイの典型のようなレフェリング。俊輔や長友がなんでそれがイエローだってカードをもらっていたと思ったら、ロスタイム直前には長谷部が一発レッドで退場になってしまった。なおかつ、それに異議を申し立てたと言って、岡田さんまで退席処分になる始末……(岡田さん自身は「僕は選手に指示を出していただけなのに」と言っている)。まったく、あのシリア人のレフェリーはなんなんだろう。なんでも遠藤は同じ人に、ACLで退場を食らったんだそうだ。ちょっと信じられないようなひどさだった。
まあ、そんなわけでサッカーの内容はよくなかったし、審判にも泣かされたけれど、なにはともあれ、勝ちは勝ち。これで来年のワールドカップの本大会で、また痺れるような3試合が観られることは確定した。あとはどれだけその大会での試合数を増やせるかだ。岡田さんが公言するベスト4までどれくらい近づけるのか、期待を込めてこれからの1年間の日本代表を見守りたい。
(Jun 07, 2009)