この日の対戦相手は、J1復帰1年目にもかかわらず、開幕から絶好調で首位を快走してきた柏レイソル。つい先日、マリノスに首位を明け渡しはしたものの、それでも勝ち点で並んで2位につけている。アントラーズがあくまで優勝を狙うのならば、絶対勝たないといけない一戦だった。
でも負けてしまった。勝つどころか、引き分けにさえ持ち込めないのだから、がっくりくる。
これでレイソル(いまだ勝ち点でマリノスと並んで2位)との勝ち点の差は18。その差は勝ち星の数にして、じつに6。すでにリーグ戦は後半戦に突入しているし、マリノスやレイソルはともかく、いつのまにか前年度王者のグランパスが3位まで順位を上げている。さすがにここまでくると、優勝は難しいよなぁ……。この時点で14位のチームが優勝するには、それこそ奇跡が必要だ。あぁ、なんでこんなことになっちゃったんだろう……。
この日のスタメンは前節と一緒。試合は全体的にこっちペースだったものの、前半に10番レアンドロ・ドミンゲスのなにげないクロスから北島にオフサイド・ラインの裏を取られ、先制点を奪われる。
この場面では北島のボールの受け方も見事だったけれど、マークについていた岩政がボールの目測を誤ったのか、いともたやすく裏を取られてシュートを打たれてしまったのが痛かった。
そのまま0-1のビハインドで突入した後半からは、興梠が足を痛めたかなんかで、大迫が出てくる。でも、大迫はあまりいいところなし。田代とのツートップという機会があまりないから、仕方ないのかもしれないけれど、興梠ほどの存在感がない(興梠はゴールこそ少ないものの、ボールタッチはとても多い)。
あぁ、これでは駄目かと思った後半だったけれど、それでも鹿島は得意のセットプレーから一度は同点に追いつく。野沢のFKから田代がヘディングを決めた(田代、打点高けー)。
よーし、これで負けはない、あと1点!──と思ったのに、やはりその1点が奪えない。それどころか、そのあとにレアンドロ・ドミンゲスに豪快なシュートを決められて、ジ・エンド……。駄目だって、ペナルティ・エリアの外とはいえ、そんなところで10番をつけたブラジル人にフリーでシュートを打たせちゃ……。
その決勝ゴールが後半の35分。ロスタイムが4分あったから、追撃の時間は15分近く残されていたのだけれど、結局アントラーズが同点に追いつくことはなかった。
オリヴェイラさんの采配にも疑問が残った。決勝点を許す少し前には、新井場を西に替えている。柏が対面の左サイドに水野晃樹(おー、こんなところに!)を入れてきたので、この外国帰りのフレッシュなサイド・ウィングを恐れて、疲れの見えるベテランを下げたという風に見える。でも、だとしたら、どうにも消極的だ。是が非でも勝つべき試合で、それも同点の場面で打つ手がサイドバックの交替ってのはないと思う。失点が右サイドからだったというのもあって、もしもこの選手交代がなければ負けていなかったんじゃないかとさえ思ってしまう。
その後の3枚目のカード(野沢→遠藤)を切ったのも、残り時間が5分を切ってからだし、今年のオリヴェイラさんは選手交替のタイミングが遅すぎる上に、ディフェンシヴな選手起用が多すぎる気がする。チーム状態が悪いから采配に迷いが出ているのか、采配のぶれがチーム状態の悪さを招いているのか。いずれにしてもこんなにオリヴェイラさんの采配を疑問に思うシーズンは就任以来初めてだ。
対するレイソルはさすがにここまで首位争いをしているのは伊達じゃないって内容。全体的なチーム力ではこちらが上に思えたけれど、攻撃における組み立てがシンプルで、ゴールに至るまでの流れがとてもスムーズな印象を受けた。出戻りの北島が9番を背負ってチームを引っぱっていっているのも素晴らしい(北島、なにげに上手いし)。いまだ確固とした得点パターンが構築できていない今年の鹿島とは対照的だ。
まあ、こちらはここまで全試合にスタメン出場しているFWの軸の興梠が、通算3得点じゃなぁ……。エースFWがこれでは、下位低迷も当然。
とはいえ、その一方でスタメンわずか8回の田代は、その間にすでに5ゴールを挙げている(田代、帰ってきてくれてありがとー)。あとは興梠か大迫が爆発してさえくれれば、もっと勝てるはずなのだけれど……。ここまでくると優勝は難しいだろうけれど、あきらめずにひとつでも順位を上げていって欲しい。
あ、そうそう、FWといえば、前節ではナデシコの世界一に気を取られて書くのを忘れたけれど、その試合の前にカルロンがスイスに移籍してしまったんだった。レンタルという話だけれど、さすがにもう戻ってくることはないんだろう。なんだったんだ、彼は。期待はずれもいいところだ。
(Jul 24, 2011)