2013年6月のサッカー

Index

  1. 06/04 △ 日本1-1オーストラリア (W杯・最終予選)
  2. 06/11 ○ イラク0-1日本 (W杯・最終予選)
  3. 06/15 ● ブラジル3-0日本 (コンフェデ杯)
  4. 06/16   Jリーグ TEAM AS ONE 2-1 Jリーグ選抜 (東日本大震災復興支援マッチ)
  5. 06/19 ● イタリア4-3日本 (コンフェデ杯)
  6. 06/22 ● 日本1-2メキシコ (コンフェデ杯)
  7. 06/30 ● 横浜M3-1鹿島 (ナビスコ杯・準々決勝)

日本1-1オーストラリア

ワールドカップ最終予選/2013年6月4日(火)/埼玉スタジアム2002/BS1

 どうにもオーストラリアには勝てないものの──なんでかな──、それでもなんとか引き分けに持ち込んで、日本がW杯出場一番乗りを決めた一戦。おめでとう~!
 この日のスタメンはガッチガチの11人。川島、内田、今野、吉田、長友、長谷部、遠藤、岡崎、本田、香川、前田って、なーんのひねりもない11人。
 でもこの試合に関しては、それで当然だよなと思う。とにかくホームで負けるわけにはいかないんだし。前の試合の出来からしたら、本田がいたら誰だって使わないではいられないだろう。たとえ故障明けで万全ではないにしろ。
 でもそこはさすが本田。やはり格が違う。彼がいるだけで、もうぜんぜん安定感が違う。本当に故障明けなのかと思うくらい、見事にボールが収まる。
 そういう意味では、むしろ岡崎のほうがコンディションはよくなかったんだろう。きょうはいまいちボールに絡めていなかった。この日の出来ならば、清武か乾がスタメンのほうがよかったんじゃないかと思う。彼らがスタメンだったなら、もっと楽な試合になっていたような気もする。
 かといって、これまでの活躍を考えれば、チームのトップ・スコアラーである岡崎を外すという発想はザッケローニにはないんだろうし。ザックさんは、よくも悪くも、そういう人だと思う。そういうところが好きでもあり、焦れったくもある。
 なんにしろ、本田が戻ってきたことで、日本代表のサッカーはブルガリア戦とは見違えるようになった。
 おもしろかったのは、本田と香川の連係が、いつのまにやら、やたらとよくなっていたこと。よくなったというか、いままであまり香川を評価していなかった本田が、ようやくその実力を認めて、どうやったら生かせるかを真面目に考え出した、といったような感じ。ふたりのワン・ツーで崩そうという場面がこれまでになく多かった。
 いや、ふたりで、というか、ふたりを中心にまわりも絡めて、だろうか。僕にはきょうの本田は、自らが本調子ではないせいか、いままで以上にまわりとの連携に気を使っているように見えた。
 ただ、そのパスまわしが、なぜだか狭いところでのワンタッチでのつなぎが多くて、思うようにフィニッシュにつながらない。うわー、すげぇってプレーもあった一方で、そりゃちょっと強引というか無駄じゃん?と思ってしまうようなプレーも多かった。
 でも、もっと彼らの連係が熟成してきて、ああいうプレーが見事にはまるようになったら、それって相当おもしろいと思う。そういうこれから先、おもしろくなりそうだなってプレーをこういう大事な試合で垣間見せてくれるのって、考えてみるとなにげにすごい。やはり、いまの代表は歴代最強だろうと思う。
 なにはともあれ、試合はそんな感じで日本代表がペースを握りつつも、ときたまオーストラリアのカウンターを受けてヒヤリとするという展開で、スコアレスのまま前半を終了。同じような感じで後半も時間が過ぎていった。
 膠着した内容なので、僕はこのまま下手にフォーメーションをいじらず、選手交替なしで最後までいってもいいんじゃないかと思っていたのだけれど、後半もなかば過ぎにザッケローニが動く。なんと、ワントップの前田を下げて、栗原を投入。
 すわ、この局面で3バックか? と思ったら、さすがにそうではなかった。今野を右サイドにずらし、長友を一枚上げて、本田のワントップという形へと移行。ドローでもいい試合だから、守備力を高めながら、長友の攻撃力を生かそうという作戦だろう。それはそれで悪くないと思った。
 でも、得てして、こういう作戦が仇になる。そのわずか3分後に、オーストラリアの選手が右サイドから蹴り込んだクロスが、そのままファーサイドに流れてゆき、日本のゴールマウスに吸い込まれてしまう。なんだそりゃ~って日本中の人が叫んだに違いない、なんともあっけない失点シーンだった。
 この時点で残り時間は10分を切っていた。ザッケローニは慌てて攻撃に転じて、ウッチーを下げてハーフナーを、残り5分で岡崎に替えて清武を投入するも、逃げ切りに入ったオーストラリアの前に、反撃の糸口がつかめない。
 あぁ、このまま、またもやオーストラリアに煮え湯を飲まされてしまうのか……と思った、後半ロスタイム。
 やってくれました~、本田くん。これがラスト・チャンスかと思ったCKで、ショート・コーナーから、相手のハンドを誘ってPK獲得! しかもそのPKで当然のように自らキッカーを務め、GKの真正面に蹴り込んで、その強心臓ぶりを見せつけるから、たまらない。それにしても、こんなにドキドキのPKもひさしぶりだったぜぃ。
 ということで、試合はその同点ゴールのあと、すぐに終了。土壇場で同点に追いついた日本が、見事W杯ブラジル大会のいちばん乗りを決めたのでした。めでたし、めでたし。
 まぁ、またもやオーストラリアに勝てなかったのは残念だけれど、それでも敗戦濃厚な試合で、土壇場でドローに追いついたってのは、日本代表に地力がついた証しだと思う。思わぬドラマチックな展開に最後の最後で盛りあがったし、本田と岡崎が合流してわずか一日というのを考えれば、内容的には決して悪くなかったので、とりあえず満足って一戦だった。
 さぁ、これであと一試合、消化試合となった来週のイラク戦が済んだら、そのあとはいよいよコンフェデで、ブラジル、イタリア、メキシコとの対戦だ~。ん~、楽しみ。
(Jun 04, 2013)

イラク0-1日本

ワールドカップ最終予選/2013年6月11日(火)/ドーハ(カタール)/テレビ朝日

 ワールドカップ、アジア地区最終予選の最終戦は、「ドーハの悲劇」で有名な20年前と同じく、ドーハでの一戦だった。しかも対戦相手は、同じくイラク。ただし、結果はあのときとは真逆。今回はすでにW杯出場を決めている日本が、わずかに残ったイラクのW杯出場の可能性を断ち切る結果となった。
 すでにグループ1位突破を決めている日本は、コンディション不十分の本田、内田、吉田麻也に加え、前田までも温存。さらには長谷部も累積警告で出場停止ということで、スタメンは川島、酒井宏、伊野波、今野、長友、細貝、遠藤、岡崎、香川、清武、ハーフナーの11人だった。どうせならば、長友や遠藤にも休ませて、酒井高徳や高橋秀人らにチャンスをあげたらばいいのに……と思うも、ザック氏は当然そんなことはしない。
 試合はといえば、本田抜きということで、このところの典型。やはり高い位置でボールが収まらず、セカンド・ボールを拾い切れずに、苦戦するという展開。でも、たまの攻撃では、いい連係を見せる場面もちらりほらり、という内容。
 攻めてはどうにもハーフナーがポスト役には不十分の感あり。高さを生かす場面もあまりないし──惜しいヘディングがひとつあったくらい──、いまの状態では、彼のワン・トップは使えないと思う。
 守っても、イラクにカウンターで裏を取られて、思わずうわーって叫んでしまうような危なっかしい場面がいくつかあったし、失点しなかったのは時の運って感じで、どうにもピリッとしなかった。
 まぁ、気温が30度を超えていて、危険だからと前半・後半ともに、途中で試合を中断して給水タイムを取るなんてコンディションだったし──あんなの初めて見た気がする──、風が強くてハイボールが流れてしまって、クロスを上げるのもままならなかったので、内容がいまいちだったのは仕方ない部分もあった。
 それでも後半終了間際に決勝ゴールを決めて勝っちゃうあたりが、なにげにすごい。そのちょい前に相手に退場者が出ていたので、数的有利な状況ではあったにしろ。そういや、退場した17番の選手は、やたらとラフプレーが目立っていたので、ざまぁみろと思ってしまった。
 得点の場面はカウンターから遠藤が自ら攻め上がって絶好機を演出し、シュートを打てそうな場面にもかかわらず、よくあるパターンでラストパスを選択。それをゴール真正面に駆け込んできていた岡崎が、こけながらゴールに流し込んだもの。遠藤には自ら決めて欲しかった気もするけれど、熱い中、チーム最年長があの時間帯にあそこまで攻め上がった心意気には痺れた。そういえば遠藤はこの日は長谷部にかわって、キャプテン・マークを巻いていたんだった。ナイス・キャプテン。そして、ナイス、チーム得点王。
 ということで、これでW杯最終予選は他国よりひと足お先に終了。最後にややもたつきはしたけれど、終わってみれば、グループリーグA、B通じて勝ち点、得失点差ともトップだってんだから、こりゃもう文句を言うのが間違っている。この調子でコンフェデでもいい試合を見せてもらいたいと思う。
 それにしても、コンフェデ初戦のブラジル戦は午前4時キックオフですって。来年のW杯もずっとそんな時間帯なんだろう。きっついなぁ……。
(Jun 12, 2013)

ブラジル3-0日本

コンフェデレーションズカップ/2013年6月15日(土)/ブラジリア/BS1

 日本代表、コンフェデ開幕戦でまたもやブラジルに惨敗を喫すの巻。
 ブラジルには去年の欧州遠征でも0-4とぼろ負けしているけれど、あれは親善試合だったし、チームの状態もよくなかったので、フル・メンバーで臨む公式戦の今回はちょっとは違うサッカーを見せてくれるだろうと思っていたのに……。終わってみれば、あのときより悪かった。失点こそ1点減ったけれど、内容はまるでよくなかった。
 とにかく運動量が足りない。挑戦者だといいながら、あんなんじゃ勝てるわけがない。
 ブラジルのホームで公式戦を戦えるなんて、めったにない機会だ。選手たちにやる気がないはずがない。でも実際問題として運動量は少なかったし、いまいちファイティング・スピリットも感じられなかった。やはり現地について中一日という移動時間の少なさゆえ、時差ボケがきびしかったんだろうか。そうとでも考えないと救われない内容だった。
 この試合でザッケローニに文句を言いたいことがあるとするならば、スタメンの布陣。いつもどおりの戦いを見せるといいながら、前田を外して、本田と岡崎のツートップはないでしょう? (スタメンは川島、内田、今野、吉田、長友、長谷部、遠藤、香川、清武、岡崎、本田の11人。交替は清武→前田、遠藤→細貝、本田→乾)
 ザック自身は、試合後の記者会見でフォーメーションは岡崎のワントップだと言っていたようだから、本田とのツートップに見えたのは、本田が自らの判断で高めに貼っていたということなんだろう。でも彼が高めの位置にいるために、いつもより中盤でのボールの収まりが悪く、セカンド・ボールが拾えなくて、後手後手にまわってしまった印象だった。
 ザッケローニはブラジルの堅固な守備をつくため、ポストプレーの得意な前田よりも、ディフェンス・ラインの裏への抜け出しがうまい岡崎をワントップにした方がいいという考えだったようだけれど、まぁ、単純に見れば、日本が世界に誇る攻撃的なタレントをすべて並べたという印象で、それ自体は特別おかしな作戦とは思わない。
 ただ、世界最強の国とアウェイで戦うのには、普段とは違ったフォーメーションは致命的だったんじゃないだろうか。連係がうまく噛みあっていなかったし、無駄な動きで選手どうしがかぶるシーンも多かった。とにかくなにより、それ以前に運動量が足りなくて、パスは足元ばかり。しかもミスパスだらけ。あれじゃ、ブラジルのディフェンスは崩せなくて当然だ。
 僕は現日本代表の特徴は攻撃力だと思っている。
 少なくてもいまのチームは守備力を誇れるような布陣じゃないだろう。なんたって高さのない今野に、いざというときに淡白な守備で失点を許す吉田麻也のふたりがCBのレギュラーなんだから。
 両サイドのウッチー、長友にしても、ボランチの遠藤、長谷部のコンビにしても、守備よりも攻撃でこそ評価できる選手たちだ。前線の選手たちも、欧州リーグの所属クラブでは攻撃の主力を担う選手ばかり。ある意味、ここまで攻撃的な布陣の日本代表って、これまでになかったと思う。基本的に慎重すぎるくらいのザッケローニが、こういうメンバー構成で戦っているのを僕はおもしろいと思う。そしてそのこと自体は肯定的にとらえている。
 ただ、なんにしろそんなだから、守備には多くは期待できない。ボール保持率で相手を上回れるアジアでは、ある程度守れているけれど、それにしたってこの頃は相手のミスに助けられて無失点で済んでいるような試合ばかりだし。ブラジル相手に無失点試合ができると思っているならば、その時点で自分たちの実力を見誤っているとしか思えない。
 とにかくこのチームは点をとってなんぼ。いまのチームでブラジルに勝とうと思ったら、失点は覚悟の上で、それを上回るだけの得点を重ねるしかない。そしてサッカーの偏差値で圧倒的に劣るこちらがそういう打ち合いの試合をしようと思ったら、少なくても運動量では相手を凌駕するしかない。オシムが口をすっぱくして言っていたように、とにかく走れ、と。相手より多く走ってアグレッシヴに攻めないことには、状況は打開できない。それができていない時点で、この日の完敗は当然の帰結だった。
 まぁ、失点した時間帯も悪かった。ネイマールに見事なミドルを決められたのが前半わずか3分。パウリーニョ(去年の先制点もこの人だった)に追加点を許したのも後半3分(川島、弾くも止められず)。そしてカウンターからジョーという選手に3点目を決められたのが、後半のロスタイム(麻也おいてけぼり)。失点しちゃ駄目な時間帯があるとしたら、すべてがすべてそういう時間帯だった。
 とはいえ、失点の場面以外だと、それほど危ないシーンはなかったような気もする。ネイマールにだって、得点の場面以外はこれといったプレーはさせていないし。それでもここぞというチャンスをきっちり決められているって時点で、相手が何枚も上手。アジア最強なんて肩書は世界ではまったく通用しないってことがはっきりした一戦だった。残念無念。
 そうそう、試合内容には関係がないけれど、この試合でなにがすごかったかって、ブラジルにフッキがいたので(背中の「HULK」の文字に笑った)、ピッチ上のスタメン選手のうち、じつに12人が元Jリーガーだったこと。
 Jリーガーというか、正しくは元J1。遠藤、今野は今年J2だし、あとは全員海外組なので、要するに日本のトップリーグであるJ1に現在所属している選手がひとりもいないという、そういう非常に珍しい代表戦だった。真面目にJ1の空洞化を心配したほうがいいのかもしれない。
(Jun 16, 2013)

Jリーグ TEAM AS ONE 2-1 Jリーグ選抜

東日本大震災復興支援 2013Jリーグスペシャルマッチ/2013年6月16日(日)/国立競技場/スカパー!

 日付の上ではコンフェデでのブラジル戦の惨敗の翌日──ただし、実際には時差の関係でわずか7時間後──に行われた、第3回目となる東日本大震災復興支援のチャリティーマッチ。
 このイベント、去年はデル・ピエロという超大物ゲストがいたのもかかわらず、カシマスタジアムでの開催だったせいか、けっこう空席が目立っていたのを見て、あちゃーと思った記憶がある。
 今年は国立での開催だというし、去年と同様、TEAM AS ONEは鹿島と仙台の連合軍が主体で、監督を務めるのはトニーニョ・セレーゾだし、新宿区在住の鹿島サポーターとしては、観に行かないといけないんじゃないかと思っていたのだけれど、前日にオンライン・サイトでチケットの販売状況を確認したら、自由席以外はほぼ完売だったので、心苦しくも見送ってしまった(申し訳ない)。観客の皆さん、コンフェデ中だというのに、ちゃんと集まるところが偉い。
 でもまぁ、これだけのメンツが集まるとなれば、熱心なJリーグ・サポーターだったらば、そりゃ集まるよなと思う。ましてや、国立競技場は来年にも取り壊しになるって噂だし(僕もだから行かなきゃと思ったんだった)。
 TEAM AS ONE は鹿島と仙台の主力を中心に、高萩や金崎ら、東北出身の若手Jリーガーを加え、さらには松井、大津、チョン・テセ、カレン・ロバート、安田、指宿ら、海外組をゲストに迎えた豪華な布陣。代表招集に漏れた海外勢がこんなにいるって現状も、考えてみるとけっこうすごい。
 対するJリーグ選抜は、俊輔、闘莉王、中澤、寿人、達也、柿谷、原口、扇原、山口蛍ほか、名前をあげたらきりがないってくらい、新旧の日本代表のメンバーがずらり(外国勢は後半に出場したジョルジ・ワグネルと甲府のキリノだけ)。
 両方ともあまりにタレントが豊富だから、前半と後半でほとんど全メンバーが入れ替わってしまって、違うチームみたいになってしまったのはやや残念だったけれど──オガサや俊輔はもっと観たかった──、でもまぁ、それなりにおもしろい試合だった。
 得点は、前半早めの先制点が寿人で──即席チームにしては見事な連係だった(オフサイドっぽかったけど)――、前半の終わり近くの同点弾が松井(大迫がこけて決めそこなったボールをかっさらった)。で、後半に金崎が決勝ゴールという展開。
 前半だけで交替していた闘莉王や松井が、そのあと再出場したのはちょっと反則っぽかったけれど、まぁ、このふたりの試合への貢献度が高かったのは確かだし、スタンドは大いに盛りあがっていたようなので、結果オーライなんだろう。松井はインタビューに答えて、日本に戻ってくる気があるようなことを言っていた。いまだその技術は衰えていないようなので、実現すればJリーグにとっては朗報だと思う。
 ひさしぶりに見るチョン・テセの猪突猛進なプレーも楽しかった。テセもどうせならば、日本に戻ってきてくれればいいのに。ドイツならばともかく、あのキャラをKリーグに渡しておくのは惜しい(いまはスウォン所属とのこと)。
 それにしても、代表メンバー不在の時期に、これだけ豪華なメンバーが集められて、国立を埋め尽くした大観衆のもとでチャリティーマッチができるってのは、20年間かけて培ってきたJリーグの財産だよなぁ……と思う。
(Jun 16, 2013)

イタリア4-3日本

コンフェデレーションズカップ/2013年6月19日(水)/レシフェ(ブラジル)/BS1

 うー、もったいない。あまりにももったいない敗戦だった。日本代表、イタリアに勝つ歴史的大チャンスを逃して、コンフェデ予選敗退が決まるの巻。無念すぎる……。
 ブラジル戦の失敗を踏まえて、ザッケローニはスタメンを前田ワントップのいつもの4-2-3-1に戻してきた。それで正解だと思う。強敵と戦うならば、慣れた形でないと。
 その布陣変更が功を奏してか、いや、それよりもむしろ、中二日で慣れない高温多湿なコンディションでの試合にのぞむイタリアの出来がとても悪かったのに助けられて、日本代表はブラジル戦とは見違えるようなサッカーを見せる。
 イタリア、駄目でしょう? あんなにプレスが緩いチーム、たぶんこの頃はJリーグにだってないぞ。試合前にイタリアはピルロとバロテッリさえ抑えれば勝てる、みたいな噂は聞いていたけれど、まさか本当にここまで駄目とは思わなかった。こんなイタリアに負けたんじゃ、洒落にならん──。そんな風に思ってしまうくらいに、この日のイタリアは出来が悪かった。
 ただ、だからといって日本が勝てるということにはならない。サッカーの場合、「負けない」=「勝てる」ではないわけで。前の試合の日本代表だって似たようなものだったし。本田の出来もいまだ本調子にはほど遠い感じだし。イタリア出来わるっ、とは思ったけれど、だからといって、この試合もらった! とはとても思えなかった。
 ところが、そんな試合が予想もしない展開をみせる。
 まずは相手のミスからGKと一対一のチャンスを作った岡崎がブッフォンに倒されてPKを獲得(あれでPKはブッフォンが可哀想だが)。これを本田が決めて、日本が先制点! さらにはそのあと、しばらくして香川がセットプレー後の混戦から芸術的なボレー・シュートを決めて、なんと前半で日本が2-0と先行! (香川はこのゴールの素晴らしさゆえに、大会史上初の敗戦チームからのマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたとのこと)
 もしもこのまま前半を折り返すようなことがあれば、こりゃ勝てるかも!──と思ったものの、やはりそうは問屋(=サッカーの神様)が卸さない。前半のうちにピルロのCKからデ・ロッシにヘディングをどかんと決められて、1点差に追い上げられてしまう。この1点で、勝てるかもしれないという希望は、一気に50%以下にしぼんでしまった。
 なんたって、この得点は取られ方が悪かった。表面的には、よくあるセットプレーからの失点だけれど、この場面でのそれは、与えなくてもいいCKからだった。ひとつ前のプレーで、イタリアが左サイドから放ったクロス(それともシュート?)がファーに流れてゴールラインを割ったもので、こちらのゴールキックかと思ったら、誰かが触っていたらしく、CKになってしまったというもの。
 問題はそのボールがゴールラインを割る直前に、日本の選手(誰だかは確認できなかったが、おそらくは麻也?)がボールに追いついていたこと。その気になればマイ・ボールにできそうなボールを、その選手はゴールキックにしようと、あえて見送ってしまった。ところがそれがマイボールとはならず、結果、CKからの失点へとつながってしまう。
 結果論だけれど、あそこで普通にボールをキープしてつなげていたら、その後のコーナーキックはなく、そのまま日本が2-0で前半を終えていたかもしれない。そうなれば、きっと試合の展開はまったく違うものになっていただろう。
 ところが、実際には日本は1点のリードで前半を折り返すこととなり、なおかつ後半開始からわずか5分ちょいで2失点して、まさかの逆転を許してしまう。
 同点ゴール──ウッチーのオウン・ゴール(涙)──のきっかけを作ったのも、吉田麻也がゴールライン付近でのディフェンスのミスから相手にボールを奪われたことだった。マヤー、またかぁ~。
 まぁ、ゴールラインを割りそうなボールをDFがゴールキックにしようとするのは、ありふれたプレーだ。決してそのこと自体が間違っていたとはいえない。ただ、それらは大事を取って、いったんプレーを切ろうというプレーだ。印象的には攻めよりも守りの姿勢が前に出た、消極的なプレーとして僕の目には映った。
 前の試合ではあまりにふがいなかった日本代表が、この試合では勇気を持って、果敢に攻めに出ていた。少なくても、攻撃面ではちゃんと勇気を見せてくれていた。でも守備の上ではどうにも消極的だった気がしてならない。そしてそうした消極性(もしくは臆病さ)が2失点の原因になっていたように思えてならない。
 日本はその同点ゴールの直後に、今度は長谷部がペナルティ・エリア内でハンドを取られてPKを献上、あっという間に逆転を許してしまう。不運な判定だったけれど、それは日本が前半にもらったPKも同様なので、言いっこなし。後半始まって、わずか7分で{つい}える大金星の夢……。あまりにあっけない逆転劇に脱力してしまって、しばし言葉も出なかった。
 ──とはいえ、そのあともこの日の日本代表はがんばった。意地を見せて、ふたたび一度は同点に追いついてみせた。遠藤のFKから岡崎が同点ヘッド! しかもその後も試合を支配して、押せ押せの展開をみせる。このままならば、逆転もありうる。少なくてもドローで終われば、このイタリアがブラジルに勝てるとは思えないから、決勝トーナメントの可能性は残る。さぁ、最後の力を振り絞って、ゆけ~!
 ――って展開で、なぜにイタリアに4点目を許す?
 最後の失点の場面も、今野のクリアボールが相手へパスになって、カウンターを食らってしまったもの。2、3本のパスを簡単に回されて、最後は途中出場の10番、ジョビンコにきっちり決められてしまった。
 要するに、この日のミスはすべて自分たちのミスから招いたものだった。大事な試合でここまで致命的なミスがつづくってのは、なんなのかなぁ……。
 日本と違ってイタリアの攻撃は手数が少なくて効率的だった。途中出場の選手もちゃんと貢献していた(ザッケローニ、あいかわらず選手交替が下手すぎる)。それでも、振り返ってみて、相手の上手さに圧倒されたって敗戦ではない。ボール支配率でもシュート数でもこちらが上回っていた。それでも、ここぞという場面でのプレーの質が、イタリアのほうが高かったって感じだった。
 嬉しいことに、この試合、積極的にボールを回す日本代表のプレーに、スタンドのブラジル国民はこちらが驚くほどの大声援を送ってくれていた。ネットを見れば、多くの海外の人たちが日本のサッカーを称賛してくれている。FIFAの公式サイトでは、コンフェデ史上、もっともエキサイティングな試合のひとつとまで書いてくれた。
 確かに、いかにイタリアの調子が悪かったとはいえ、そしていまだエースの本田が本調子ではないにもかかわらず、僕らの代表はイタリア相手に互角の戦いを演じて見せてくれた。目指しているサッカーは間違っていない証拠だと考えていいと思う。
 ただ、それは攻撃面での話。ディフェンスに関しては、やはり問題が大ありだ。いくら3点とっても、4点とられているようじゃ、勝てる試合も勝てなくて当然。2試合で7失点という守備の乱れをなんとかしない限り、来年のW杯でも上へ行くのは至難の技だろう。イタリア出身のザッケローニには、なんとしてでも守備陣の立て直しをお願いしたい。
 そしてあと、選手交替の下手さも、いい加減どうにかして欲しい。最初にウッチーを酒井宏樹に替えたのは意味不明だし、前田に替えて出したハーフナーはいないも同然。最後の長谷部→憲剛なんて、ロスタイムだ。あまりに意味がなさすぎる。あれって、試合に夢中になるあまり、交替カード切るの、忘れてるだけなんじゃないだろうか。困ったもんだ。来年のW杯までザッケローニ体制がつづくのは確定らしいので、せめてもう少し早く選手を替えるよう心掛けてもらいたいと思わずにいられない。
 まぁ、なんにしろ、残念な試合だった。それでも救いは、試合後に日本の選手たちが、みんな本当に悔しそうにしていたこと。イタリアのような強豪に負けてあれだけ悔しがれるようならば、もっと先へと行けるだろう。そうであって欲しいと心から思う。
(Jun 20, 2013)

日本1-2メキシコ

コンフェデレーションズカップ/2013年6月22日(土)/ベロオリゾンテ(ブラジル)/BS1

 コンフェデ、結局三連敗にて幕。
 中二日での試合ということで、ザッケローニはスタメンを一部入れ替えてきた。出場停止の長谷部にかわって、ボランチに細貝。センターバックは吉田にかえて、栗原。そして右サイドに酒井宏樹という布陣。
 初出場となる三選手はそれぞれ、よくやっていたと思う──と言えればいいんだけれど、残念ながら、あとのふたりはともかく、酒井はいまいちだと僕は思った。プレーの精度を欠いたし、前への積極性も感じられなかった。
 これだったらウッチーのほうが断然上──とザッケローニも思ったのかどうかはさだかじゃないけれど、この日最初の選手交替は、酒井を内田へ戻すことだった。ただ、すでに日本代表は1点のビハインドを背負っていたわけで、そこでの交替がDFってのがどうにもいただけない。
 DFなんて、よほどのことがなければ替えないのが、負けているときの定石だと思うのだけれど、不思議とザッケローニはうしろの選手を替えたがる。この日はさらにその次の選手交替も吉田麻也の投入だったし──しかも、なんとびっくり、前田との交替で、3-4-3へのフォーメーション変更ときた──、負け試合でDFばっか替えているザッケローニ采配には、ほとんどの日本人が「なにやってんだ」と思ったに違いない。
 とはいえ、じつはこの日に限っては、3バックというザック氏の選択もおもしろいかなと僕は思った。出来の悪かった酒井に替えて元気なウッチーを入れているわけだし、長友もまだまだできるだろうし、ならば両サイドに高い位置をとらせて、彼らの攻め上がりからの攻撃に期待する、という作戦だと理解したからだ。
 ただ、ここで思わぬアクシデントから、ザッケローニのこのフォーメーション変更は失敗に終わる。長友が足を痛めて、途中退場を余儀なくされてしまったのだった。
 まぁ、そのまま長友の位置に酒井高徳を入れて、引きつづき3バックにトライするという選択もあったと思うけれど、その直前まで中村憲剛の投入を予定していたザックは、しばし迷った末に(この間がずいぶんと長く感じられた)、そのまま長友に替えて中村を投入、フォーメーションを4バックに戻すことにした。
 結果的に、この中村の投入によりふたたび攻撃が活性化して、岡崎のゴールが生まれたわけだから、結果オーライ。長友退場というアクシデントにもかかわらず、とりあえず一矢報いて終わったことで、ザッケローニもいくらか面目を保てたと思う。
 まぁ、とはいえ、スタメンで起用したDFを途中で見限らざるを得ないってのは、やはり感心しない。ましてや、吉田投入の直後には、またもやセットプレーから追加点を許し、後半ロスタイムには内田がPKを取られてたりしているわけで(ここは川島がファイン・セーブで、なんとか3点目を防いでくれた。川島、ありがとー)。途中までは、打つ手打つ手、すべて裏目に出た感が否めなかった。
 なにはともあれ、この日の日本代表はブラジル戦よりはマシだったけれど、それでもイタリア戦には遠く及ばないって出来栄え。序盤こそ優勢にボールを回せていたけれど、なんとかペナルティ・エリアまではボールを運べど、そこでシュートが打てないで終わるシーンを連発(本田や香川にもシュート・ミスがあった)。その時間帯に先制できなかったことで、徐々に運動量が落ちてゆき、その後はメキシコに主導権を奪われ、マンUでの香川の同僚だというエルナンデスに2ゴールを許して、3連敗という残念な結果で大会を去ることになった。
 僕が考える今大会の最大の誤算は本田、長友が本調子ではなかったことだ。守備面での乱れもあったけれど、このグループでは、あのイタリアでさえ最終的に8失点を喫しているわけだから、いまの日本代表ならば、9失点は当然のことに思える。なんせ相手がすべてFIFAランキングで日本の上にいる国ばかりなんだし。そう簡単には守り切れない(まぁ、それにしても、ひどすぎたけれど)。
 そういう意味では、ブラジル戦のときにも書いた通り、このチームを攻撃のチームだと思っている僕としては、その攻撃が期待したほど活性化しなかったのが、いちばんの敗因だと考える。そしてその部分で鍵を握っていたのが、本田と長友だったと思っている。彼らが本来の力を出し切れていたら、もっと世界にインパクトを与えられていただろう。そうはならなかったことで、下馬評通り最下位に沈んでしまったのが悔しくてならない。
 まぁ、さすがに来年のW杯本大会では、これほどレベルの高い三ヵ国と同じグループになることはないだろうから、さすがに三連敗はあり得ないだろう。そう思えるだけの力があることは、とりあえず確認できた大会だった。
(Jun 23, 2013)

横浜F・マリノス3-1鹿島アントラーズ

ナビスコカップ・準々決勝/2013年6月30日(日)/日産スタジアム/スカパー!

 ナビスコカップの準々決勝、横浜のホームで行われた第二戦。
 アントラーズの試合を観るのもじつにひさしぶりだし、前の週に行われた第一戦を0-2で落としているために、勝ち上がるには2点差以上の差をつけての勝利が必須なので、攻撃的でおもしろい試合を見せてくれることを期待していたのだけれど、残念な結果に終わってしまった。ほとんどいいところがないままの敗退にがっくり。
 この日のスタメンは曽ヶ端、西、岩政、青木、中田、柴崎、小笠原、野沢、本山、大迫、ダヴィという顔ぶれ。本山のところは流動的だけれど、あとは今年のベスト・メンバーだといえる布陣だった。
 でもなんだか、立ち上がりからピリッとしない。こぼれ球が拾えず、後手後手の展開。時間の経過とともにマイ・ボールの時間帯こそ増えたけれど、それでもシュートまで持っていけない。そのうちに齋藤学に見事なミドルシュートを決められて、痛い先制を許してしまう。
 さすがに今年のマリノスから3点はきつい。あぁ、これで勝負ありか……と思いながら観ていたら、後半に入ってマルキーニョスにカウンターからのゴールを奪われて、さらに突き放される展開に、もうがっくり……。
 そのあと、大迫のクロスからダヴィのヘディングで1点は返したし、途中出場した遠藤、ジュニーニョ、前野らの動きは悪くなかったけれど、追い上げはそこまで。最後に俊輔のクロスから途中出場の奈良輪という選手に駄目押しゴールを決められて、2試合のトータル・スコアが5-1という屈辱的な惨敗を喫することになった。あぁ、駄目だった……。
 それにしても、ここんところ、コンフェデから4試合も連続で負け試合ばっかでうんざりだ。内容もよくないし、もっと楽しいサッカーが観たい。
(Jun 30, 2013)