2012年2月のサッカー

Index

  1. 02/05 ● U-23シリア2-1U-23日本 (オリンピック最終予選)
  2. 02/22 ○ U-23マレーシア0-4U-23日本 (オリンピック最終予選)
  3. 02/24 ○ 日本3-1アイスランド (親善試合)
  4. 02/29 ● 日本0-1ウズベキスタン (W杯3次予選)

U-23シリア2-1U-23日本

オリンピック最終予選/2012年2月5日(日)/ヨルダン

 五輪代表とはいえ、今年初の代表選にして、アウェイ用ながら、新ユニフォームのお披露目の一戦。そして勝てば五輪本大会への出場に王手!──という一戦だったのに。負けるんだもんなぁ。あぁ……。
 この日のスタメンは、権田、酒井、鈴木、濱田、比嘉、山村、山口、東、山田、山崎、永井という組み合わせ。
 ほんと、スタメンに大迫と扇原の名前がないのを見たときに、いやな予感がしたんだ。だって、これまでに観たこのチームでは、このふたりがかなり効いていたので。
 大迫のキープ力と扇原の攻守にわたるパワフルなプレーは、このチームに少なからず貢献していたはずだ。なのに、なぜにそのふたりをスタメンから外すかな、関塚さん?
 そりゃ永井の速さは魅力だ。この日の日本の得点も、まさに永井ならではだとは思った。でも前線でのボールの収まりのよさという点では、現時点では大迫のほうが上だと僕は思う。アウェイでの大事な一戦だからこそ、ここはやはりキープ力のある大迫でしょう? 実際、前半15分ごろに山崎が早々と怪我で負傷退場してからは、途中出場した大迫の方がボールタッチは多かったと思う。だからこそ、なぜスタメンで使わないかなと思ってしまう。
 山村にしろ、キャプテンだから怪我が癒えればスタメンは当然なのかもしれないけれど(まだアントラーズでのプレーを見ていないので、仲間意識が芽生えていない)、だからって前の3試合でスタメンだった扇原がベンチはなくないか?
 攻守のバランスという点を考えると、このふたりを一緒にプレーさせるのはリスキーだという判断なのかもしれないけれど、それってどうなのかと思う。もし扇原が最後までベンチだったなら、そういう采配ってことで納得もゆくんだけれど、中途半端に後半途中から使うしなぁ……。なんで1-1の状況でボランチの交替なんだ? 山村のスタミナが十分じゃないんだったら、最初から使わなけりゃいいのに……。
 だいたい、交替枠3つのうち、ひとつめが大迫、ふたつめが扇原でおしまいってのもなしだろう。後半ボランチ入れてそれっきりって、そりゃ引き分けでオッケーって采配じゃん。それでいてそういう明確な指示があったでもないようだし。ただでさえ危なっかしい試合だったのに、中途半端に守りに入る姿勢がよくない。なにがなんでももう一点を奪うって姿勢で臨まないからこういう展開になるんだって。
 この日の失点はどちらも出会いがしらの感が強かった。前半の失点はセットプレーからゴールを目がけて蹴り込まれたFKが、大迫のワンタッチでコースが変わって権田のファンブルを誘ってしまったもの。後半の2点目はロスタイムに入るか、入らないかという時間帯に、相手が思い切りよく蹴り込んだロング・シュートが、権田の頭上を豪快にぶち抜いたもの。どちらも権田が触っているだけに、止められなかったかなぁ……と残念に思ってしまうようなゴールだった。あぁ、ついてない……。
 でもまぁ、権田本人はどちらも自分のミスだと潔く認めて、非常に責任を感じているようなので、かわいそうだから責めたくない。これを糧にもうひと回り成長してもらおう。
 そもそもこの日は、チーム全体の出来がほんとに悪かった。オフ明け最初の試合なので、コンディションにも問題があったのかもしれないけれど、それにしても悪すぎた。攻めてはロングボールを放り込むばっかりで、サイド攻撃はほとんどできないし。前半終了間際の永井のゴールで一度は溜飲を下げたけれど、あれがなければ最悪って試合だった。
 永井のゴールは、高めの位置で相手からボールを奪った大迫(ファールかと思った)のスルーパスを受けてのもの。大迫のパスは弱すぎに見えたのだけれど、相手DFよりも先にそれに追いついてみせた永井がすごかった。あの快足はやはりただ者じゃない。でも悪いけど永井、あの場面以外は存在感なさすぎ。
 存在感がないといえば、東もそう。なぜ彼が10番をつけているのか、僕にはよくわからない。こういう試合で消えっぱなしの10番というのはいかがなものかと思う。名波や俊輔らの先輩と比べると、どうにも、もの足りない感が否めない。
 いずれにせよ、香川、宇佐美、宮市らを招集せずに、得点機をほとんど演出できずに負けてしまった関塚監督の手腕がいちばんの疑問だ。今回、大津の招集をクラブに断られたり、清武が怪我で途中離脱したりしたのは不運だったけれど、それ以前のチーム作りの段階から、なんだかすっきりしないものを感じてしまって仕方ない。
 山本さんにしろ、反町さんにしろ、そして今回の関塚さんにしろ、五輪代表を率いる日本人監督って、どうして毎回こうなのだろう? どの人も当初は好意的な目で見ているのに、試合を見ているうちに、どんどん不満ばかりが増えていってしまう。なんかそういうのって不幸でしょうがないと思う。
 なんかもう、ネガティブなことしか書けない自分もいやだ。
(Feb 06, 2012)

U-23マレーシア0-4U-23日本

オリンピック最終予選/2012年2月22日(水)/クアラルンプール/BS1

 前の試合でシリアに敗れ、グループ2位に転落。首位奪還のために、大量得点での勝利が期待されたマレーシア戦。ブルーの新ユニフォームも初お目見え(でもカッコわるい)。
 この試合のスタメンは、GK権田、DF酒井、鈴木、濱田、比嘉、MF扇原、山口、齋藤学(横浜Fマリノス)、東、原口、そしてFW大迫のワントップという布陣。途中出場は永井、山村、杉本健勇{すぎもとけんゆう}(C大阪)の3人。
 前の試合で見て、やはり山村はまだ不十分だと思ったんだろう。関塚さんは扇原をスタメンに戻してきた。また、ワントップも永井から大迫にスイッチ。さらに怪我で離脱した山田直樹、山崎に代え、原口元気と齋藤学を、招集するなり即起用という形。
 結果からすれば、この起用がはまった。酒井の先制点は原口が絡んでのものだし、2点目の大迫(珍しくヘディング)は扇原のFKからだし、後半の2点は原口と斎藤だった。つまりすべての得点に前の試合ではスタメンを外れた選手が絡んでいるという。まさにこの日は、関塚采配どんぴしゃり……なわけだけれども。
 やはり、だからなぜ前の試合で選手を替えたかなと。そっちの方が気になってしまう。さらには原口、斎藤という、最終予選が始まったころには呼んでもいなかった選手たちの攻撃力に頼らざるを得ない付け焼刃的な戦い方に疑問を覚える。
 なんたって、勝ちこそしたものの、この日もサッカーの内容はそれほどよくなかった。前の試合に比べればサイド攻撃はできていたけれど、それも右サイドだけだし(酒井はよかった)。なんだか全体的にやたらとパスミスが多くて、35分に先制点が決まるまでは、とても安心して見ていられる内容じゃなかった。正直なところ、見ていていらいらした。大事な試合でこの出来かいって。それでも、終わってみれば4-0で勝っているんだから、たいしたもんだけれど。
 さいわい、このあとの試合でシリアがバーレーンに負けたため(そんなこともあるかとは思っていたんだ)、最後の試合は引き分けでも本大会進出が決まることになった。とはいえ、いまのままでは、たとえ本大会へ出場できたとしても、世界の列強を相手に互角に戦える気がしない。ほんと、もう少しどうにかして欲しいなぁ……。
(Feb 23, 2012)

日本3-1アイスランド

2012年2月24日(金)/大阪長居スタジアム/日本テレビ

 五輪代表から中一日で行われた兄貴分A代表の2012年の初陣。アイスランドを大阪に迎えての一戦。
 来週行われる3次予選の最終戦へ向けた調整の試合ながら、もう最終予選への進出は決まっているし、しかも今回は国内組だけの招集ってんで、いまいち気分的に乗っていなかったんだけれど、スタメンを聞いて一気に盛りあがった。
 お~っ、増田がA代表でスタメン・デビューだ~。さらにスタメンには、前田、大久保、柏木といったひさしぶりの選手らが名を連ねている。ベンチには石川直宏もいる。この思いがけない布陣のおかげで、これといって見どころのなさそうな調整のための親善試合が、がぜん興味深いものになった。
 ということで、この日のスタメンは、GK西川、DF駒野、栗原、今野、槙野、MF増田、遠藤、柏木、FW藤本、大久保、前田という組み合わせ。藤本、大久保はFW登録だったらしいけれど、フォーメーションはおそらく4-2-3-1(いまだによくわからないやつ)。途中出場は憲剛、田中順也、伊野波、石川直、近藤直也、森脇。
 この試合、開始からわずか2分で、左サイドの槙野のクロスから前田がヘディングを決めて日本が先制したときには、いったいどうなっちゃうんだと思ったものだけれど、その後はアイスランドもきちんと気を引き締めて守備をするようになり、そうなるとFIFAランクが低い国とはいえ(103位とのこと)、さすがヨーロッパのチームだけあってがたいのいい選手ばかりなので、簡単には崩せなくなる。結局、前半はその1点に終わった。
 後半の頭から、ザッケローニはあまり機能していなかった大久保、柏木をさっさと見限り、憲剛と田中順也を投入。憲剛が入ったことにより、がぜんパスの回りがよくなる(田中も僕はけっこういいと思う)。そしてその憲剛のスルーパスに抜け出した藤本がループ気味の2点目を決める。藤本、これが10試合目で代表初ゴールとのこと。
 そういや藤本はこの日、背番号10をつけていた(田中順也が9、石川直が11ってのも意外)。いまの日本代表の10番は香川や本田のほうがふさわしいと思うけれど、でも藤本みたいなタイプはそういう重圧のある背番号を与えた方が、かえって活躍しそうな気もする。本田たちは背番号が何番でも関係なく活躍してくれるだろうから、だったら藤本あたりに10番を任せて覚醒を促すってのもありかなと思ったりした。
 3点目はこれも憲剛のCKから。槙野が一度目のシュートでディフェンスに止められたボールを、転びながらもしぶとく押し込んだもの。槙野もこれが代表初ゴール。彼の場合、さらには試合終了間際に相手にPKを献上するというおまけつきだった。なにやってんだか。まぁ、でもこの日はサイドバックとして、いい仕事をしていた。
 アイスランドでは7番のソルステインソンという選手(後半からの途中出場だったらしい)がサイドスローのときに、ボールを持ったまま前転して、その勢いでボールを放り込むハンド・スプリング・スローとやらを披露して、スタンドの喝さいを浴びていた。僕も最初に見たときにはお~、おもしれーと思ったものの、その後も何度も見せられて、最後のほうはやや食傷気味。やっぱ必殺技はここぞというときのために取っておいてくれないといけません。
 なにはともあれこの試合、僕にとっては増田のフル出場、これに尽きた。まぁ、スペースを埋める動きに気を使うあまり、プレーはやや窮屈そうだったけれど、それでもフル出場させてもらえたことでもわかる通り、ザッケローニへにはそれなりに評価されたようだし、次のウズベキスタン戦のメンバーにも選ばれたので、まずはめでたし。
 それにしても、増田がコンビを組んだことで、いやおうなく遠藤のプレーにも注目することになってみて、改めてその攻守における貢献度の高さには舌を巻いた。今回は柴崎もA代表に呼ばれていたけれど(お~!)、いやぁ、遠藤を超えるのは大変だわ。生半可じゃあのポジションは奪えない。
(Feb 25, 2012)

日本0-1ウズベキスタン

ワールドカップ3次予選/2012年2月29日(水)/豊田スタジアム/BS1

 宮市のA代表初招集で話題となったW杯3時予選の最終戦。
 すでに両チームとも最終予選への進出を決めている国どうし、いわば消化試合ながら、順位は日本が2位で、ウズベキスタンの後塵を拝している。なおかつ、最新のFIFAランキングで日本はアジア地区2位で(1位はオーストラリア)、3位の韓国との差はわずか。この試合の結果いかんでは逆転もありえるという。そして最終予選(10チームを2グループに分けての総当り戦)の抽選はFIFAランキング順に行われるのだという。
 つまり現状維持ならば、最終予選でオーストラリアと同じグループになる可能性はゼロで、韓国とは50%だけれど、もしもここで負けて3位に転落すると、そのどちらかと対戦する可能性が100%になるという計算。今年初のホームでの試合だし、海外組もフル招集してのベスト・メンバーでの一戦だし、ここは是が非でも勝っとかなきゃいけない──はずだったのに。
 負けちゃうんだもんなぁ……。あぁ、ため息が出てしまう。
 この日のスタメンは川島、内田、吉田、今野、長友、長谷部、遠藤、藤本、香川、岡崎、ハーフナーの11人。香川をトップ下にすえて、岡崎が左、藤本が右で、ハーフナーのワントップという布陣。
 最近見た国内組だけのA代表や五輪代表と比べると、個々のプレーの質はやはり高いと思う。香川とか、ボールを持たせると随所に光るものを感じさせるし、長友の攻撃参加も迫力がある。
 でも、そこは前日帰国したという選手ばかりのチーム。ここぞというところでの連係がいまいち噛み合わない。加えてウズベキスタンのプレスが非常に効いていて、なかなか自由にボールを回させてもらえない。ワントップのハーフナーの高さも活かせない(そういや、この日のハーフナーは下手だった~)。
 ときたま、ゴール前でお~っと思うようなパス回しを見せてくれるときもあったけれど、日本によくあるパターンで、パスが小刻みすぎてフィニッシュに至らず、というシーンが多すぎ。海外組はもっとシュートに積極的だと思っていたので、そういう「華麗なパス回し、でもシュート・ゼロ」みたいなプレーには、ちとがっかりだった。
 それでも前半は日本のペースだった。後半になればもっと連係もよくなり、得点を奪ってくれるだろうと期待していたのに、先制したのはなんとウズベキスタン。カウンターから右サイドからのクロスを放り込まれ、最初のシュートは川島が止めたものの、そのこぼれ球をフリーで詰めていた選手に難なく蹴り込こまれた。あ然。
 この失点の場面では、クロスを上げた選手のマークについていたのは遠藤だった。最初のシュートを打った選手には、ウッチーがつき切れず。で、得点者はノーマーク。要するにカウンターに対して、センターバックのふたりは戻りきれていなかった。そりゃ駄目だって。
 終了間際、同点に追いつこうと前がかりになった時間帯にはカウンターから2度も決定的なチャンスを与えてしまっていたし、スコアは0-1だけれど、相手のシュートミスがなければ、0-3で負けていてもおかしくない内容だった。残念ながらこの日のディフェンスはここぞで破綻してしまっていた。で、攻めてもスコアレスで終わってしまったんだから、結果だけ見れば、いいところなし。
 なんでもウズベキスタンは前の試合で最終予選を見据えて累積警告を回避しようとして、わざとイエローを連発したとかで、制裁を受けて主力の5選手が出場停止だったという(その割にはとてもよかったけど)。そんな相手にカウンターから崩され、スコアレスに押さえ込まれての敗戦。しかもホームでの黒星は15年ぶりだとかいう(前回は98年の韓国戦だとのこと。おぉ、あれか)。あと、W杯に限らず、公式大会の予選で連敗したのって、僕が代表を応援するようになってからは初めてだと思う。
 ということで、やたらとネガティヴな結果に終わってしまった今回の試合だったけれど、まぁ、シリアに負けた五輪代表と同じく、この試合も最終予選を前にしてのいい教訓になると思いたい。得点の気配さえなしで終わったならば問題だけれど、あと一歩というシーンはいくつもあったし(岡崎のシュートがバーをたたいたシーンとか、長友のクロスにハーフナーが滑り込んだシーンとか)。この先、本田が戻ってくれば、中盤はさらに安定するんだろうし、悲観的になる必要はないと思う。
 注目の宮市は、終盤に長友が足を痛めて、最後のカードを切って駒野を投入せざるを得なくなったため、出番なしに終わった(その前の交替は乾と李)。まぁ、長友がけがをしなくても、入れなかったんじゃないかという気もする。ザッケローニ、慎重派だから。こういう劣勢の試合で、最年少の選手に流れを変える仕事を託すとも思えない。
 あ、あとアイスランド戦ではさすがと思わせた遠藤だけれど、この試合ではやや精彩を欠いた。効果的なサイドチェンジのパスでおぉと思わせるようなシーンもあったけれど、全体的に消えている時間帯も多かった(それが苦戦の一因という気もする)。きょうくらいの遠藤だったら、増田や柴崎にもチャンスがあるんじゃなかろうか。日本代表にとっては、それじゃ困るんだけれど。
 それにしても、これで最終予選でオーストラリアか韓国と戦うのはほぼ確定か~。本大会出場へのハードルは高くなったけれど、でもまぁ、その分、最終予選がよりおもしろくなるってことで、前向きに捉えよう。あと、どうせならばウズベキスタンとは同じ組になっちまって欲しい。さすがにいまの日本代表ならば、同じ国にそう何度も負けないだろうし。この日の黒星のおかげで、この先当分ウズベキスタンには負けないと見た。
(Mar 01, 2012)