2015年1月のサッカー

Index

  1. 01/12 ○ 日本4-0パレスチナ (アジア杯・グループD)
  2. 01/16 ○ イラク0-1日本 (アジア杯・グループD)
  3. 01/20 ○ 日本2-0ヨルダン (アジア杯・グループD)
  4. 01/23 ▲ 日本1-1UAE(PK:4-5) (アジア杯・準々決勝)

日本4-0パレスチナ

AFCアジアカップオーストラリア2015・グループD/2015年1月12日(月)/ニューキャッスル/テレビ朝日

 日本代表の過半数が欧州リーグでプレーしている今となると、なぜにあちらのシーズンたけなわのこの時期に開催? という感の否めないアジア杯が開幕。
 日本の初戦の対戦相手は、意外やこれが初対戦となるパレスチナ。
 まぁ、国際情勢に疎いやつだから意外と思うのであって、あちらの複雑な国情を知っている人にしてみれば、よくぞまぁ、サッカーの国際大会に出場できるようになっと、感涙ものの試合なのかもしれない。少なくても選手たちはそういう感慨をもって臨んでいたという話だった。
 そんな相手だけに、ちょっとは苦戦するかと思っていたけれど、試合は比較的楽な展開。早い時間帯に遠藤のグラウンダーのミドルシュートで先制すると、さらに香川のシュートが決まったのかと思ったら、そのあとに岡崎がヘディングでコースを変えていた2点目(あれを瞬間で判断してコースを変えたと言いきる岡崎がすげぇ)、香川がもらったPKを本田が遠慮なく奪って決めた3点目と、前半だけで3-0と試合を決定づけてみせた。
 この日はとても風が強くて、日本が風下にたった前半は相手ゴールへと蹴ったボールがなにそれってほどに押し戻される難しいコンディションだったのに、その悪環境に負けずに早々と試合を決めたのが素晴らしかった。とくに風に影響を受けないグラウンダーのシュートで先制点を奪って見せた遠藤はさすがのひとこと。
 ただ、逆に風上にたった後半は、そのアドバンテージをまったく生かせなくていまいちだった。後半はラフプレーでイエローを乱発した相手に退場者が出て、数的有利な状況になっただけになおさら。セットプレーからの麻也のヘディングの1点だけでは、どうにもものたりない。
 この日の先発はGK川島、DF酒井高徳、吉田麻也、森重、長友、MFが長谷部、遠藤、香川、FW本田、岡崎、乾の11人。左サイドのトップで乾が起用されたのがちょっと意外だっただけで、あとはいたってまっとうな顔ぶれだった(今大会はウッチーが故障のため出場辞退)。
 だた、大事な初戦に抜擢された乾は、これといったインパクトを残せずじまいで前半だけで交替。また、後半から出場した清武、武藤、豊田も同じく、これといった存在感を感じさせなかった。
 遠藤が抜けたあとに点が動かなかっただけに、いまだザック・ジャパンのころと同じ遠藤依存体質が抜けていないなぁって感じ。この大会が終わることには、これまでとは違った新しい日本代表が見えてきたらいいなと思う。サブの選手の発奮におおいに期待したい。あと、やっぱ柴崎を見たい。
 ちなみにこの試合、僕は風邪を引いて熱を出していたため、ふとんに寝たまま観ていた。なのでテレビは遠いわ、角度は90度横だわで、ちゃんと集中できず。2015年の一発目の試合がこれとは幸先わるし。なおかつこの先の試合──少なくてもグループリーグの残り2試合──は日本時間の午後6時キックオフだから、リアルタイムで観られないという。こんなに代表戦をつづけて普通に観られないなんて、初めてじゃないだろうか。
 J1が2ステージ制になるモヤモヤも含めて、なにやら雲行きのあやしい2015年のサッカーライフだった。
(Jan 13, 2015)

イラク0-1日本

AFCアジアカップオーストラリア2015・グループD/2015年1月16日(金)/ブリスベン/テレビ朝日(録画)

 アギーレへの八百長疑惑が告訴受理に発展して、大会後には解任か──なんて噂の流れる中で行われたアジア杯の2試合目、イラク戦。
 遠藤が代表キャップ150に達成したって記念すべき試合ではあったけれど(ヤットおめでとう~)、この試合はそれより本田がシュート3本をポストとバーに嫌われた件、もうこれにつきるでしょう。
 1試合で何本ものシュートがポストをたたくってパターンはありがちだけれど、それをひとりでやってのけるって、そりゃどうなのと思う。狙ってできることでもないだけに、ある意味ハットトリック並みの快挙。本田、放っておいても存在感たっぷりなのに、なにもそんな形でまで目立たなくても……。
 まぁ、でも本田にかぎらず、この日の日本代表のシュートは見事にゴールに嫌われた。香川、岡崎、清武にも、ゴール前に飛び込んでの惜しいシュートがあったし、そのどれが決まっていてもおかしくないだろうってプレーだったので、1-0というスコアのわりには、攻撃面での充実を感じさせる試合だったと思う。
 なかなか調子が上がらなくて心配だった香川も、この試合では攻守にがんばっている感じが伝わってきた。この調子でいけば、大会が終わることにはいい笑顔が見られるかも……と思わせるプレーぶりだった。
 前の試合ではいまいちだった乾と清武のプレーがずいぶん改善されたのも収穫。とくに試合の終わり間際、出てきたばかりの武藤の仕掛けから清武がシュートで終わったシーンは、途中交替のふたりだけでチャンス・メイクしてみせたのが好印象だった。あんな風にサブががんばると気分は盛りあがる。
 なんにしろ、この日は得点こそ少なかった──内容からすると少なすぎた──けれど、チーム自体のパフォーマンスはとてもよかったと思う。守備はだいたいのところ安定していたし(とはいえ、危ないシーンは2、3あった)、攻めても前述したとおり、あと一歩って決定的シーンをいくつも作れていた。前の試合のように、遠藤が抜けたあとでパフォーマンスが落ちることもなかったのもポイント。
 まぁ、その部分は遠藤と交替で出てきたのが今野ってのも大きいのかなと思う。
 パレスチナ戦では、遠藤のかわりに豊田が入ったことで、ポジションにずれができて、それまでのリズムが崩れた部分があったのかなと思うけれど、この日は同じポジションにそのまま熟練のボランチ今野が入ったので、そうした混乱はいっさいなし。それ以降は長谷部、今野のダブル・ボランチでしっかりと中盤を抑え込んでいった。
 あ、でも今野はロスタイムにイージーミスからボールをロストして、そこから相手に直接FKのチャンスを与えてしまったのがいただけない。ベテランがああいう時間帯にミスしちゃいけない。時間帯が時間帯だけに、ドーハの悲劇の二の舞になりやしないかとひやひやした。
 この大会でめだっていると言えば、長谷部のアンカーとしてのパフォーマンスも印象的。守備的なポジションでもこんなに献身的に安定したプレーのできる人とは思っていなかった。僕はこの大会、なぜ細貝が呼ばれていないのか不思議に思っていたのだけれど、あぁ、経験豊富な長谷部と今野のふたりに押し出された形なわけだと納得してしまった。僕としては、大事な大会だけに細貝にもチャンスを上げたかったんだけれどなぁ……。
 なんにしろ、そんなわけで日本は無事2連勝を飾り、グループリーグを突破――と言いたかったところなんだけれど、なんと裏でヨルダンがパレスチナに5-1と日本以上の大勝をしたこともあり、次の試合に0-1で負けると、そこで敗退の可能性があるとかなんとか。ヨルダンには前回W杯予選で負けてんだよなぁ……。
 まぁ、優勝を狙うチームがグループリーグで負けの心配してちゃいけないと思うので、心配無用ってことでお願いします。
(Jan 17, 2015)

日本2-0ヨルダン

AFCアジアカップオーストラリア2015・グループD/2015年1月20日(火)/メルボルン/テレビ朝日(録画)

 グループリーグ最後の一戦。日本はヨルダン相手に無事白星でグループリーグ1位抜けを決めた。
 まぁ、正直、初めからグループリーグ敗退はないと思っていた。万が一、0-1で負けると危ないって話だったけれど、いまの日本の攻撃力ならば、アジアのレベルでならどれだけ引かれたってスコアレスで終わるとは思えないし。1点取ればオッケーだというんならば、そりゃもう大丈夫でしょう。
 あと、ヨルダンには前回W杯最終予選で負けているからこそ、今回は絶対に負けないだろうって思った。だって、連敗するレベルの国じゃないでしょう、ヨルダン?
 で、実際、戦ってみれば、やはり実力はこちらが上。最終的なシュート数が日本の19に対してヨルダン4本(そのうち枠内は1本だけ)ってんだから、もう完勝──といいたいところだけれど、そんな楽な試合という感じでもなかった。
 とにかく、ヨルダンのラフプレーが目に余った。無駄にガツガツあたってくる。もっとちゃんとサッカーしようよって言いたくなる。この試合、無事に怪我人なく終われたのがいちばんの収穫なんじゃないだろうか。まぁ、そういう面でアジアで安心して対戦できるのは、韓国とオーストラリアだけなんじゃないかって気もする。
 日本代表はこの日もスタメンは変更なしで、途中出場は清武、武藤、そして柴崎(!)。スコアラーは本田と香川。
 まずは香川にようやくアギーレ体制になってからの初ゴールが生まれたのがめでたい。後半も残り少なくなってから、武藤が左サイドから蹴り込んだクロスにゴール真正面に駆け込んできてあわせたもので、シュート自体はGK真正面だったけれど、そこに飛び込んできたスピートがいい感じだった。これで少しは自信を持ってくれればいいけれど。
 いっぽうの本田はあいかわずの存在感。貴重な先制ゴールは岡崎のシュートを相手GKが弾いたボールをファーで決めたもの。あと本田くん、この試合でもまたシュートがポストをたたきました(すごすぎる)。オフサイドで取り消されたシュートもあったし、MOMは香川だそうだけれど、決定機の数でいえば本田のほうが多かったから、やや違和感があった。
 あと、この大会では岡崎が本田に負けない存在感を放っている。あたり負けしないし、裏への飛び出しから2本くらいシュート打っていたし。だてにブンデスリーガで得点王争いしちゃいないぜってところを見せてくれている。
 チームとしては攻撃ばかりではなく、守っても3試合連続無失点と、ザッケローニのころとは打って変わった安定ぶり。この調子ならば、マジで優勝ねらえそうな気がしてきた。
 あ、そういえば、最後の5分ちょうだけれど、柴崎もようやく出番もらえました。まぁ、可もなく不可もなくってプレーだったけど、とりあえず、出られてなにより。
(Jan 20, 2015)

日本1-1UAE(PK:4-5)

AFCアジアカップオーストラリア2015・準々決勝/2015年1月23日(金)/シドニー/テレビ朝日(録画)

 珍しく長時間残業をしいられ、午後11時半近くに帰宅してから録画で観たら、延長戦の末にPK戦負けを食らうという、無念すぎる結末を迎えてしまったアジア杯・準々決勝。日本代表ベスト8で散るの巻。あぁ、感想書く気が起きない……。
 やはり中2日という日程がきつかったんだろう(相手は中3日)。この試合の日本はプレーの精度を欠いた印象があった。本田、香川、岡崎らがグループ・リーグのときのようなプレーができてなかった(と少なくても僕は思った)。
 これまでの試合でもさんざん決定機を逃してきたチームは、そんなだからなおさら決められない。反対に若手主体でのびのびとしたプレーを見せるUAEに早々と先制を許す苦しい展開に。
 UAEはサイドショー・ボブみたいない頭の10番、オマルがなるほどいい選手。パスセンスに優れ、ワンタッチで小気味よくボールをさばける、日本人好みの選手(容姿は日本人にはほど遠いけど)。UAE自体、ショートパスをつなぐ、日本に近いスタイルのサッカーをする。おいおい、この国、意外と手強いんじゃないかと思ったら、不安的中で前半わずか7分で先制を許してしまう。
 得点は7番のマブフートという選手。まぁ、こちらの守備が緩すぎたってのもあるけれど、右サイドの突破からチャンスと見るやためらわずに右足を振り向いた相手もうまかった。
 ただ、この試合できびしかったのは、その先制点を許すまで。その後は相手の攻め手がおとなしくなったこともあって、日本が終始試合を支配しつづけた。
 ほんと、コーナーキックだけで何本あったかわからない。最終的なシュート数が35対3っていうんだから、なんだそりゃと思う。なぜそれで1点しか取れないんだ。決定力不足にもほどがある。
 ほんと、あまりに点が取れないので、これはもしや0-1で負けたかと思ったんだったが、そこをかろうじて救ったのが、遠藤にかわって途中出場していた柴崎だった。本田とのワンツーでDFラインの狭いところへ潜り込んで、右足一閃! 会心の同点弾!
 柴崎は延長戦では、本田からFKを譲られたりもして(あれも惜しかった)、チームメイトから認められてる感が伝わってきたのもよかった。
 日本はその前後もさんざん攻めつづけていたので、この調子ならばあと1点くらいは取れるだろうと思ったのに、不本意ながら突入してしまった延長戦で思わぬトラブルに見舞われる。長友が右足を痛めて、足を引きずり出してしまったのだった。
 早めに3枚の交替カードを切り終わっていて、替えがきかない日本は、長友を高めの位置にあげて、柴崎を右SBにまわして急場をしのぐ。でもさすがにこのトラブルのために、それまでの「いつ得点が入ってもおかしくない」といった勢いは衰えてしまった。そして結局120分では決着がつけられず、突入したPK戦では、両エース、本田と香川がそれぞれ最初と最後にPKをはずして、無念の勝負あり。日本はベスト8で大会を去ることになった……。
 まぁ、PK戦は時の運。それをエースふたりが外したんではしかたないかなと思う。そもそもこのPK戦、10番を背負った香川がPKキッカーの6番手って時点で、すでに戦う前から負けていた気さえする。香川は率先して「俺が蹴る!」ってくらいの気概がないと、この先も浮かばないんじゃないだろうか。
 それにしても、この大会、終わってみれば日本は4試合すべて同じスタメンで、途中出場の機会がもらえたのも武藤、柴崎、豊田、清武、今野の5人だけ(この日は最初の3人が出場)。つまり7人の選手はまったく出番がないまま終わってしまったのが悔やまれる(長友が故障しただけに、勝ちあがれば次の試合では必ず出番がまわってきただろう太田宏介あたりはさぞや悔しかろう)。もうちょっとグループリーグのうちに選手を入れ替えて、体力を温存するような采配を取っていてもよかった気がするけれど、まぁ、いまさらなにをいってもあとの祭り。
 あぁ、W杯につづき、アジア杯でもこんなところで力尽きてしまうとは……。個々の実力では史上最高の現代表だけれど、勝負運という点ではなにか欠けているものがあるんだろう。オーストラリア、韓国との対戦が実現しなかったのがとても残念だ。
 折からの八百長問題もあるので、この敗戦でアギーレも解任かとも思ったのだけれど、なんでも日本サッカー協会会長は続投を明言したという(これはちょっと意外)。僕はアギーレ氏にはなんら悪感情は持っていないので、それはそれで文句なしだけれど。疑わしきは罰せずで、現時点での氏にはなんら罪はないのだから。
 まぁただ、アギーレ体制がつづくにしろ、つづかないにしろ、これでこの先しばらくは真剣勝負の場がないことを考えると、代表での遠藤のプレーが見られるのは、さすがにこれが最後だろうと思う。結果より育成重視となる今後は若手主体になるのは確実なので。
 その事実とわがサッカーファン歴初のアジア杯ベスト8止まりという結果があいまって、ここにひとつの歴史の終焉をみた気分になっている。
(Jan 24, 2015)