日本代表には珍しい欧州遠征での強豪国との親善試合二連戦。最初の対戦相手はA代表では過去に一度も勝ったことがない──そして今回もやっぱり惨敗したブラジル。あぁ、いったいいつになったらブラジルに勝てることやら。
今回は選手選考に大いに不満がある。今回の欧州遠征にハリルホジッチは本田、香川、岡崎を招集しなかった。僕にはそれがなによりの不満。
メキシコにいる本田はともかく、あとのメンバーは所属クラブの大陸での開催なのだから、わざわざ日本に呼び戻すよりもいいプレーが期待できるはずだ。それなのになぜ呼ばない? 先月のハイチとニュージーランドとの試合にはわざわざ呼び戻した香川や岡崎を今回は外すなんてナンセンスすぎる。その点では武藤や小林祐希だってそう。前回の彼らのプレーは及第点だったと僕は思う。なぜに今回はいない?
かわりに大抜擢して久保建英を連れてきたとかいうならばまだ許せるのだけれど、彼らのかわりが興梠や長澤だってんだから、なおさら許しがたい。
べつに彼らが代表にふさわしくないとは思わない。ただタイミングが悪い。最近はまったく呼んでいなかった興梠を、レッズがACL決勝を控えたこの大事な時期になぜ呼ぶのかって話で。しかもこの試合では使いもしないし。使うにしても次のベルギー戦ってことでしょう? ACL決勝まで中3日とかになっちゃうじゃん。いったいなに考えてんだ? レッズになにか恨みでもあるのか? あぁ、わけがわからない。
というわけで今回はハリルホジッチに大いに不満を持っている。ブラジル相手にいい試合をしてくれたのならば、まだ溜飲も下がったかもしれないけれど、前半だけで3-0とこてんぱんにされちゃったので、なおさら腹が立つ。
この日のスタメンは川島、酒井宏、麻也、槙野、長友、長谷部、蛍、井手口、久保裕也、原口、大迫だった。
長谷部がいるのに長友がキャプテンマークを任されていたのは、長友がこの試合で通算百回目の代表戦出場を果たしたからだろうか。
いずれにせよ、長谷部、蛍、井手口の3人が併用されている時点で印象は百パー守備的。現状のハリルホジッチが考える、守備に軸足を置いて戦う際にもっとも信頼できる11人ってことなのだろうと思う(槙野のところが昌子じゃないのが個人的には残念)。そういう意味ではいかに失点を抑えるかがポイントだったはずだ。それなのに前半で3点も失ったんじゃ話にならない。
まぁ、最初の失点は不運もあった。VAR(ヴァーチャル・アシスタント・レフェリー)なる新企画の採用のせいで麻也がPKを取られた1点目は、なにがPKなのかわけがわからなかったし、そのあとにももう一度、今度は蛍がPKを取られた場面にしても判定が厳しかった(キッカーはどちらもネイマール)。親善試合なんだから、あれくらいのファールはどちらも流してくれよって思った。この日のフランス人レフェリー、空気読まなさすぎ。
まぁ、それでも試合自体はやっぱ格が違うなぁって内容ではあった。序盤からもうブラジル・サッカーの質の高さにたじたじ。ブラジルうますぎ、日本弱すぎで、観ていてすげーむかついた。
2点目は蛍がとられたPKを川島がみごとに止めたにもかかわらず、その直後のCKからのこぼれ球を井手口が足を滑らせてクリアミスして、マルセロにスーパーミドルを決められたもの。PK失敗の直後に、その失敗をなかったかのようにあたりまえのように得点を決めるブラジルと、ピンチを防いだ直後に失点する日本に両者の実力差が如実に表れていると思った。
3点目もそう。久保が相手ペナルティ・エリアへドリブルで切れ込もうとボールを持ち込すぎ、奪われたところからカウンターであっという間に失点を許してしまう。こちらのチャンスだったはずが、わずか十数秒であっという間に駄目押し弾を食らう始末なんだから、もう話にならない。
まぁ、救いだったのは、そのままいったら悲惨なスコアで終わりそうだった試合を、後半はなんとかスコアレスでしのげたこと(相手がすっかりリラックス・モードになっちゃったからだとは思うけど)。あと、とりあえず1点だけでも返せたこと。南米予選をわずか3失点で戦い終えたというブラジル相手に、クリーンシートを避けられたのは不幸中の幸いだった。
後半から途中出場したのは、浅野、乾(背番号10)、森岡(From ベルギー)、杉本、遠藤航の5人。ほとんどプレー時間のなかった遠藤はともかく、それ以外はみなそれぞれに持ち味を発揮していたかなと思う。浅野、杉本にはそれぞれ惜しいシュート・シーンがあったし(浅野はあたりそこない、杉本はオフサイド)。ただ、浅野はシュート・ミスのあと苦笑いしていたのが駄目。ちゃんと悔しがらないと。
得点は井手口のCKを槙野が頭で決めたもの。個人的にはなんで昌子じゃなくて槙野なんだよぉって思っていたけれど、ハリル・ジャパンになってからは、そういう風に「なんで?」と思った選手が結果を出すことが多い気がする。
そうそう、DFといえば前半に麻也がバー直撃のFKを蹴ったのにはびっくりした。キッカーを務めたこと自体に意外性があったし、それがあれほどいいシュートなのにも驚いた。麻也があんな技を持っているとは思わなかった。
こういう強い相手と対戦してみると、やはり現状では日本一のDFはやはり麻也かなぁと思う。でも彼の場合、この日のPKの場面みたいに、大事なところで痛すぎるミスがあるんだよなぁ。やっぱ昌子にもっと成長して、麻也に負けないDFになってもらわないことには。
あと、この試合でよかったのが、ネイマールと同じフランス・リーグで戦っているという酒井宏樹。世界のネイマールとさしでガンガンやりあっていて、それだけでもたいしたもんだと思った。
(Nov 12, 2017)