2012年1月のサッカー

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  1. 01/01   京都2-4F東京 (天皇杯・決勝)

京都サンガ2-4FC東京

天皇杯・決勝/2012年1月1日(土)/国立競技場/NHK

 史上初のJ2対決となった今年の天皇杯決勝。アントラーズが負けたときには、おいおい、京都つよいなと思いはしたけれど、まさかそのまま決勝にまで駒を進めてしまうとは思いもしなかった。おそるべし、大木監督。
 対するFC東京もJ2だけれど、こちらはもとより、どうしてJ2にいるのかわからないクラブなので、決勝進出にもべつに驚きなし。とはいえ、メンバーを見れば、平山や米本をけがで欠いている。それでなおJ2で優勝して、天皇杯も決勝進出を果たしているんだから、やはり大したものだと思う。大熊さんも意外とあなどれない。
 この両監督が南アフリカW杯のときに岡田さんのもとでコーチを務めていたと聞かされて、おぉ、と思う。あのW杯での日本代表のサッカーにはあまりいい印象がないんだけれど、それでもきっちりと結果を出してみせたのは、こういう人たちに支えられていたからなのかなと、いまさらながら思ったりする。
 この決勝に関しては、鹿島を負かした京都のサッカーを見ているだけに、FC東京も苦戦するんじゃないかと思っていたのだけれど、まるでそんなことはなかった。先制されながらすぐさま逆転して、前半だけで3点を奪って見せたFC東京が、最終的には4-2というスコアで完勝。やはりJ2どうしで手のうちがわかっているせいで、戦いやすかったのかもしれない。京都にもアントラーズを苦しめたときのような勢いがなかった気がした。
 京都の先制点は、今野がFWドゥトラのドリブルを止めにいって、徳永と交錯してしまい、そのこぼれ球がゴール前のフリーのスペースにこぼれた時点でアウト。あー、やっちゃったーって思ったところへ、京都のキャプテン中山博貴{なかやまひろき}がすっと入ってきてボールを拾うと、GK権田をかわしてループシュートを決めて見せた。さすがキャプテン、あの落ち着きぶりはたいしたもの。
 でもFC東京も負けてはいない。その数分後には左CKから今野がヘディングを決めて、あっという間に同点に追いついてみせる。相手の先制点は今野のミスから生まれたようなものだったから、ここでさっさと汚名返上してみせたのは、こちらもさすがチームリーダーと思わせた。
 この試合の途中には、確かこのあとあたりに地震があった。震源地は太平洋沖で、東京では震度3。うちのマンションではけっこう長く揺れていた。国立のスタンドもけっこう揺れたようだけれど、試合はまるで地震なんかないかのようにつづいていた。ピッチを走り回っている選手やレフェリーには、それほどの揺れには感じられなかったのかもしれないけれど、そのちょっとあとに、速報のため中継が一時中断したこともあり(だから僕らはこの試合を90分フルに観れていない)、観ているこちらとしては去年の震災をいやおうなく思い出させられる──あの震災はいまだ過去の話ではないと思わせる──地震だっただけに、まったく中断がなかったのが、かえって不自然に感じられた。
 ま、そんな地震もあったあと、試合のほうは森重の豪快なFKが決まってFCが逆転(森重、すげー)、さらにはルーカスがカウンターから2得点して試合を決定づけた。ルーカスは去年FCに途中加入する前は、ブラジルで現役引退を発表していたというのが嘘のような切れのよさだった。
 京都も噂の高校生、久保が途中出場して、セットプレーから見事なヘディングで1点を奪って見せたものの、追撃もそこまで。FC東京が難なく逃げ切り、初のカップ戦ウィナーに輝いた。おめでとう、FC東京!
 天皇杯の裏では、この2週間ばかりのあいだに、アントラーズが野沢、田代の移籍、ジュニーニョの獲得など、びっくり人事を発表。生え抜きの野沢の移籍にはびっくり(そしてがっくし)だし、田代を失うのも痛い。けどまぁ、世代交替をする上では仕方ないのかなぁ……とも思う(それでジュニーニョを取るってのもよくわからないが)。それに新監督がジョルジーニョに決まったというビッグ・ニュースもある。ジョルジとピクシーのJリーグOB監督対決とかも、なにげに楽しみだ。
 とにかくこれにて2011年のJリーグも全日程終了。ここから向こう2ヶ月間はシーズンオフ(代表戦はあるけれど)。あぁ、新体制のアントラーズがさっさと見たくてたまらない。早く3月にならないかなぁ…と思う。
(Jan 02, 2012)