2010年4月のサッカー

Index

  1. 04/07 ● 日本0-3セルビア
  2. 04/10 △ F東京1-1鹿島 (J1・第6節)
  3. 04/14 ○ 長春亜泰0-1鹿島 (AFCチャンピオンズリーグ)
  4. 04/18 △ 鹿島0-0広島 (J1・第7節)
  5. 04/28 ○ 鹿島2-1全北現代 (AFCチャンピオンズリーグ)

日本0-3セルビア

2010年4月7日(水)/大阪長居スタジアム/日本テレビ

 うーん。始まる前からこれほど期待感にとぼしく、なおかつ終わってみて、やはり思ったとおり駄目だったかと納得してしまうような代表戦というのも珍しい。
 ワールドカップまであと2ヶ月あるのに、すでに結果を見てしまった気分。南アフリカ大会は──ベスト4がどうとかいうのは論外だから聞かなかったことにして──、勝ち点1でいいから上げられるかどうかが焦点のような気がしてきた。このままじゃ3連敗確実じゃないだろうか。始まる前からこんなに憂鬱な気分にさせられるW杯っていったい……。
 アントラーズ・サポーターである僕としては、今回のセルビアとの親善試合は、代表選手が招集された時点で、かなりがっくりくるものだった。
 なんたって国内組のみの招集であるにもかかわらず、小笠原も岩政も呼ばれていないのだから。しかも、ただ呼ばれないならばともかく、今回はDFでは闘莉王が出場停止、MFでは中村憲剛が怪我で見送りという状況なのだから。この局面で声がかからないというのは、イコール、南アフリカへの道はすでに閉ざされたも同然。Jリーグ3連覇中のクラブの主力ふたりは、岡田監督の代表には不要らしい。
 まあ、確かにふたりとも、最後にチャンスをもらった際のプレーは誉められたものじゃなかった。いまの代表のレベルについてゆけない以上、呼ばれなくても仕方ない──そう思えれば腹も立たないのだけれど。
 でも、そうは思えないから、むちゃくちゃ腹が立つ。
 なんだ、きょうの試合は。課題の攻撃力不足はそのままに、ディフェンスはガタガタ。とても2ヶ月後にW杯の舞台に立つチームとは思えない。この程度のサッカーしかできないくせに、オガサや岩政に用がないだと? ふざけるなといいたい。
 この日、岩政の代わりにCBで起用されたのは、横浜F・マリノスの栗原だ。なにゆえ、W杯まであと2ヶ月を切った時点で、いままで一度もA代表で使ったことのない選手を呼ぶ?
 その疑問に対するもっとも簡単な答えは、彼がF・マリノスの選手だから、だろう。中澤とはふだんからコンビを組んでいるし、今年はここまでに俊輔のCKからヘディングで2ゴールをあげている。岡田さんがチームの中心とする中澤、俊輔との相性の良さではぴかいち。なんでも岡田さんがマリノスの監督時代から目をかけていた選手だというし、使いたくなる気持ちはわかる。
 いいよ、栗原を使うんなら使うで。でもさ、それだったらば、なんでこれまでに使ってこなかったんだよ、と言いたい。さっさと早い時期から代表に呼んで、鍛えてくればいいじゃん。それをこのタイミングで呼ぶってのが気に入らない。それって単に闘莉王が使えない状況にあわてて、たまたまリーグ戦での活躍が目に入ったから呼んでみたという風にしか見えない。
 しかも結局、その栗原と中澤のマリノス・コンビが機能しないから情けない。前半開始からわずか15分間のあいだに、2度もセルビアの選手に裏を取られて、フリーのチャンスを与えてしまうていたらく。1度目のシュートは楢崎がなんとか手をかすめたおかげでコースがわずかに変わり、ボールがポストをたたいて助かったものの、同じようなチャンスを2度も与えれば、そりゃ2度目はきちんと決めてくるのがワールド・スタンダードってものだ。
 ほんと、この時期になってこんなにディフェンスがゆるい代表を見るとは思わなかった。それもこれも、これまで中澤・闘莉王のコンビばかりを固定して使ってきたせいだろう。そもそもこのふたりのコンビだって、いまとなると世界相手にどれだけ通用するのか、心許ない。攻撃力不足ばかりが喧伝されるけれど、僕は守備力のほうもかなりあやしいと思っている。それは要するに、いいところがぜんぜんないってことじゃん。
 とにかく闘莉王の代役として、おそらく岡田さんとしては大きな期待を込めて送り出しただろう栗原は機能不全のまま、前半だけでお役御免ということになった。なんたって前半のうちにもう1点を失い──決めたのは2点ともムルジャという選手──、2点差を追うことになってしまったので、後半はその栗原を下げて、石川直を投入する攻撃的布陣で得点を狙いにいった(CBにはボランチとして出場していた阿部を下げた)。
 話が前後するけれど、この日のスタメンはGK楢崎に、両サイドバックがFC東京の徳永、長友のコンビ(ウッチーは足を痛めているため欠場)、CBが前述のマリノス・コンビ、ボランチが阿部と稲本、攻撃的MFに俊輔、遠藤、そしてツートップが岡崎、興梠(!)という布陣だった。
 そう、岩政と小笠原のことで憤慨していたので、ここまで書き忘れていたけれど、この試合では興梠がスタメン出場を果たしだんだった。テレビの解説ではフォーメーションは4-2-3-1と言っていたけれど(岡崎か興梠かワントップがはっきりしなかった)、僕の印象ではこのふたりのツートップだった。
 興梠の出来はまあまあよかったと思う。けっこう運動量はあったし、ボールにもそこそこ絡んでいた。少なくてもアントラーズのときと同じレベルのプレーはできていたと思う。ただ、なんたってチーム全体の出来が悪いもんで、いくら動いても、いい形でフィニッシュに持ってゆけない。で、結局、彼も前半だけで交替させられてしまった。ちくしょうめ。
 そういや、その興梠に代わって入ってきたのが玉田というのもどうかと思った。だから玉田の力はもう十分にわかっているでしょうに。しかも彼は足を痛めてるって噂じゃん。なんでこの展開で玉田かなぁ。わけがわからない。ほかに試したいFWはいないのかと思ってしまう。どうせならば平山呼んどけよなぁ。
 そうそう、FWといえば、僕が今回の代表招集で栗原と並んで気に入らなかったのが、福岡大学の永井謙佑というFWの選手。
 この子のことはまったく知らないので、好きも嫌いもないんだけれど──岡田さんの起用法に文句があるだけで、栗原だってべつに嫌いなわけじゃない──、少なくてもそろそろ本大会の登録選手を決めなくちゃいけないこの時期に、いまさらフル代表に大学生の入る余地があるわきゃないだろう。五輪代表じゃあるまいし。
 海外組が国内組よりも優れているのは、より厳しい環境で戦っているからだ。だとするならば、Jリーグよりも劣る大学リーグの選手が、Jリーガーよりも総合力で勝っているとは、僕にはとうてい思えない。まあ、長友みたいな選手も中にはいるけれど、彼は別格中の別格。そもそも、いまさら大学生に門戸を開くってのは、佐藤寿人あたりにお前は大学生以下だって言っているようなもんでしょう。そりゃ失礼にもほどがある。
 僕が試合前からやたらと冷めた気分だったのは、この永井くんと栗原の招集という、岡田さんによる暴挙のせいも大きかった。
 さらに言うならば、遠藤をいまさら攻撃的なポジションで使うしなぁ。どうせ本番ではボランチで使うつもりなんだろうに、それだったらば、なぜ稲本とのコンビの連係強化を図らないかなぁ。あ、そういえば後半開始から栗原を下げて阿部ちゃんをCBにコンバートした結果、そういう形になったのか、もしかして。
 あ、そういえば、最後のほうになって遠藤を下げて、槙野を入れてたな(後半途中で直接FKを決められ、その時点でスコアは0-3)。なんで負けてんのにCB?と思ったんだった(しかもその槙野も、今野が怪我で代表を辞退してから追加招集した選手だし。そんなに岩政が嫌いか)。あと、槙野と一緒に矢野も出てきたな(よりによって玉田と交替で)。いまさら矢野を呼び戻したってのは、ようやく高さのあるFWの重要性に気がついたか(平山はそんなに駄目だったのか)。そういや、山瀬も出てたっけ(俊輔と交替で)。
 あー、なんだかぐちゃぐちゃな文章になっているけれど、要するにそんな風に支離滅裂になってしまうくらい、僕にとって岡田さんの采配というのは、なにもかもがちぐはぐなのだった。以前はチームのコンセプトがどうしたという話ばかり漏れ聞こえてきたけれど、この日の試合のどこに一貫したコンセプトがあるんだと思う。単に気に入った選手を集めてきて、あとは選手の才能任せって感じじゃん。だからこの試合みたいに、頼みの俊輔がまったく目立たない状況だと、ヨーロッパ勢にはまるで歯が立たないなんてことになってしまう。主力抜きのセルビアにさえ、こてんぱんにやられてしまう。
 こんな代表は本当にもういやだ。こんな日本代表、W杯で見たくないよぉ。今夜の僕は一刻も早くW杯が終わって欲しいって気分になってしまっている。あぁ、やだやだ……。
 どうでもいいような愚痴ばかり長々と書いてしまったので、もうやめる。
 最後にひとことだけ。そういや、石川直宏はよかった。故障明けのせいか、まだ本調子ではなさそうで、得点こそあげられなかったけれど、果敢にゴールを目指すそのプレーは、見ていてとても気持ちよかった。せめて彼は本戦に残って欲しい。
(Apr 08, 2010)

FC東京1-1鹿島アントラーズ

J1・第6節/2010年4月10日(土)/味の素スタジアム

 すっかり毎年恒例となった味スタでのFC東京-鹿島アントラーズ戦に今年も行ってきた。リーグ戦もまだまだ序盤ながら、ともに優勝を目指す両チームの戦いだ(目指してるよね、FC東京も?)。前節でともに黒星を喫していることもあって、なかなか白熱した一戦になった。
 われらがアントラーズは、前節のベガルタ仙台戦(今期初黒星)で退場になったマルキーニョスが出場停止。おかげでこの日は大迫にリーグ戦今期初スタメンのチャンスがめぐってきた。まあ、出来はいまひとつだったけれど。
 そう、思えば去年は彼のJリーグ初ゴールを、同じスタンドから観たんだった。でも、ほとんど同じ時期の試合だというのに(調べてみたら去年は4月12日)、この日の試合は去年とはまったく印象がちがった。
 なんたって、いかにも春らしい暖かな陽射しの下で観た去年とは対照的に、この日の試合は花冷え厳しいさなかのナイト・ゲームだ。昼間はそこそこ暖かかったので薄めのコートで出かけたら、夜はけっこう冷え込んで、ちょっとばかりつらかった。なもんでビールも一杯しか飲まなかった(まあ、とりあえず飲むだけは飲む)。
 こんな風に4月の寒さにも負ける僕としては、Jリーグを秋春制へ移行しようって意見にはどうにも賛成しきれない。いくら寒くても試合さえおもしろければ客は入るという意見があるようだけれど、それってサッカーに人生を賭けているような人たちのことしか考えてないんじゃないだろうか。年に一度か二度しかスタジアムに足を運ばない僕のようなファンは、2月の試合なんて絶対に観にゆかないぞ。
 この日の試合は寒くて嫌だったけれど、僕は基本的にサッカーのナイト・ゲームって、とても好きだ。煌々としたライトに美しく照らし出されたグリーンの芝を見るだけで気分が高揚する。昼間の暑さもひと段落したスタンドで、涼しい風に吹かれながら飲むビールもまた格別だし、夏場のサッカーは選手には過酷なのかもしれないけれど、観る側にとっては、なんともいえない喜びを与えてくれる素敵なイベントだと思う。サッカー協会のえらい人は、スタンドで風に吹かれながらビールを飲んだりはしないので、こうした喜びを知らないんだろう。だから平気で秋春制なんて意見が出てくるんだと思う。
 あ、いやでも評論家の方々も試合中にはビールは飲まなさそうだな。ずっと立ったまま応援しているコアなサポーターも飲まないか。そう考えると、サッカー観ながら飲むビールがうまいとか言っているのは、僕らのようなライトな観客だけ?
 まあいいや。うまいもんはうまいんだから仕方ない。この喜びを知らずしてJリーグを語るべからずとまで言ってしまいたい。
 さて、すっかり脱線してしまったけれど、この日のアントラーズのスタメンは、曽ヶ端、内田、岩政、イ・ジョンス、新井場、中田、小笠原、野沢、遠藤、興梠、大迫の11名。本山とマルキーニョスがいない現状ではベストといえる布陣だと思う。
 対するFC東京はというと、こちらはすごかった。スタメンは権田、長友、森重、今野、キム・ヨングン、徳永、羽生、石川、松下、平山、重松という顔ぶれで、なんとDFが5人もいる。「えっ、まさか3バック?」と思ったら、徳永はボランチだという(しかもキャプテン・マークをつけているから、なおさらびっくり)。で、長友がなんと右サイドにいる。なんだそりゃ。
 そういえばFC東京は、梶山、米本というレギュラーのボランチが二人ともけがで戦線離脱しているんだった。その穴埋めがなんと、徳永、そして羽生(!)のボランチ起用ときた。で、徳永をボランチに起用したために空いた右サイドに長友を持ってきて、左を新加入のキム・ヨングンで埋めると。
 米本がいるならともかく、こういう状況で豊富な運動量を誇る今野をボランチではなくCBで使うのはもったいないと思うのだけれど、今季の東京は森重が加わったにもかかわらず、CBが駒不足のようで、最終ラインから今野をはずすわけにはいかないらしい。僕は今野はボランチの方がいいと思ってるので、こうなると、なんで茂庭を手放したかなぁと思わずにいられない。ホントもったいない。
 なんにしろ、この日のFC東京はイレギュラー極まりない布陣だったわけだ。最終ラインに入る森重、キムの二人は新加入だし、長友は右にいるし、ダブル・ボランチはともにプロパーじゃないし、攻撃陣でも松下年宏は新加入だし、期待のルーキー重松はこれが初先発の18歳。さらに石川直が代表戦から中2日で、平山はあいかわらず笑いを誘うプレーを随所で披露するといったぐあい。どう考えたって、いまの鹿島の敵じゃないような気がするんだけれど、ところがどっこい。意外なところに落とし穴が。
 いきなり前半の4分にPKをあたえて先制点を許してしまったのだった。
 スタンドから観ているかぎりでは、誰かが誰かを倒して笛が鳴ったように見えたけれど──テレビで確認したところでは野沢が今野を倒したっぽい──、実際にはそのひとつ前のプレーでイ・ジョンスがクリア・ボールを手に当ててハンドを取られたのだと某サッカー番組では言っていた。まあいずれにせよPKを取られて、これを平山に決められ──平山が蹴るってだけでスタンドのFC東京サポーターがどよめいているのがおかしかった──、先制を許すことになってしまった。
 これが痛かった。いくら変則的なフォーメーションで戦っているとはいえ、考えてみれば、FC東京のスタメンの大半は代表経験者だ。というか、今野、森重、長友、徳永、羽生、石川直、平山って、印象的には、ほとんど全員に近い。GKの権田も1月のイエメン戦に出場していたらしいし、キムだって韓国のユース代表だったという。新潟から加入してきた松下はFKを任されているし、重松も期待のルーキー。つまり戦力的に見ても、アントラーズとなんら遜色のないというか、“元”代表が多いこちらとくらべると、いまが旬な選手が多かったりする。どうりで手強いはずだ。
 おまけにこの日はこちらはマルキーニョスがいない。興梠はけっこうがんばっていたけれど、大迫はマルキーニョスと比べてしまうと、やはりまだまだ存在感が足りない。遠藤も連戦の疲れからか、生彩を欠いた。後半から出てきた佐々木やフェリペ・ガブリエル(祝・故障明け)しかり。若い彼らが目立たなかった分、ふだんマルキーニョスが豊富な運動量と献身的なプレーで、どれだけチームに貢献しているかを思い知ったというか、エースの不在ゆえの存在感とでもいったものを感じてしまった試合だった。
 まあ、でも同点に追いついて勝ち点1をあげたのはお見事。同点の場面はゴール前のスペースでフリーになった小笠原が、すかさず打ったミドルシュートの跳ね返りを、興梠が逃さず蹴り込んだもの。オガサのシュートといい、決めた興梠といい、これは文句なしの1点だった。相手の1点はPKだから、そういう意味ではFC東京サポーターよりも、こちらのほうがいい思いをしたと言える。いやはや、ごちそうさまでした。
 ちなみにこの試合のキックオフ前に、石川直のリーグ戦200試合出場達成の表彰があった(この試合でのことかと思ったら、ひとつ前の試合で達成していたとのこと)。代表でも思ったことだけれど、彼のプレーはやはりよかった。故障明けから間もないし、代表戦から中2日だから、まだまだ本調子ではない感じだったけれど、それでもボールを持ってゴールを向いたときの迫力はチーム一。ああいうプレーは敵ながら気持ちいい。願わくば去年の絶好調時のプレーを取り戻して、W杯で大暴れして欲しいと思う。まあ、岡田さんが呼んでくれれば、だけれど。
 いや、それにしても一年ぶりだけれど、スタジアムで観るサッカーはやっぱよかった。カメラの制約がなく、自由にピッチの全体を見渡せるってのは、なんて気持ちがいいんだろうと思ってしまった。アントラーズの4連覇もかかっていることだし、今年こそカシマスタジアムへ行かなきゃいけないかと、ちょっと思った。いつも通り、実現しないで終わりそうだけれど。
(Apr 12, 2010)

長春亜泰0-1鹿島アントラーズ

AFCチャンピオンズリーグ・グループF/2010年4月14日(水)/長春経開体育場/BS朝日(録画)

 ACL、長春亜泰とのアウェイでの一戦。
 この試合は録画放送だった。なぜって試合開始時間が午後3時半だったからだ。もとより予選突破が決まっているチームの試合だけあって、さすがのBS朝日も平日の昼間には生放送してくれなかった。それにしても中国人、なにゆえ平日の昼間に試合をする? スタンドがらがらじゃん。
 もしかしたら中国は場所によっては、この時期でも夜には試合ができないくらいに冷え込むんだろうか? この試合ではほとんどの選手が手袋をしていたし、野沢や青木はサッカー選手らしからぬタイツを着用していた。伊野波はマフラーみたいのを首のまわりに巻いて出てきた(それともあれは襟元がふわふわのアンダーシャツ?)。だから寒いことは寒かったんだろう。
 でも、地図で見ると長春は北海道と同じくらいの緯度だ。少なくても雪が降っているわけではなかったし、いくらなんでも4月のこの時期に、夜になるとサッカーができないくらい冷え込むとは思えない。もしかして夜間禁止例でも出てんだろうか。理由はどうあれ、平日の昼間にサッカーの試合をする中国はよくわからない。
 なんにしろ、そんなわけで録画放送だったから、結果こそ知らないで観たものの、いまいち集中しきれなかった。おまけにスタンドをみても観客は入ってないわ、芝生は小麦色だわで、盛り上がらないこと、この上ない。ということで、あまり書くことのない一戦。中3日という過密日程のせいか、さすがのアントラーズも出来はいまいちな感じだった。
 この日のスタメンはFC東京戦で出場停止だったマルキーニョスが戻ってきた以外はあの日と一緒。そのマルキーニョスは休養十分なわりには、やや生彩を欠く印象だったけれど、それでもチームとしては、なんとか相手を無得点に抑え込み、興梠があげた虎の子の1点を守りきって勝ってしまうあたり、やはり今年のアントラーズは違うと思わせた。
 興梠のゴールは、長春の黒人DF(ホンジュラス人らしい)がバックパスをトラップミスしたところを見逃さず、猛然とダッシュして競りあいながらボールを奪い取って、GKと1対1のチャンスを落ちついて決めたもの。なんだかとてもたくましさを感じさせるプレーだった。これで公式戦4試合連続ゴールだそうだ。ナイス。
 興梠はこのゴールの場面以外でもけっこういい動きを見せていたし、こういうプレーが岡田さんの目にとまれば、南アフリカに行けるんじゃないだろうか。そうなるよう、ぜひともがんばって欲しい。
(Apr 15, 2010)

鹿島アントラーズ0-0サンフレッチェ広島

J1・第7節/2010年4月18日(日)/カシマサッカースタジアム/BS-TBS

 山形戦で退場になったマルキーニョスは、なんと2試合の出場停止処分だった。
 ということで、アントラーズはこの試合でもマルキ抜きの、FC東京戦とまったく同じスタメン。結果としてそれが響いたのだと思う。ひさしぶりのホームだというのに、しかも相手は故障者続出でやりくりが厳しい広島だというのに、あまりいいところのないまま、スコアレス・ドローに終わってしまった。なんとなく押されている時間帯も多かったし、正直なところ、あまりおもしろい試合じゃなかった。
 これでマルキーニョスが退場した試合以来、3試合連続で白星なしだ。今年はダニーロと田代が抜けたことによる攻撃力の低下が唯一の心配事項だったのだけれど、早くもそこんところの課題が露わになってしまった。前人未到の4制覇が成し遂げられるか否かは、大迫や遠藤らの若手がこの一年間でどれくらい成長できるかにかかっている気がしてきた。
 相手の広島は、ACLでは早々に敗退が決まったし、柏木を放出して戦力ダウンが否めないんだろうと思っていたのに、元川崎の(というよりも千葉という印象のほうがいまだに強い)山岸や、元ガンバの山崎など、おやっと思うような選手が加わっていて、思ったよりもいいサッカーをしていた。後半途中からは李忠成も出てきた。李、ひさしく名前を聞かないと思ったら、こんなところにいたのか……。
 そういや、何日か前にはサッカー番組でJ2でプレーしている豊田陽平を見た。北京五輪代表の選手たちは、内田、長友、本田、岡崎らをのぞくと、あとはほとんどが代表とは縁がないところで、それぞれ苦労しているみたいで、ちょっと淋しい。それもこれも反町さんの起用法が……って、五輪の惨敗をいまだに根に持っているやつ。
 それにしても、今年はここまで上位争いがとても熾烈{しれつ}な様相を呈している。小野、稲本、俊輔という海外出戻り組が加わった清水、川崎、横浜Mが軒なみいい成績を残しているし、浦和も地味に好調だし──なんたって現時点で暫定首位だ──、闘莉王、金崎を迎えたピクシー名古屋も侮れない。FC東京もダークホース的存在だと思う。唯一ガンバが低迷しているけれど、あそこも実力は確かだから、このままで終わるとは思えないしなぁ。これくらい上位陣の実力が伯仲したシーズンも珍しいんじゃないだろうか。
 アントラーズはここ3試合の低迷が響き、現時点で首位レッズに勝ち点4の差をつけられての5位。今年はスタートがよかったので、もしかしたら首位を独走するんじゃないかと思っていたけれど、そうは問屋が卸さなかった。4連覇への道はかなり険しそうだ。
 とりあえず、W杯前にJ1でのアントラーズ戦が観られるのはこれが最後の模様。次の試合はW杯が終わってからだ。さて、そのころにはどうなっていることやら。
(Apr 18, 2010)

鹿島アントラーズ2-1全北現代モータース

AFCチャンピオンズリーグ/2010年4月28日(水)/カシマサッカースタジアム/BS朝日

 アントラーズ、みごとACLグループリーグを全勝で終えるの巻。
 この日のスタメンは曽ヶ端、内田、岩政、イ・ジョンス、新井場、中田、小笠原、野沢、フェリペ・ガブリエル、興梠、マルキーニョスという組み合わせ。Jでは4試合ぶりとなる白星をあげた前節、F・マリノス戦のスタメンから遠藤をはずしてフェリペを入れただけで、あとはいつものメンツ。
 遠藤に関しては、出てきたころのような切れを欠いている感があるので、スタメンをはずれたのも仕方ないかなと思う。ただ、僕はいまだにフェリペ・ガブリエルのどこがいいんだかわからない。彼と遠藤を比べると、遠藤のほうが上手いような気がしてしまう。正直なところ、いままでに見たもっとも平凡なブラジル人という印象。
 まあ、確かに運動量はけっこうあるようだし(この試合では終盤に足をつって途中交代していた)、プレーは真面目そうだから、その辺がオリヴェイラさんのメガネに適ったのかもしれない。なんにしろ、今年は4連覇に加えて、初のアジア制覇がかかっているんだから、彼にもちゃんと活躍してもらわないと困る。まだ若いようだから、これからの成長に期待しよう。
 試合内容はといえば、前半の中頃にCKからイ・ジョンスのヘディングで先制する(この人は得点力でも貢献度大だ)。そのわずか2分後には、今度は岩政まで絡んだリズミカルなパス交換から、最後は野沢が妙なキックでダイレクト・ボレーを決めていっきに2点目もゲットした。
 この試合、負けさえしなければ1位抜けは確定だったので、この2点で勝負ありだった。今年の鹿島がそうそう2点差をひっくり返されるとは思えない。なんたって、ここまでJ1とACLをあわせた全公式戦で、2失点以上したのはマルキが早々に退場してしまった仙台戦のみなのだから(黒星もその試合のみ)。このディフェンスの安定感こそ、今年の最大の強み。
 まあ、とはいいつつ、その2点で僕と同じように安心してしまったのか、後半は開始からいきなり全北現代{チョンブク・ヒョンデ}の猛攻を浴びて、防戦一方となる。でもそれをまた、なんとかしのぐのが今年の鹿島。ミドル・シュートから1失点こそ許したけれど(あれは相手が上手かった)、反撃をそこまでにとどめて、みごと全勝でグループリーグを突破してみせた。あっぱれ。
 いやぁ、それにしてもこのところ興梠の成長が著しい気がする。少なくてもきょうの興梠には、マルキーニョスに負けない存在感があった。もとよりスピードがあって裏へ抜けるプレーが上手いところへきて、今年は相手DFとの1対1でもあたり負けしなくなった。まだフィニッシュの精度には若干問題があるけれど(今日もなぜそれを外す?というシーンがあった)、それでも裏へ抜けるプレーを連発しては、相手のファールをもらいまくっていたし、かなり危険な匂いのするFWになってきた気がする。いまの興梠のプレーは見ていて楽しい。これならマジで南アフリカへ連れていってもらえるかもしれない。期待しよう。
 さて、これで次は2週間後にベスト8を賭けて、浦項{ポハン}スティーラーズ(監督がなんとオリヴェイラ氏の弟さんなんだとか)との一発勝負。無事にグループリーグ一位突破を決めたので、ホームで戦えるのは大きなアドバンテージだけれど、といいつつ、去年はここでPK戦で負けたので油断は禁物。今年はきちんと雪辱を果たして先へ進んでくれることを願ってやまない。
 ここは一発、鹿島へ応援にかけつけるべきかとも思ったけれど、5月はゴールデンウィークがあって実入りが少ない上に、ライヴが2本もあるので(僕の場合、サッカー・ファンである前にまずロック・ファンなので)、そうは問屋が卸さないのだった。ああ、貧乏だ。
(Apr 29, 2010)