日本0-3セルビア
2010年4月7日(水)/大阪長居スタジアム/日本テレビ
うーん。始まる前からこれほど期待感にとぼしく、なおかつ終わってみて、やはり思ったとおり駄目だったかと納得してしまうような代表戦というのも珍しい。
ワールドカップまであと2ヶ月あるのに、すでに結果を見てしまった気分。南アフリカ大会は──ベスト4がどうとかいうのは論外だから聞かなかったことにして──、勝ち点1でいいから上げられるかどうかが焦点のような気がしてきた。このままじゃ3連敗確実じゃないだろうか。始まる前からこんなに憂鬱な気分にさせられるW杯っていったい……。
アントラーズ・サポーターである僕としては、今回のセルビアとの親善試合は、代表選手が招集された時点で、かなりがっくりくるものだった。
なんたって国内組のみの招集であるにもかかわらず、小笠原も岩政も呼ばれていないのだから。しかも、ただ呼ばれないならばともかく、今回はDFでは闘莉王が出場停止、MFでは中村憲剛が怪我で見送りという状況なのだから。この局面で声がかからないというのは、イコール、南アフリカへの道はすでに閉ざされたも同然。Jリーグ3連覇中のクラブの主力ふたりは、岡田監督の代表には不要らしい。
まあ、確かにふたりとも、最後にチャンスをもらった際のプレーは誉められたものじゃなかった。いまの代表のレベルについてゆけない以上、呼ばれなくても仕方ない──そう思えれば腹も立たないのだけれど。
でも、そうは思えないから、むちゃくちゃ腹が立つ。
なんだ、きょうの試合は。課題の攻撃力不足はそのままに、ディフェンスはガタガタ。とても2ヶ月後にW杯の舞台に立つチームとは思えない。この程度のサッカーしかできないくせに、オガサや岩政に用がないだと? ふざけるなといいたい。
この日、岩政の代わりにCBで起用されたのは、横浜F・マリノスの栗原だ。なにゆえ、W杯まであと2ヶ月を切った時点で、いままで一度もA代表で使ったことのない選手を呼ぶ?
その疑問に対するもっとも簡単な答えは、彼がF・マリノスの選手だから、だろう。中澤とはふだんからコンビを組んでいるし、今年はここまでに俊輔のCKからヘディングで2ゴールをあげている。岡田さんがチームの中心とする中澤、俊輔との相性の良さではぴかいち。なんでも岡田さんがマリノスの監督時代から目をかけていた選手だというし、使いたくなる気持ちはわかる。
いいよ、栗原を使うんなら使うで。でもさ、それだったらば、なんでこれまでに使ってこなかったんだよ、と言いたい。さっさと早い時期から代表に呼んで、鍛えてくればいいじゃん。それをこのタイミングで呼ぶってのが気に入らない。それって単に闘莉王が使えない状況にあわてて、たまたまリーグ戦での活躍が目に入ったから呼んでみたという風にしか見えない。
しかも結局、その栗原と中澤のマリノス・コンビが機能しないから情けない。前半開始からわずか15分間のあいだに、2度もセルビアの選手に裏を取られて、フリーのチャンスを与えてしまうていたらく。1度目のシュートは楢崎がなんとか手をかすめたおかげでコースがわずかに変わり、ボールがポストをたたいて助かったものの、同じようなチャンスを2度も与えれば、そりゃ2度目はきちんと決めてくるのがワールド・スタンダードってものだ。
ほんと、この時期になってこんなにディフェンスがゆるい代表を見るとは思わなかった。それもこれも、これまで中澤・闘莉王のコンビばかりを固定して使ってきたせいだろう。そもそもこのふたりのコンビだって、いまとなると世界相手にどれだけ通用するのか、心許ない。攻撃力不足ばかりが喧伝されるけれど、僕は守備力のほうもかなりあやしいと思っている。それは要するに、いいところがぜんぜんないってことじゃん。
とにかく闘莉王の代役として、おそらく岡田さんとしては大きな期待を込めて送り出しただろう栗原は機能不全のまま、前半だけでお役御免ということになった。なんたって前半のうちにもう1点を失い──決めたのは2点ともムルジャという選手──、2点差を追うことになってしまったので、後半はその栗原を下げて、石川直を投入する攻撃的布陣で得点を狙いにいった(CBにはボランチとして出場していた阿部を下げた)。
話が前後するけれど、この日のスタメンはGK楢崎に、両サイドバックがFC東京の徳永、長友のコンビ(ウッチーは足を痛めているため欠場)、CBが前述のマリノス・コンビ、ボランチが阿部と稲本、攻撃的MFに俊輔、遠藤、そしてツートップが岡崎、興梠(!)という布陣だった。
そう、岩政と小笠原のことで憤慨していたので、ここまで書き忘れていたけれど、この試合では興梠がスタメン出場を果たしだんだった。テレビの解説ではフォーメーションは4-2-3-1と言っていたけれど(岡崎か興梠かワントップがはっきりしなかった)、僕の印象ではこのふたりのツートップだった。
興梠の出来はまあまあよかったと思う。けっこう運動量はあったし、ボールにもそこそこ絡んでいた。少なくてもアントラーズのときと同じレベルのプレーはできていたと思う。ただ、なんたってチーム全体の出来が悪いもんで、いくら動いても、いい形でフィニッシュに持ってゆけない。で、結局、彼も前半だけで交替させられてしまった。ちくしょうめ。
そういや、その興梠に代わって入ってきたのが玉田というのもどうかと思った。だから玉田の力はもう十分にわかっているでしょうに。しかも彼は足を痛めてるって噂じゃん。なんでこの展開で玉田かなぁ。わけがわからない。ほかに試したいFWはいないのかと思ってしまう。どうせならば平山呼んどけよなぁ。
そうそう、FWといえば、僕が今回の代表招集で栗原と並んで気に入らなかったのが、福岡大学の永井謙佑というFWの選手。
この子のことはまったく知らないので、好きも嫌いもないんだけれど──岡田さんの起用法に文句があるだけで、栗原だってべつに嫌いなわけじゃない──、少なくてもそろそろ本大会の登録選手を決めなくちゃいけないこの時期に、いまさらフル代表に大学生の入る余地があるわきゃないだろう。五輪代表じゃあるまいし。
海外組が国内組よりも優れているのは、より厳しい環境で戦っているからだ。だとするならば、Jリーグよりも劣る大学リーグの選手が、Jリーガーよりも総合力で勝っているとは、僕にはとうてい思えない。まあ、長友みたいな選手も中にはいるけれど、彼は別格中の別格。そもそも、いまさら大学生に門戸を開くってのは、佐藤寿人あたりにお前は大学生以下だって言っているようなもんでしょう。そりゃ失礼にもほどがある。
僕が試合前からやたらと冷めた気分だったのは、この永井くんと栗原の招集という、岡田さんによる暴挙のせいも大きかった。
さらに言うならば、遠藤をいまさら攻撃的なポジションで使うしなぁ。どうせ本番ではボランチで使うつもりなんだろうに、それだったらば、なぜ稲本とのコンビの連係強化を図らないかなぁ。あ、そういえば後半開始から栗原を下げて阿部ちゃんをCBにコンバートした結果、そういう形になったのか、もしかして。
あ、そういえば、最後のほうになって遠藤を下げて、槙野を入れてたな(後半途中で直接FKを決められ、その時点でスコアは0-3)。なんで負けてんのにCB?と思ったんだった(しかもその槙野も、今野が怪我で代表を辞退してから追加招集した選手だし。そんなに岩政が嫌いか)。あと、槙野と一緒に矢野も出てきたな(よりによって玉田と交替で)。いまさら矢野を呼び戻したってのは、ようやく高さのあるFWの重要性に気がついたか(平山はそんなに駄目だったのか)。そういや、山瀬も出てたっけ(俊輔と交替で)。
あー、なんだかぐちゃぐちゃな文章になっているけれど、要するにそんな風に支離滅裂になってしまうくらい、僕にとって岡田さんの采配というのは、なにもかもがちぐはぐなのだった。以前はチームのコンセプトがどうしたという話ばかり漏れ聞こえてきたけれど、この日の試合のどこに一貫したコンセプトがあるんだと思う。単に気に入った選手を集めてきて、あとは選手の才能任せって感じじゃん。だからこの試合みたいに、頼みの俊輔がまったく目立たない状況だと、ヨーロッパ勢にはまるで歯が立たないなんてことになってしまう。主力抜きのセルビアにさえ、こてんぱんにやられてしまう。
こんな代表は本当にもういやだ。こんな日本代表、W杯で見たくないよぉ。今夜の僕は一刻も早くW杯が終わって欲しいって気分になってしまっている。あぁ、やだやだ……。
どうでもいいような愚痴ばかり長々と書いてしまったので、もうやめる。
最後にひとことだけ。そういや、石川直宏はよかった。故障明けのせいか、まだ本調子ではなさそうで、得点こそあげられなかったけれど、果敢にゴールを目指すそのプレーは、見ていてとても気持ちよかった。せめて彼は本戦に残って欲しい。
(Apr 08, 2010)