日本1-1オーストラリア
ワールドカップ最終予選/2013年6月4日(火)/埼玉スタジアム2002/BS1
どうにもオーストラリアには勝てないものの──なんでかな──、それでもなんとか引き分けに持ち込んで、日本がW杯出場一番乗りを決めた一戦。おめでとう~!
この日のスタメンはガッチガチの11人。川島、内田、今野、吉田、長友、長谷部、遠藤、岡崎、本田、香川、前田って、なーんのひねりもない11人。
でもこの試合に関しては、それで当然だよなと思う。とにかくホームで負けるわけにはいかないんだし。前の試合の出来からしたら、本田がいたら誰だって使わないではいられないだろう。たとえ故障明けで万全ではないにしろ。
でもそこはさすが本田。やはり格が違う。彼がいるだけで、もうぜんぜん安定感が違う。本当に故障明けなのかと思うくらい、見事にボールが収まる。
そういう意味では、むしろ岡崎のほうがコンディションはよくなかったんだろう。きょうはいまいちボールに絡めていなかった。この日の出来ならば、清武か乾がスタメンのほうがよかったんじゃないかと思う。彼らがスタメンだったなら、もっと楽な試合になっていたような気もする。
かといって、これまでの活躍を考えれば、チームのトップ・スコアラーである岡崎を外すという発想はザッケローニにはないんだろうし。ザックさんは、よくも悪くも、そういう人だと思う。そういうところが好きでもあり、焦れったくもある。
なんにしろ、本田が戻ってきたことで、日本代表のサッカーはブルガリア戦とは見違えるようになった。
おもしろかったのは、本田と香川の連係が、いつのまにやら、やたらとよくなっていたこと。よくなったというか、いままであまり香川を評価していなかった本田が、ようやくその実力を認めて、どうやったら生かせるかを真面目に考え出した、といったような感じ。ふたりのワン・ツーで崩そうという場面がこれまでになく多かった。
いや、ふたりで、というか、ふたりを中心にまわりも絡めて、だろうか。僕にはきょうの本田は、自らが本調子ではないせいか、いままで以上にまわりとの連携に気を使っているように見えた。
ただ、そのパスまわしが、なぜだか狭いところでのワンタッチでのつなぎが多くて、思うようにフィニッシュにつながらない。うわー、すげぇってプレーもあった一方で、そりゃちょっと強引というか無駄じゃん?と思ってしまうようなプレーも多かった。
でも、もっと彼らの連係が熟成してきて、ああいうプレーが見事にはまるようになったら、それって相当おもしろいと思う。そういうこれから先、おもしろくなりそうだなってプレーをこういう大事な試合で垣間見せてくれるのって、考えてみるとなにげにすごい。やはり、いまの代表は歴代最強だろうと思う。
なにはともあれ、試合はそんな感じで日本代表がペースを握りつつも、ときたまオーストラリアのカウンターを受けてヒヤリとするという展開で、スコアレスのまま前半を終了。同じような感じで後半も時間が過ぎていった。
膠着した内容なので、僕はこのまま下手にフォーメーションをいじらず、選手交替なしで最後までいってもいいんじゃないかと思っていたのだけれど、後半もなかば過ぎにザッケローニが動く。なんと、ワントップの前田を下げて、栗原を投入。
すわ、この局面で3バックか? と思ったら、さすがにそうではなかった。今野を右サイドにずらし、長友を一枚上げて、本田のワントップという形へと移行。ドローでもいい試合だから、守備力を高めながら、長友の攻撃力を生かそうという作戦だろう。それはそれで悪くないと思った。
でも、得てして、こういう作戦が仇になる。そのわずか3分後に、オーストラリアの選手が右サイドから蹴り込んだクロスが、そのままファーサイドに流れてゆき、日本のゴールマウスに吸い込まれてしまう。なんだそりゃ~って日本中の人が叫んだに違いない、なんともあっけない失点シーンだった。
この時点で残り時間は10分を切っていた。ザッケローニは慌てて攻撃に転じて、ウッチーを下げてハーフナーを、残り5分で岡崎に替えて清武を投入するも、逃げ切りに入ったオーストラリアの前に、反撃の糸口がつかめない。
あぁ、このまま、またもやオーストラリアに煮え湯を飲まされてしまうのか……と思った、後半ロスタイム。
やってくれました~、本田くん。これがラスト・チャンスかと思ったCKで、ショート・コーナーから、相手のハンドを誘ってPK獲得! しかもそのPKで当然のように自らキッカーを務め、GKの真正面に蹴り込んで、その強心臓ぶりを見せつけるから、たまらない。それにしても、こんなにドキドキのPKもひさしぶりだったぜぃ。
ということで、試合はその同点ゴールのあと、すぐに終了。土壇場で同点に追いついた日本が、見事W杯ブラジル大会のいちばん乗りを決めたのでした。めでたし、めでたし。
まぁ、またもやオーストラリアに勝てなかったのは残念だけれど、それでも敗戦濃厚な試合で、土壇場でドローに追いついたってのは、日本代表に地力がついた証しだと思う。思わぬドラマチックな展開に最後の最後で盛りあがったし、本田と岡崎が合流してわずか一日というのを考えれば、内容的には決して悪くなかったので、とりあえず満足って一戦だった。
さぁ、これであと一試合、消化試合となった来週のイラク戦が済んだら、そのあとはいよいよコンフェデで、ブラジル、イタリア、メキシコとの対戦だ~。ん~、楽しみ。
(Jun 04, 2013)