日本1-0北朝鮮
ワールドカップ・アジア3次予選/2011年9月2日(金)/埼玉スタジアム2002/日本テレビ
なんだかワールドカップ・南アフリカ大会が終わってから1年以上たつとはとても思えないんだけれども。はやくも次回ブラジル大会へ向けての予選が始まってしまった。
初戦の相手はチョン・テセ、リャン・ヨンギ、アン・ヨンハら、新旧Jリーガーを擁する北朝鮮。
この試合、直前になってエースの本田圭佑とひさしぶりに招集された中村憲剛があいついでリタイアしてしまった上に、台風のため延期になるかもしれないという話などもあって、試合前からなにやら落ち着かない雰囲気が漂っていた。
でも、いざ始まってみれば、台風は西日本へと逸れていってしまい(前半に瞬発ゲリラ豪雨はあった)、本田不在の影響も──まあ、なかったとは言えないけれど──心配には及ばず。決勝点こそ後半5分のロスタイムになるまでお預けだったものの、試合内容では日本が圧倒していた。
北朝鮮が「おっ、やるな」と思わせたのは序盤だけ。開始からしばらくは北朝鮮の時間帯が多く、なかなか日本がリズムをつかめなかった。でも、いったんこちらがペースをつかんでからは、もうこっちのもの。たまにミスからおいちょっと待てというピンチを迎える場面もあったけれど、やはり自力ではこちらが上だったと思う。
この日のスタメンはGK川島、DF内田、吉田、今野、駒野、MF長谷部、遠藤、岡崎、柏木、香川、そしてFWが李忠成のワントップという布陣。
本田の代役として注目の柏木はいまいち。積極的にミドル・シュートを打っていった点では目立っていたけれど、すべてふかしてしまったし、それ以外ではあまり効果的なプレーができていなかった。彼と交替で清武が出てきてからのほうが、全体的に躍動感があったと思う。
ま、清武が出てきたのは相手が疲れてからだから、比べるのはフェアじゃないかもしれないけれど、それでも彼は2試合連続で得点に絡んでいるわけだし、その点は特筆もの。セレッソがアントラーズと対戦したときには、それほど目立つプレーをしていなかったので、Jではこれといった印象がないんだけれど、代表での活躍は目覚ましい。こうなると、一度はスタメンで見てみたくなる。
もうひとり、途中出場ながら、バーをたたくシュートなど打って注目を集めたのが、ハーフナー・マイク。やっぱ194センチの長身は魅力だし、謙虚に泥臭くゴールを目指す姿勢には好感が持てる。前線にひとり、こういう背の高い選手がいると、いいアクセントになる。そういう意味では、ハーフナーほどではないけれど、田代も高さが持ち味なので、今後チャンスはあると思うんだけれど……(あ、そういや先ほど、次のウズベキスタン戦に増田誓志の追加召集が発表された。やたっ)。
ま、なんにしろこの試合の日本は66%という圧倒的なボール支配率で攻めに攻めまくったものの、なかなかゴールに恵まれず。期待の香川もゴール前でいまひとつ決断力を欠いた印象でノーゴールに終わった。
後半なかば、いいペースで攻めていたさなかに、北朝鮮に退場者が出た。それでさらに一方的になるかと思ったのだけれど、逆にここで数的に有利になったことで、リズムが狂ってしまったのか、その後しばらくは攻め手を欠く時間帯がつづいた。
そうこうするうちに残り時間も少なくなって、とうとうロスタイム。表示はなんと5分もある。これを見て目が覚めたように、ふたたび日本代表のエンジンがかかる。そこからは怒涛の攻撃で、3度、4度とつづけてCKを奪取。なんでこれが決まらないんだ?と不思議になってしまうような展開を繰り返した果てに、ようやくロスタイムも4分目に突入したところで、ショートコーナーから吉田麻也のヘディングが北朝鮮のゴールをこじあけた。いや~、劇的かつ冷や冷やものの勝ち点3だった。
この試合の日本代表を見ていて感心したのは、攻撃力よりもむしろ守備力。とくに遠藤、長谷部のダブル・ボランチは、みごとなインターセプトで相手のボールを奪い取っては、そのまま攻撃につなげていてすごかった。北朝鮮のレッドカードを誘ったのは遠藤だったし、決勝点は長谷部のつなぎからだし。なんかもう、今のこのふたりには文句のつけようがない。守備的なボランチではいい選手がたくさんいるけれど、攻守のバランスのよさで考えると、このふたりの代わりになれる選手はそうそういないと思う(だからこそザッケローニは憲剛を呼び戻したり、増田を追加招集したりしているのだろうけど)。
それにしても、仮にもW杯に出場した北朝鮮を相手に、本田ぬきでここまで圧倒的な試合運びができてしまうというのは、ちょっと予想外だった。いまの日本代表はマジで強いかもしれない。
(Sep 03, 2011)