オリンピック本番まであと2週間。ということで、国内最後の壮行試合ということだったのだけれど……。
今回の五輪代表の選考については、どうにも納得がゆかなくて、いまいち応援モードに入れないでいる。
だって、なんで予選ではFWの柱としてプレーしていた大迫が落選なんだよ~。ボランチのサブだって、なにゆえ出番が多かった山本康祐でなくて、トゥーロンで初めて合流したという村松なの? 予選でのチームに対する貢献は、本大会に向けてはまるで評価の対象にならないわけ? そんなのあり?
大迫にかわって選ばれた杉本健勇という子は、そりゃいい選手なのかもしれない(きょうの試合で初めて見たけれど、少なくてもルックスでは彼の勝ちだ)。19歳だそうだから、もしかしたら将来性を買ったのかもしれない。この先、日本代表の柱として活躍する選手になると見込んだのかもしれない(確かに大迫がこの先、A代表のエースになるかと問われると、かなり心許ない)。
でもなー、これまでの関塚さんのやり方を見ていると、どうにもそういう風には思えないんだよなぁ。なんか、お気に入りのわずかな選手を固定して、あとは場当たり的にそのとき調子がよさそうな選手をピックアップしているようにしか見えない。彼らこそ将来の日本代表を背負って立つ逸材なんだと、そう見込んで自信を持って選んだ選手たちだという印象を受けない。
僕は五輪代表は将来のA代表の雛形であって欲しいと思っている。この若者たちがいずれA代表を背負って立つんだと。代表監督にはそう思わせてくれる選手たちを選んで欲しい。彼らをこの先、ずっと応援してゆくんだと思わせて欲しい。そういう未来への連続性が欲しい。
そういう実感さえあれば、極論だけれど、本大会での結果は問わない。将来性豊かな選手たちに世界のレベルを体感させ、貴重な実戦経験を積ませられさえすれば、3連敗して終わったって構わないとさえ思う。
でも山本さんも反町さんも、そして今回の関塚さんも、残念ながら僕にはそういう選手選考をしているようには見えない。自分たちは日本サッカーの未来を育てているんだという、そういう矜持を感じさせてくれない。いまの自分にできるスケールの小さなサッカーを形にするのに精一杯で、選手たちをパズルのように組み合わせることに汲々としているようにしかえ見えない。そんなんでメダルを目指すとか言うのが恥ずかしい。
本気でメダルを目指すんならば、今回はOA枠の使い方だっておかしいだろう。なぜにいまだ故障が癒えず、この日の試合に出場さえできない吉田麻也を呼ぶ? ブンデスリーガで活躍しているサイドバックの酒井高徳がいるのに、なぜに徳永を呼ぶ? 3人目のGK林にいたっては、なんと補欠扱いだ。林に失礼でしょ、それ。
本気でメダルを目指してOA枠を使うんならば、万難を排してでも本田や長友を呼ぶべきじゃないのか。で、当然遠慮なく香川だって招集するでしょ。五輪世代でもっとも優れたタレントなんだから。なんで出場資格のあるA代表のエースがオリンピックに出ないんだ。前回のオリンピックではメッシだって出てたよな? 世界に日本サッカーを知らしめるつもりならば、香川の招集見送りなんて論外だろう。最高の選手をそろえずしてメダルに手が届くと思うなんて、世界をなめるにもほどがある。
そもそも、ここへきてOA枠でDFを補強したのはトゥーロンでの失点の多さが原因らしいけれど、それだってどうなんだと思う。仮にDFラインのリーダーが必要だとするならば、故障明けの吉田よりも闘莉王や槙野のほうがよくはないか? きょう戦ったニュージーランドのネルセンってDFなんか、闘莉王よりも年上だぞ。わざわざOA枠使うんならば、日本だって同じように経験値の高い頼れるDFを呼びゃいいじゃん。
そもそもディフェンス崩壊ったって、そりゃ関塚さんがずっとコンビを組ませていた鈴木大輔と濱田のコンビを見限って、山村をCBで起用したりするからいけなかったりしません? 山村はつい最近までボランチだった選手だ。CBとしてはまだまだ発展途上だと僕は思う。そんな彼にキャプテンマークを託して最終ラインを統率しろって、そりゃ守備が安定しなくなるのも当然な気がして仕方ないんだけれど……。
とにかくもう、日本の五輪代表はいつもいつも、やっていることが中途半端すぎて嫌だ。本気で勝ちに行っているようにも、ダイヤの原石のような若手の育成に全力を注いでいるようにも見えない。単にJFAのお眼鏡にかなった日本人監督に趣味でサッカーさせてあげてるみたい。きょうの試合なんて、関塚さんがなにゆえ予備登録の山崎や米本を使ったのか、僕にはまったく理解できない。おかしいでしょ、それ。
いや、関塚さんの選考姿勢には疑問だらけだけれど、選ばれた選手の能力には──それこそバックアップの選手であっても──、一定のポテンシャルは感じる。とはいえ、彼らの能力がしっかりと噛みあって、これから2週間で世界で戦えるレベルにまでチーム力が高まるかというと、はなはだ疑問。本番までにあと2試合、海外での親善試合があって、テレビでも放送されるらしいんだけれど、なんかそれを観るのも憂鬱になってきた……。
──なんて調子で愚痴っているうちにすっかり夜も更けてしまったので、最後にきょうの内容を簡単に書いておしまい。
スタメンは権田、酒井宏樹、鈴木大輔、山村、徳永、山口、扇原、清武、東、永井、大津。途中出場が杉本、村松大輔、山崎、米本、齋藤学(だから、なにゆえ予備登録の山崎や米本が斎藤よりも先に出るかな……)。後半26分に徳永のミドルのこぼれ球を杉本(なんと!)が決めて先制するも、ロスタイムの最後の最後にミスから相手にゴールを許してドローに終わった。なんでそこで点とられんの?って、思わず笑ってしまった。はぁ……。
あぁ、それにしてもホームでニュージーランドに勝てない日本が、オリンピックの初戦でスペインに勝利する確率やいかに──。
(Jul 12, 2012)