2014年11月のサッカー

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  1. 11/02 ○ 新潟1-2鹿島 (J1・第31節)
  2. 11/08   広島2-3G大阪 (ナビスコ杯・決勝)
  3. 11/14 ○ 日本6-0ホンジュラス (親善試合)
  4. 11/18 ○ 日本2-1オーストラリア (親善試合)
  5. 11/22 ○ 鹿島2-1川崎 (J1・第32節)
  6. 11/29 ○ C大阪1-4鹿島 (J1・第33節)

アルビレックス新潟1-2鹿島アントラーズ

J1・第31節/2014年11月2日(日)/デンカビッグスワンスタジアム/スカパー!

 いやまぁ、今年のJ1は本当に難しい。
 残り4節、鹿島の対戦相手は、新潟、川崎、C大阪、鳥栖、ということで、上位争いをしている川崎、鳥栖、降格争いこそしているもののタレント揃いのC大阪と比べると、新潟は比較的、楽な相手って印象だったのに、いざ戦ってみると、ちっとも楽な試合にはならない。
 だって、2トップはスペイン帰りの指宿と、五輪代表のエースとして成長著しい(という噂の)鈴木武蔵だよ? 柳下さんが川又堅碁を冷遇して放出したときには、なにやってんだろうと思ったものけれど、まぁ、後釜にこのふたりがいれば、ネームバリュー的には遜色ない。田中亜土夢は10番背負っちゃっているし(そういうタイプでしたっけ?)、レオ・シルバはあいかわらず存在感ありまくりだし。守備陣はあまり聞かない名前ばかりだけれど(といいつつ、大井健太郎と舞行龍ジェームズという名前はそう簡単には忘れられない)、通算失点自体は鹿島より少ない。
 そういや、去年マリノスの優勝を阻止した試合を観たときにも、思いのほか好印象だったけねぇって。そんなことを思い出しながら観てました。
 とにかく、新潟は手強かった。こと前半に関していえば、悔しながら完璧にあちらのゲームだった。前半終わり近くにくらった鈴木武蔵のゴールとか、敵ながらあっぱれだったし。取られた時間帯も悪かったから、まじぃ、またもや勝てないのかと思った。でもそれをどうにかしたところに価値がある。
 この日のスタメンは、出場停止の山本脩斗のかわりに前野が左SBに入り、カイオのところに豊川が入ったメンツ。
 なぜトニーニョ・セレーゾがこのところ、カイオと豊川を交互に使っているのかはよくわからない。若いふたりのスタミナに配慮してのことか、はたまたスピードのあるカイオをスーパーサブとして考えているのか。後者だとしたら、この日はそれがすばりとはまった形だったと思う。
 前半は完璧に押し込まれていたアントラーズがようやく反撃ののろしをあげたのは、後半7分に赤崎、豊川をさげて、そのカイオと中村充孝を入れてからだった。この交替以降、ようやくこちらがボールを回す時間が多くなった。そして起死回生の同点ゴールはそれから10分後のセットプレーから生まれる。
 同点の場面は、小笠原の右サイドからのFKにファーでフリーとなった中村が右のインサイド・ボレーであわせたもの。おお~、なんて落ち着き払った素晴らしいシュート。あんなプレーができるとは、見直したぜ充孝!
 よし同点、でも、しかし同点。ここで終わったんではいけない。勝たないことには、優勝どころか3位以内もおぼつかない。さぁ、あと1点、どうにかしてくれ~。
 ──というファンの期待に、見事こたえてくれたのは西だった。相手DFの股をぬく思いきりのいいミドルで決勝点。なんだどうした西、今年は。日本中(世界中という噂も)で話題となった8月のスーパーミドルといい、ここへきて唐突に得点力があがった感じ。とても開幕戦で十代の伊東にスタメンを奪われていた選手とは思えない。いやはや、お見事でした。
 まぁ、このところ内容に結果がともなっていなかったので、その後も最後までなんだかあぶなかしい感じがして、もしやこのあと同点に追いつかれやしないかとはらはらだったけれど──そういや、最後の15分強は植田にかえて山村がでてきていたのに、僕はなぜか選手交替の場面を見逃して、試合終了後まで気がつかないでいた──、なんとかそのまま逃げ切ってゲームセット。貴重な勝ち点3をゲットした。いやはや、なんだかとてもひさしぶりに勝ち試合が観られた。
 さぁ、これで残りあと3試合。(なぜか試合が翌日だった)浦和も勝ってしまったので、優勝はかなり厳しくなったけれど、それでもまだ可能性は残っている。こうなりゃ残り3連勝以外ないだろう──といいつつ、次が難敵・川崎ってのが、かなり心許ない。
(Nov 03, 2014)

サンフレッチェ広島2-3ガンバ大阪

ヤマザキナビスコカップ・決勝/2014年11月8日(土)/埼玉スタジアム2002/フジテレビ

 現時点での勢いの差がそのまま出たようなナビスコ杯・決勝だった。
 かたや今季は3連覇を逃して、優勝とも降格レースとも関係のないポジションに甘んじている広島。かたやリーグ後半に破竹の勢いで白星を重ね、J1、ナビスコ杯、天皇杯の3冠さえも視野に入っているG大阪。単純な勢いの差だけで考えれば、ガンバ優勢の予想は否めない。
 ただ、広島にしても、リーグ王者としてのプライドがあるだろう。近年を見ても、鹿島や柏など、連覇を逃した年にカップ戦で優勝したパターンがけっこうある。広島も2連覇を成し遂げた勝ち癖がものをいって、J2から出戻りのガンバにひと泡吹かせる可能性もなきにしもあらずかと思った。
 で、前半のうちは実際にそうなりそうな流れだった。広島がキックオフから積極的に攻めて出て主導権をにぎり、前半なかばに幸運なPKの判定から先制すると(あれがハンドって西村さん、厳しくない?)、そのPKを決めた佐藤寿人がさらにはもう1点、波状攻撃からのこぼれ球を決めて追加点(この日でナビスコ杯通算得点の新記録とのこと)。
 これで2-0。こうなれば広島はあとは守るだけでいい。今季はあまり守備が堅いって印象でもないけれど、さすがにガンバも苦しくなっただろうと思ったら、ところがどっこい。
 そのわずか3分後に、遠藤がゴール前に斜めに蹴り込んだクロスを、パトリックが頭であわせて、あっという間に1点差としてみせる。遠藤のクロスも見事なら、斜めうしろから飛んできたボールを首のひねりだけでゴールへと流し込んでみせたパトリックも素晴らしかった。
 これでがぜん、試合はわからなくなった──というか、あっという間に形勢逆転で、これ以降、とくに後半に入ってからは、ガンバの一方的な内容になった。そしてパトリックが今度は宇佐美のクロスにあわせて、この日2ゴール目で同点。さらにはイケイケの波状攻撃からのこぼれ球を、最後は宇佐美と同い年だという途中出場の大森晃太郎が押し込んで、ついには逆転(広島の2点目のリプレイを見るようだった)。これが決勝点となって、ガンバが7年ぶりのタイトルを手にした。
 広島は序盤こそ優勢だったのに、徐々に失速して、後半はガンバの勢いに押し切られてしまった感じ。先制したからって、お得意のゴール・パフォーマンスで(懲りずにまだやってたのか)、ようかい体操だかなんだか踊っている場合じゃないだろう。
 この試合で僕が感心したのは、ガンバが高い位置から積極的に仕掛けてゆく守備がとても攻撃的だったこと。
 広島がバックラインでボールをまわしていると、2人、3人とガンバの選手がプレッシャーをかけてゆく。そしてボールを奪うが早いが、迅速に攻撃を仕掛けてゆく。後半の広島は、相手のそんなプレッシャーの前に、横パスとバックパスで逃げてばかりになっていった。攻撃はまず守備から、という言い方があるけれど、まさにそれを地でいっている印象で、非常に感心させられた。
 ガンバの選手でとくに印象的だったのが、13番のMF阿部浩之(1989年生まれ。おっ、テイラー・スウィフトと同い年か)。先月アントラーズと対戦したときにも、なかなかいい選手だなと思ったのだけれど、この日のプレーはさらによかった。攻守にわたって運動量が多いし、ボールを持ったときの攻撃の思いきりのよさが好印象。MVPは2得点のパトリックだったけれど(この日もちょっとやばすぎた)、僕には阿部も負けず劣らずインパクトがあった。
 注目の宇佐美は、同点ゴールのアシストをアシストしたり、ボールを持ったときには、さすがにおっと思わせるプレーを見せるのだけれど、やはり全体的にボールタッチが少ないかなぁと。もっとゲームに深く絡んで、決定的な仕事をするところが見たい。いまのままではまだ代表にはもの足りない気がする。
 まぁ、なんにしろガンバが強かった。天皇杯では次の準決勝で清水に勝てば、決勝の相手は格下のJ2勢だし(千葉か山形。なぜそんなことになっちゃんたんでしょう)、もしもJ1次節のレッズ戦にも勝ったあかつきには、本気で3冠狙えちゃうんじゃないだろうか。まいったな。
(Nov 08, 2014)

日本6-0ホンジュラス

親善試合/2014年11月14日(金)/豊田スタジアム/テレビ朝日(録画)

 いまだにハビエル・アギーレという人が監督としていいのか悪いのか判断できていないけれど、少なくても3度目となる今回の代表招集で、この人がとてもリアリストだというのはよくわかった。
 だって、この期に及んで遠藤、長谷部、今野を呼んじゃうんだよ?
 4年後を見据えて、若手主体の編成でここまで4試合を戦ってはみたけれど、いまだ{かんば}しい結果が出ない。どうも2ヶ月後のアジア杯で優勝するには、いまのままでは心許ない。じゃあといって、アジア杯までの残り2試合で方向修正して、前大会の主力をまとめて呼び戻してしまうという。うーん、まさに現実重視。とても{いさぎよ}い。この先どういうサッカーをやるにせよ、こういう人って、重要な局面では意外といい成績を残しそうな気がする。
 ということで、(仕事の都合でひさびさの録画観戦となってしまった)この日の試合は、GK川島、DFが内田、森重、吉田麻也、酒井高徳、MFはアンカー長谷部、前に遠藤と香川、3トップが本田、岡崎、武藤というスタメンだった。
 ウッチーもアギーレ体制になってからは、これが初招集。ブラジルW杯後には代表引退を口にしていたそうだけれど、アギーレのたっての希望により、ふたたび代表に戻ってきた。まぁ、遠藤らと違って、ウッチーはまだ20代だし、彼の実績と実力からすれば、アギーレが彼を呼びたいと思うのも当然。引退を考えるにはまだまだ早いだろう。
 ということで、スタメンの武藤を除く全員がブラジルW杯の経験者というこの日の日本代表ながら、それでも意外と新鮮味はあった。本田が右サイドに開いているからか、遠藤が高い位置でプレーしているからか、長谷部がアンカーやってるからか、はたまた森重、高徳、ルーキー武藤らがいるからか。まぁ、それらすべての結果なんだろう。前と同じようでいて、どこかが違う。そんなこの日の日本代表だった。
 で、結果は6-0という、アギーレ体制になってから初のワンサイドゲーム。
 というか、いくら出来のわるい相手(とはいっても仮にもホンジュラスはブラジルW杯出場国)とホームで戦ったとはいえ、アジア勢以外を相手に6点も取った日本代表って、これまでに観たことがない気がする(記憶力なさすぎって話もある)。
 しかもそのゴールの内訳が、吉田麻也の3年ぶりのゴールを筆頭に、本田のアギーレ・ジャパン初ゴール、遠藤の見事なミドル・シュート、後半から途中出場の乾の2ゴールと豊田のゴールがとも代表初と、けっこうレア度の高いものが多かったりする。なんかもう、ベテラン招集して仕切り直してみたところ、すべてが上手くいってアギーレほくほくって試合だった。
 この日のゴールは、誰かが競ったボールのこぼれ球を第三者が決める、というパターンが目立っていた。遠藤のCKを麻也がダイビングヘッドで押し込んだ先制弾しかり、豊田のゴールと乾の2点目しかり。カウンターから本田がどフリーになって決めたやつも、長谷部が中盤でパスカットしたボールが、たまたま前線に残っていた本田へのパスになったもので、ある意味こぼれ球みたいなものだったし。
 まぁ、どれも誰かが攻めてるときに別の誰かがいいポジションにいたから生まれたゴールなわけで、この日の日本代表はそれだけ厚みのある攻撃ができていたって証拠なんでしょう。ここまで点が入るなら、できれば香川にもゴールが欲しかったところだけれど(豊田のゴールはその前に香川が決めておくべきだったと思う)。彼だけはいまだ本調子でない感じがするのが、ちょっと残念。
 それにしても、遠藤いまだ衰えず。本田も調子がいいみたいだし、やはり好調なこのふたりが揃ってプレーをするときの日本代表は強いっ。あらためてザッケローニがブラジルで遠藤をちゃんと使ってくれなかった無念を思い出してしまった。
 まぁ、アントラーズのファンとしては、遠藤が戻ってきたことで背番号7とスタメンを奪われた柴崎にも注目せざるを得ないわけだけれど。この日は遠藤と交替で出番をもらったにもかかわらず、出来がいまいちだったのが残念なところ。遠藤さんになんか負けないぜ!ってプレーをみせて欲しかったのに、このままじゃアジア杯のスタメン取られちゃうぜ。ぜひがんばって奮起して欲しい。
 それにしても、いくらアウェイとはいえ、日本相手に6失点のホンジュラスって。ブラジルやドイツ相手ならばともかく、日本が逆の立場だったら大騒ぎだと思うんだけれど、大丈夫なんでしょうか。
(Nov 15, 2014)

日本2-1オーストラリア

親善試合/2014年11月18日(火)/ヤンマースタジアム長居/フジテレビ

 年内最後の代表戦。対戦相手は来年早々のアジアカップのホスト国、オーストラリア。大会を勝ち上がったらかなりの確率で対戦することになるだろうって国と、その直前に対戦するってのも、ちと珍しい。
 この日のスタメンは、川島、酒井高、森重、吉田、太田宏介、長谷部、遠藤、香川、本田、岡崎、武藤の11人。ウッチーが膝の故障で欠場したため、酒井が右にまわって、太田が左に入った以外は、前の試合と一緒。若い選手を使ってくるかもという噂もあったけれど、結局はベテラン中心の布陣となった。どうやら来年のアジア杯も同じ形で臨むことになりそうな雲行きだ。
 でもこの日の代表は、前半はまったくよくなかった。オーストラリアにいいようにボールを回されて、防戦一方。おいおい、オーストラリアってこんなにパスワークのいい国だったっけ? W杯で悲惨だったから、ついつい侮っていたけれど、やっぱアジアじゃ頭一つ抜けている感じ。どっちがホームかわからない。
 日本は中3日がきつかったのか、前半は本田、遠藤あたりがお疲れモードに見えた。途中からフォーメーションを4-2-3-1にして、長谷部と遠藤のダブルボランチという慣れ親しんだ形に変えてからは、いくらか落ち着いたけれど、それでも決定的な場面はほとんど作れず。不完全燃焼のまま前半は終わった。
 おもしろかったのは、そのあとのアギーレの選手起用。後半開始と同時に、遠藤をさげて、今野を入れてきたのだった。
 今野の招集も今回の注目点のひとつだったので、どこかで使うかなとは思っていたけれど、まさかこのタイミングで、しかも遠藤と交替で、というのはまったく予想外。
 ──とはいえ、この采配、僕は意外とおもしろいかも思った。前半の日本はオーストラリアにセカンド・ボールを拾われまくっていたけれど、中盤にボール奪取力にたけた今野が入れば、マイボールの時間が増えそうな気がしたし。
 果たして後半は日本がボールを持つ時間が格段に増える。そしてさらなる早めな選手で、武藤にかわって乾が入ってからは、ほぼ一方的に日本が攻め立てる展開に。そしてついに均衡を破ったのは、なんと今野だった。本田のCKにファーで頭で合わせた(なぜあそこまでフリーに)。
 いやぁ、アギーレ采配大あたり。ザッケローニは選手交替がやたらと下手だった印象があるので、的確に選手をかえて流れを呼び込み、あまつさえ先制ゴールまで導いてみせたこの采配の妙には、思わず笑ってしまった。すげー、アギーレ。
 さらにそのあと、(なぜか)森重が右サイドからの見事なドリブル突破をみせ、それを岡崎がヒールで決めて追加点。このゴールも森重のDFらしからぬ華麗なアシストと岡崎のヒールキックという、びっくり要素の二連発がおかしかった。岡崎、ひさびさのゴールで、これが代表通算40点目とのこと。
 試合はそのまま2-0で終了──と言えれば文句なしだったんだけれど、残念なことに、後半のロスタイムに途中出場のケーヒルにどフリーのヘディングを決められてしまう。
 この場面、クロスもフリーなら、シュートもフリーという無防備状態。なぜあそこであれほどまでに気を抜くかな~。完封で終わっていれば、気持ちよく年が越せたのに。まったく。
 そのほかでは、やはり香川のプレーに最盛期のような切れがないのは気になるし、柴崎が出番なしに終わったのも残念なところ(途中交替はあと一枚、岡崎→豊田でおしまい。あいかわらずカードを切らないアギーレさん)。でもまぁ、とりあえず宿敵オーストラリアに勝ったのだからよしとしよう。一年の締めとしては、上出来の結果だった。
 それにしても、次の代表の試合はもう来年一月のアジアカップだって。あぁ、一年が短い……。
(Nov 18, 2014)

鹿島アントラーズ2-1川崎フロンターレ

J1・第32節/2014年11月22日(土)/カシマサッカースタジアム/スカパー!

 サッカーの感想はその日のうちに書くのが習慣だったのに、最近はなんか衰え著しくて、ついつい怠けて何日後……みたいなパターンが多くなってしまっていけない。――ということで、すでに二日前のフロンターレ戦。
 それにしても川崎とは相性が悪いんだよなぁ……と思って、過去の記録を確認したら、なんと僕はこの4年間、一度もフロンターレ相手にアントラーズが勝ったのを観たことがなかった。残り3試合、ACL出場権確保にはひとつも落とせない状況で、そんなクラブとあたるとはなんて不運な……。
 ――と思ったんだったが、なんとこの日の川崎は、中村憲剛と小林悠が故障欠場。中村憲剛は大好きだから、普段ならば彼のプレーが観られないことを残念に思うところだけれど、今回に限っては結果第一。憲剛がいないのはとてもラッキー。大久保やレナトらも、憲剛がいなければ、怖さ半減だし。
 果たしてこの日のアントラーズは、なんら危ないところなく、フロンターレから白星を奪ってみせた。
 スタメンは、ソガ、西、青木(植田が出場停止)、昌子、山本、柴崎、小笠原、遠藤、土居、カイオ、赤崎。途中出場はルイス・アルベルト、充孝、本山というメンバー。
 先制点は遠藤のミドルシュート。彼はあの位置からのシュートがとても上手い。逆サイドではカイオが同じようなシュートを得意としているし、このふたりによる左右の遠くの位置からのゴールが、今年の鹿島の得点力アップに大きな役割を果たしているのは間違いないだろう。
 2点目は右からの西からのクロスに、DFラインの裏をとってファーでフリーとなった赤崎のヘディング。ダヴィ離脱後に代役としてあまり結果を残せていない赤崎だけに、ここでゴールが生まれたのは嬉しい。
 終盤にレナトの直接FKが壁にあたって絶妙なシュートとなってしまい、1点許したのは余計だったけれど、それでも手強い川崎相手にきちんと勝ち点3が取れたのは大きかった。
 裏ではレッズがガンバとの首位対決を落としたため、いまだアントラーズにも優勝の可能性が残っている。レッズのこの時期の勝負弱さは日本の七不思議。
 まぁ、このままレッズがすっとぼけてトップからずり落ちてくれても、ひとつ上にいる絶好調ガンバを追い越せる気がしないので、やはり優勝は難しいだろうとは思う。とはいえ、残り2試合勝てばACLは確定だから、そこは是が非でも勝ちとって欲しい。
(Nov 24, 2014)

セレッソ大阪1-4鹿島アントラーズ

J1・第33節/2014年11月29日(土)/ヤンマースタジアム長居/スカパー!

 今年のJ1にはFC東京の監督経験者が4人もいる──というか、開幕当時はいた。
 FC東京・初代監督の大熊さん、その後ではいちばん印象のつよい城福さん、去年指揮を執っていたポポヴィッチ、そして現監督のフィッカデンティ。
 このうち元監督の3人が率いるクラブが軒並み残留争いに巻き込まれているのだから、なんとも因果な巡り合わせだ。それも、城福さん率いる甲府こそ前節残留を決めたけれど、あとの2クラブは悲惨な状況。
 大宮の監督を務めていた大熊さんは、夏場に成績不振の責任を問われて解任。クラブはその後も低迷をつづけ、現在16位で最終節にかろうじて残留の可能性を残しているものの、自力残留の目はもうない。ひとつ上にいる清水との勝ち点は3差だから、清水が次節引き分けでも降格決定。毎年ぎりぎりで残留を決めてきた大宮も、今年はさすがに厳しそうな雲行きだ。
 そしてもっと悲惨なのが、この日アントラーズに引導を渡されることになってしまったセレッソ大阪。
 このクラブの場合、なぜに名将クルピの後釜にポポヴィッチを招聘したのかがすでにわからない。ポポヴィッチがFC東京で残した成績はそれほど目覚ましいものではなかったし──というか、あのクラブの戦力からすれば、もの足りなかった印象のほうが強い。
 そんなポポヴィッチの指揮のもと、案の定クラブは低迷。W杯による中断期間中に早々とポポヴィッチに見切りをつけ、べつの監督(名前が難しくて覚えられないドイツ人)を招くも、この人は1勝もできないまま、結局3ヶ月持たずに再び解任。今季3人目の監督である現在の大熊裕司氏は、前述の大熊清氏の弟だという。しかも過去にJリーグでの監督経験なし。
 この局面でそんな実績なし実力未知数の新人監督にクラブを託すってのが信じられない。フロントはいったいなにを考えているんだろう。
 大熊弟さんの力量の如何を判断するだけの知識が僕にはないけれど、少なくてもこの日の試合を見るかぎり、大金をつぎ込んで獲得したフォルランや、後半戦に急遽獲得した元ドイツ代表のカカウをスタメンで使いこなせない──フォルランに至っては、ベンチ入りさえしていない──って時点でもう駄目だと思う。
 どれだけフォルランやカカウのコンディションが十分でなかろうと、ちょっと前まで母国の代表だった選手だよ? J1残留にあえぐレベルのクラブの戦力として、彼らの実力が不足しているはずがない。少なくてもサッカーを興行として考えれば、彼らのネームバリューは出場しているってだけでファンサービスに値するわけだし。そんな選手たちをスタメンで使わない監督の手腕に僕は疑問をおぼえる。
 いや、それでクラブが勝ってるんならばいいけれど。シュート数で相手を下まわって、決定力不足だって嘆くんならば、もうなにをいわんやだ。
 今季のJ1でアントラーズが得点数リーグ1位という素晴らしい結果を残しているのはなぜかといえば、それはシュート数でもリーグ1位という数字が表している通り、積極的にシュートを打っているからだろう。やっぱ打たなきゃ点は入らない。
 そういう意味で、この日セレッソでもっとも積極的にシュートを打っていたのは、後半から途中出場で出てきたカカウだった。フォルランもその点では積極性が印象的な選手だから、彼が出ていればもっとシュート数は増えたろう。そんな彼らをスタメンで起用しない理由がわからない。
 セレッソの降格については、期待外れに終わったフォルランを戦犯扱いするような意見があるようだけれど、僕は本当にそうなのか、疑問に思う。
 そりゃ確かに南アフリカW杯のときのような目覚ましい活躍はしていないけれど、少なくてもポポヴィッチが指揮を執っていた序盤戦の彼は、それなりにゴールを決めていた。
 終盤戦になってからはほとんど得点がないけれど、記録を見るかぎりでは、ここ10試合ばかりは出場機会もほとんどなかったようだし。全試合フル出場していて7ゴールではものたりないけれど、ほとんど出番がなければゴールが生まれないのも当然。使いもしない選手にけちをつけるのは間違っている。
 これは結果論だけれど、僕はポポヴィッチがそのまま指揮を執りつづけていたら、少なくてもセレッソはJ2降格なんて羽目には陥らなかっただろうし、フォルランももっと活躍していたのではないかと思えてならない。
 そう、そういう意味では、同じ大阪のクラブながら、ガンバとセレッソの今季の成績はじつに対照的だ。どちらもW杯前は下位に低迷していながら、かたやその後に破竹の勢いで勝ちあがって、ついには逆転優勝が目の前という状況。かたや監督解任で失敗して、そのままずるずると黒星を重ね、ついにはJ2降格の憂き目を見てしまったという……。
 それこそW杯中断前の順位でいうならば、セレッソのほうがガンバよりもまだ上だったんだよ?
 そう考えると、つくづくセレッソはポポヴィッチ解任を早まったよなぁ……と思わずにいられない。そもそも、それ以前になんでポポヴィッチなんか呼んじゃったんだろうって話もあるけれど。優勝候補とおだてられて勘違いをして、監督解任という劇薬に手を出して、副作用のダメージで自滅してしまった印象。
 あぁ、柿谷だって、もしもセレッソがJ2に降格すると知っていたら、スイスなんかにはいかなかっただろうに……。彼は自身いまのクラブで出場機会が得られていないようだし、踏んだり蹴ったりだろう。来年はJ2に帰ってきちゃうんじゃないだろうか。
 柿谷にかぎらず、山口蛍、扇原、南野、杉本健勇、長谷川アーリア・ジャスールらのプレーが来季はJ1で観られないと思うと、本当に残念だよ。まったく、蛍の怪我など不運はあったにせよ、これだけの戦力を生かしきれないとは……。まぁ、それだけ今季のJ1が難しかったってことだと思うけれど。
 ――ということで、前置きが長くなったけれど、鹿島アントラーズがセレッソ大阪をJ2に叩き落とす結果に終わったJ1第33節。
 アントラーズのスタメンは、前節の青木のかわりに、出場停止明けの植田が入った本来の形。途中出場で豊川、ルイス・アルベルト、杉本が出てきた。
 試合の序盤は、降格がかかっているがゆえに必死のセレッソの圧力をアントラーズがしのぎつづけるという展開。相手に主導権は握られていたものの、安定した守備力できっちりと守っていて、はらはらしつつも見ごたえがある内容だった。
 その後、相手の出足が鈍くなり始めて、こちらがボールを持てるようになってからは、現在の実力差がそのまま表れた格好になる。小気味よいパスワークで相手の守備陣を切りくずし、しっかりシュートまで持ってゆける今年の鹿島のサッカーはほんと観ていて気持ちいい。
 やがて土居の右サイドの崩しからファーでフリーになったカイオのゴールが生まれ、前半のうちに先制すると、後半は赤崎の2ゴール(頭と右足)で突き放す。そして最後はみごとな連携からの柴崎の駄目押し弾(このゴールにはしびれた~)。リーグ最多得点の実力を如何なく発揮した4ゴールで、アントラーズが快勝した。
 セレッソの1点は3-0となったあと、背番号9のFW永井龍{りょう}23歳。この子はもう1本、あわやというシュートがあったし、なかなかいい選手だった。セレッソはほんと、若手を育てるのが上手いよなぁ。でも勝てなくちゃなぁ……。
 裏ではまたもやレッズが醜態。退場者が出てひとり少ないサガン相手に後半ロスタイムに同点ゴールを浴びて1-1のドロー。神戸相手にしっかりと勝ち点3を奪ったガンバについに勝ち点で並ばれて、得失点差で2位に降格してしまった。
 ガンバの最終節の相手が徳島なのを考えると、残念ながらこれでガンバの逆転優勝は決まったも同然でしょう。ここまでくると、レッズの勝負弱さも、ある意味一芸かもって気がしてくる。
 いやでも、徳島には最終節、最後に意地を見せて欲しいな。無理に勝とうとしないでいいから──というか、いまのガンバに勝てるとは、とうてい思えないんだから──、よくばって白星とか狙わず、穴熊のように守りに守って、せめて勝ち点1を分けあうくらいの甲斐性をみせて欲しい。レッズの相手がグランパスなのを考えると、そうなれば鹿島にも優勝の可能性がわずかながら残るので。ぜひともがんばって、すでに優勝を確信してるだろうガンバにひと泡吹かせてもらいたい。
 あぁ、そうそう、この日の勝利により、アントラーズの3位以内がほぼ決定。最終節の結果次第ではサガン、レイソルと勝ち点で並ばれる可能性があるけれど(というか、いつの間にかレイソルがこの位置にいるのがすごい)、得失点差ではこの両チームに大差をつけているため、抜かされることはまずない。
 ――ということで、来季のACL出場が決定!――と思ったら。
 なんと。日本は近年の成績不振により、来季の出場枠が4から3.5に減らされてしまい、リーグ3位のクラブはプレイオフを戦わないといけないんだとか。おいおい、なんてこった。
 まぁ、とはいえ天皇杯はガンバの優勝でほぼ決まったようなものだし(決勝の相手が山形ではねぇ……)、そうなればリーグ4位が繰り上げ当選となるので、3位のアントラーズのACL出場は決まったも同然。楽しみだな~、ひさびさのACL。
 ということで、なにはともあれ、今年もJ1の優勝決定は最終節に持ち越しとあいなった。あぁ、来季からは2ステージ制のせいで、このわくわく感が味わえないと思うと、本当に残念だよ……。
(Nov 30, 2014)