鹿島アントラーズ1-0ヴィッセル神戸
J1・第24節/2012年9月1日(土)/カシマサッカースタジアム/BS1
柴崎が出場停止だったため、ひさびさ本田拓也がスタメンに名を連ねたヴィッセル戦。
スタメンは曽ヶ端、岩政、青木、新井場、本田、小笠原、ドゥトラ、レナト、大迫、興梠という顔ぶれ。中田、山村が故障中だそうで、CBには青木が入っていた。それゆえ本田拓也の出番となったんだろうけれど、それにしてもこの状況でなお、スタメンで使われない増田の立場は……。俺は彼が不憫でしょうがない。
いや、べつに本田拓也がよくなかったというわけじゃない。それどころか、とてもよかった。ひさしぶりのスタメンとは思えない落ち着き払ったボール捌きで、中盤の守備に安定をもたらしていた。アントラーズに移籍してきてからは、怪我つづきであまりプレー機会に恵まれていないのに、いざ出番となってのあの堂々たるプレーは見事だ。やはりこの人もただ者じゃない。
──とはいって、だから増田を干していていいかというと、いいとは言えないわけで。彼に実力がないのならばともかく、仮にも日本代表に選ばれるくらいの人材なのだから、もうちょっと使い方を工夫して欲しいよなぁと。ジョルジーニョには、そう望まずにはいられない。
この日は途中出場で10分足らず出番をもらっていたけれど、あれだけで満足できるはずもなかろう。このままの使い方がつづくようならば、このオフに彼がふたたび移籍を志願するのはまず確実だろう。レンタル移籍から戻ってきてチャンスをつかみかけた矢先に指揮官が変わって、その好みに合わないがために出番が激減してしまうってんでは、気の毒でしょうがない。
まぁ、鹿島はボランチの人材が豊富であるがゆえの問題ではある。小笠原の経験とキャプテンシーは何物にも代えがたいし、柴崎や山村には将来の日本代表を背負って立って欲しいという期待がある。青木や本田は守備力に秀でている。そんなライバルと比べると、増田は(ジョルジーニョの目には)中途半端に映ってしまうのかもしれない。攻守のバランスに優れた、いい選手だと思うんだけれどなぁ……。
まぁ、そんな選手起用への不満も、成績がともなっているならば仕方ないと思えるのかもしれないけれど、あいかわらず降格ラインのちょっと上を上がったり下がったりしているんだから、ジョルジーニョの監督としての実力に対する疑問は深まるばかりだ。この日の試合も大迫のゴールで勝ちこそしたものの、内容的にはいまいちだったしなぁ……。
とりあえず、大迫のゴールはよかった。思い切りのいいミドル・シュートで、見事だった。あの1点とひさしぶりに見た本田のプレーが救いという試合だった。
それにしても、調べてみたら、なんと今年の鹿島はここまで一度も10位より上に上がったことがない。20年以上になるクラブの歴史の中でも、そんなシーズンおそらく初めてだろう。常勝軍団を自称するクラブだ。ジョルジーニョ以外の人が監督だったら、すでに解任されているに違いない。考えてみれば、相手の監督は、そうやって途中から就任した西野さんだった。
なまじクラブの英雄を監督に招いてしまっただけに、ほかのクラブのような荒療法が行えないという。なんとももどかしい今シーズンだった。
(Sep 02, 2012)