清水エスパルス1-2鹿島アントラーズ(延長0-1)
ヤマザキナビスコカップ・決勝/2012年11月3日(土)/国立競技場/フジテレビ
鹿島アントラーズ、20年目のナビスコカップ決勝で清水エスパルスを延長戦のすえ破り、通算16冠目を獲得するの巻。
うーむ。今年は泣かず飛ばずで終わるものと思っていたのに、こうやってタイトルを取ってしまうんだから、やはりサッカーはわからない。
この日の鹿島はスタメンが意表をついていた。GK曽ヶ端、4バックが西、岩政、青木まではいいとして、左サイドバックがなんと昌子。そして中盤が本田拓也に小笠原、遠藤、柴崎、興梠、そして大迫のワントップという形。
新井場はどうした、ドゥトラはどこだと思ったら、ふたりともベンチには入っていた(そしてともに後半に出てきた)。レナトがいないのは怪我のためだとして、あとのふたりは戦術的な交替だったわけだ。
左サイドバックに関しては、なんでもひとつ前のリーグ戦──今年はセレッソといい、この日のエスパルスといい、J1とナビスコ杯で同じクラブとつづけて対戦するという、珍しい展開になっている──で大前にやられ過ぎたので、新井場よりも1対1に強い昌子でその大前(と右サイドバックの吉田豊という選手?)を止めに行くという作戦だったらしい。ジョルジーニョ、発想がやたらとディフェンシヴというか、熱血漢なイメージに反して、打つ手が手堅いというか。もしくは守備的なばくち打ちというか。
ドゥトラの替わりに興梠スタメンの理由はよくわからないけれど、想像するに、延長戦を見越して120分戦うとした場合、途中出場であまり結果を残していない興梠をスタメンで使って、ドゥトラを後半から投入したほうが、最終的に相手に脅威を与えられるだろうという作戦だったのではないかと思う。
なんにしろ、興梠の起用も本来のツートップではなく、
ということで、試合が動いたのは、後半の頭から興梠に替えてドゥトラが出てきてから(興梠の交替は前半にイエローカードをもらっていたのも理由だったらしい)。後半なかば過ぎにドゥトラのドリブル突破からのパスを受けた柴崎がディフェンス・ラインの裏へとぬけ出し、清水の右SB
この時点で残り時間は20分を切っていた。この日は守備も安定していたし、これで勝ったか!と思ったんだけれど、そのすぐあとに、こちらもセットプレーからのゴール前の競り合いで謎のPKを取られて、同点に追いつかれてしまう。
ジョルジーニョは先制ゴールが決まるちょっと前に、本田拓也を増田に替えるという、この人にしては珍しい采配をふるっていた。で、このPKの場面、テレビのテロップではその増田にイエローが出たことになっていた。
今年は不遇なシーズンを余儀なくされている増田にこういう晴れの場面で出番が回ってきたことを喜んでいたらば、そのすぐあとに失点に絡むなんて、あぁ、なんてついてないんだ……。というか、そもそもリプレイを見ても、彼のプレーのどこがファールかもわからなかったので、なおさら可哀想すぎる! と思ったのだけれど、あとで確認したら、その場面でカードを出されていたのは青木だった。なんだ、増田、冤罪じゃん。……って、そもそも青木のファールってのも、ぜんぜんわかんなかったし。この同点PKには疑問符がついた。
でもまぁ、その同点ゴールがあったからこそ、延長戦での柴崎のビューティフルなゴールが生まれたわけだし、結果オーライ(今年はこの言葉ばかり使っている)。しかもそのゴールにつながるサイドチェンジのロング・バスを通して、決勝点の起点となったのが増田なのだから、なおさらオッケーだ。
もうね、柴崎の決勝ゴール(延長前半3分)は、ほんとグレイト!だった。柴崎は先制点のPKをもらったシーンのリプレイを見るような形でふたたびゴール前へと攻め上がると、右サイドの西からのラスト・パスを受けて、ワンタッチ目でボールをDFラインの裏へと流し込み(まぁ、偶然そのコースにいったみたいだけれど)、マークについたヨン・ア・ピンを振り切って、思い切りよく右足を振りぬいてみせた。お~。もうすべてが完璧なスーパー・ゴール! イッツ・ビューティフル!
この日の2ゴールで俺は、柴崎が近い将来、遠藤の後釜として日本代表の中盤に君臨する日がくることを確信した。いやぁ、柴崎、素晴らしすぎ。
試合はその後、逃げ切るために時間稼ぎをしようとした鹿島の選手にがんがんイエローが出てしまって、最後がちょっと締まらなかったけれど、でもまあ、苦しいシーズンの終わりの苦しいタイトル・マッチだったので、致し方なし。記録に残るのはアントラーズが勝ったって事実だけだし、とりあえず結果オーライ(……って今年はほんとこの言葉ばかり使っている)。なんとこれにてアントラーズは6年連続のタイトル・ホルダーなったわけだし。いやはや、なんともすごいクラブだ。
しかし、これで来年もジョルジーニョの続投は確定だろうなぁ。それはちょっとどうかと思うのだけれど、でもまぁ、選手と監督の両方でナビスコ杯を制した史上初の男にそんなことをいうのも失礼なので、来年はリーグ戦でもちゃんとしたサッカーを見せてくれることを信じて、彼を応援してゆくしかないかと思う。
(Nov 04, 2012)