FC東京1-2鹿島アントラーズ
J1・第6節/2012年4月14日(土)/味の素スタジアム

去年はFC東京のJ2降格で実現しなかった例年恒例の味スタ・サッカー観戦。今年は無事FC東京がJ1に戻ってきたので、天候はあいにくの雨だったけれど、観させて頂いてきました(…って敬語になるのは、それなりのわけがあるのだけれど、そのわけは秘密)。
いやしかし、今年は開幕3連敗、4試合連続ノーゴール、5試合連続勝ち星なしと、ここまでさんざんな出来のアントラーズ。前節のレッズ戦ではようやく今季リーグ戦初ゴールこそ生まれたものの(興梠!)、試合はその後3点を奪われての逆転負け。開幕から第5節までずっと最下位独占という、不名誉なチーム記録を打ち立てている。
対するFC東京は、ここまで4勝1敗で第3位につけるという好調ぶり。どっちが去年J2だったんだかわからない。過去の対戦成績からすると、FC東京はけっこう分のいい相手だと思うのだけれど、今回はあまり勝てる気がしなかった。
ただ、相手は梶山がけがで欠場なのに加えて、今季移籍してきて、ここまで活躍めざましい(らしい)長谷川アーリアジャスールが前節レッドカードをもらって出場停止。やはりその辺の影響は少なからずあったんだと思う。この試合のFC東京は、得点力不足という点では、こちらとどっこいどっこいという印象だったから。それほど好調なチームには見えなかった。
まぁ、冷たい雨の降る4月とは思えない寒い日で(屋根がある席でよかった)、スリッピーなピッチで選手が転ぶシーンがやたらと多かったので──たまにスタンドのFC東京サポーターのちびっこたちが大笑いしていたのがかわいかった──、パス・サッカーを身上とする東京には分が悪かったのかもしれない。
そういや、残念なことに、こちらも柴崎をけがで欠いていた。要するに両チームの花形選手が3人も出ていないという、ややさびしい試合になってしまった。
この日のアントラーズのスタメンは曽ヶ端、西、岩政、山村、新井場、梅鉢、青木、遠藤、小笠原、大迫、興梠。途中交替はすべて後半で、興梠→ジュニーニョ、新井場→昌子(山村がここでボランチに移動)、大迫→増田(増田の出番はロスタイムだけ)。
広島戦のあとで僕が「興梠をスタメンで使ってほしい」と書いたのがジョルジーニョに通じたらしく、あの次の試合からはずっと興梠、大迫のツートップで戦っている。あと、19歳の
梅鉢のプレーを見るのは、僕はこれが初めてなので、彼がどれほどいい選手なのかはよくわからない(とりあえず、遠目から見た感じは小笠原に似ている)。でも彼のために増田がベンチを温めている状況は、やや心配なところだったりする。十代の選手にスタメンの座を奪われる日本代表の心境やいかに。
でも、この日の主役はそんな梅鉢くんではなく、興梠だった。前半途中にGK権田を接触プレーで途中交替に追い込み、さらには交替で出てきた塩田ともその直後に接触プレーがあって、「うわっ、FC東京GKふたりとも退場!?」と肝を冷させたため──さいわい塩田は大事に至らなかった──、それ以降、なにをしてもFC東京サポーターの大ブーイングにあう始末。興梠がボールを持っただけで「ブー!」、ファールをしようものならば「ブー!ブー!」と最初から最後まで大変な騒ぎ。
権田たちとの接触プレーは、興梠がDFラインの裏を取って、GKと1対1になったからこそ生まれたわけで、決して悪質なプレーではなかったのだけれど、そうはいっても、クラブのみならず、五輪代表の守護神でもある権田を怪我させられたサポーターの怒りが収まらないのもわかる。興梠にはかわいそうだけれど、まぁ、きょうのところは仕方ないだろうなぁと思った。
興梠、これでゴールでも決めた日には本日の悪役ナンバーワンだよな、でもこれだけブーイングを浴びていたんでは、精神的にそれも難しいそうだなぁ……と思っていたんだけれど、いやはや、やってくれました興梠くん。後半にみごと先制ゴールをゲット。遠藤が自陣でのインターセプトからドリブルで攻め上がり、右サイドに開いた大迫につないで、最後はその大迫からのどんぴしゃのクロスを、興梠がゴール真正面であわせた。手数の少ない見事なカウンターで鹿島先制。
でも、この1点では勝ちきれないのが、チーム状態がよくない証拠だと思う。後半も押し迫ってから、GKへのバックパスを曽ヶ端が手で処理したため、ペナルティ・エリア内で間接FKを取られ、そこから失点を許してしまう。
いや実は、この日は興梠のゴールが決まるより前に、FC東京にもまったく同じシーンがあったんだった。ただ、そのときは一瞬目を離していた上に、ゴールが僕らの席からは遠くて、なにが起こったんだか、よくわからなかった。
でも曽ヶ端がバックパスを取ったのは、僕らの目の前。まぁ、あとからリプレイを見ると、新井場がクリアしようとしたボールが曽ヶ端に向かって飛んでしまっただけで、故意にバックパスをしたわけではないので、ルール上はファールにはならないのが正解みたいだけれど、見ているときには、鹿島のバックパスがあまりに鮮やかに曽ヶ端の胸に収まったので、あ、バックパス取っちゃった、と僕はあせった。そしたら笛だもんなぁ……。
まぁ、判定の是非はともかく、結果としてそのバックパスはファールとなり、PKと同じ距離での間接FKが与えられ、それを防ぐためゴールマウスの前に両チームの選手たちが乱立して壁を作るという珍しいシーンが繰り広げられたのだった。それもこの日2度目。いや、この2度目のときにはさらに、ボールを蹴る前に鹿島の選手が動き出したからと、やり直しが命じられたので、正確には3度。で、この3度目で、壁にあたった跳ね返りを混戦のうちにねじ込まれ、同点に追いつかれてしまう。
この時点で残りは約5分。あぁ、きょうもまた初勝利ならずか……とため息まじり観ていたんだけれど、幸か不幸か、この日はそんなドタバタで試合が止まっていた時間が長かったため、後半のロスタイムが5分もあった。そうそう、さらに言うならば、この日は前半にも権田が交替するまで相当時間がかかったため、ロスタイムが8分もあったんだった。つまり前半後半あわせて、じつに13分もあったという。そんな珍しくて長い試合の最後の最後に、ジュニーニョが、そして遠藤がやってくれた~。
興梠と交替で途中出場していたジュニーニョが、左サイドで相手のこぼれ球を奪い取ってドリブルで攻め上がり、自らシュート。これは塩田に弾かれたものの、そのこぼれ球に遠藤がフリーで詰めてきていた。遠藤がこれを落ち着いて決めて、今季初勝利!
まぁ、全体的に両チームともあまりパフォーマンスがよかったとは思わなかったけれど、興梠へのブーイングや2度のゴール前での間接FKなど、珍しいことの多い試合だったので、それを生で観戦できたのはとても貴重だった。なにより今季初勝利を観られてよかったぜぃ。でもこの試合、ジョルジーニョ監督は前の試合で退席処分になって、ベンチにいなかったんだとか。なにをしているんだかなぁ……。
ま、とりあえずいまは権田の無事をお祈りします。オリンピックに支障が出たりしませんように。(追記:権田、どうやら大丈夫のようで。まずはひと安心)
(Apr 15, 2012)