2019年2月のサッカー

Index

  1. 02/01 ● 日本1-3カタール (アジア杯・決勝)
  2. 02/16   川崎1-0浦和 (ゼロックス杯)
  3. 02/19 ○ 鹿島4-1ニューカッスル (ACLプレーオフ)
  4. 02/22   C大阪1-0神戸 (J1・第1節)
  5. 02/23 ● 鹿島1-2大分 (J1・第1節)

日本1-3カタール

アジアカップ・決勝/2019年2月1日(金)/ザイード・スポーツ・シティ・スタジアム(アラブ首長国連邦・アブダビ)/テレビ朝日

 結果的にアジア最強はイランではなくカタールだった。日本代表、決勝戦でカタールに敗れ、準優勝に終わるの巻。
 この決勝戦でも選手を固定したままの森保采配は変わらず。怪我のため出場できなくなった遠藤航にかわって塩谷を起用した以外、スタメンは前の試合と一緒だった。
 個人的にはこのスタメン固定が疑問。ここまでの出来がとてもよかったならばともかく、ほとんどの試合は最少得点差での勝利だったし、唯一快勝したイラン戦にしたって、相手のふいをついたり、ラッキーなPKを得たりでの得点で、なんとなくうまくいっていない感が強かった。なのに森保はあくまで同じ形にこだわった。
 この試合も2点のビハインドを追いながら、後半15分すぎに原口を武藤にかえるまで動かなかったし、その後の交替(84分に塩谷→伊東、89分に南野→乾)にしたって遅すぎる。負け試合でそこまで選手を引っぱる理由がわからない。なかなか出番のこないサブの選手たちからすれば、信頼の薄さの表れとしか思えないんじゃないだろうか。
 名監督の条件のひとつは的確な選手交替で試合の流れを変えてみせる能力だと思う。そういう意味ではまったくそれができない森保に僕は疑問を感じずにはいられない。
 まぁ、なんにしろこの試合は前半の2失点が痛かった。今大会得点王のアルモエズ・アリにバイシクル・シュートをくらった1点目(マンガじゃないんだから)、豪快なミドルを決められた2点目とも、相手がすごかったのは確かだけれど、でもやすやすとシュートを打たれている日本の守備にも問題があったと思わずにはいられない。
 どちらも得点者のマークについていたのは麻也だった。麻也は後半に不運なハンドを取られて3点目も献上しているし、つまりこの試合の全得点に絡んでしまったわけだ。キャプテン・マークをつけた守備の要がその調子では負けるのも道理。まぁ、昔から中東に負けるときって、ああいう豪快なシュートを決められるのが定番って気がする。
 それにしても1点目のバイシクルはなぁ……。あんなふわっとしたシュートがなぜ止めらんないかな、権田。
 この試合での唯一の収穫は、ここまで無得点だった南野がここまで無失点だったというカタールのゴールをこじ開けてみせたこと。見事な連携からの崩しだったし、とりあえずカタールの無失点記録を途絶えさせたことだけが、せめてもの救いだった。
 あぁ、それにしても決勝での負けはくやしい……。
(Feb 03, 2019)

川崎フロンターレ1-0浦和レッズ

FUJI XEROX SUPER CUP/2019年2月16日(土)/埼玉スタジアム2002/日本テレビ

 いやぁ、今年はオフシーズンが短かった。去年のJ1終了後にクラブW杯に鹿島が出て、年明け早々にはアジア杯があったと思ったら、その決勝からわずか2週間で、はやくもゼロックス杯ときた。ぜんぜん休んでいた気がしない。
 でもまぁ、オフこそ短かったものの、その間に小笠原、川口、楢崎、中澤らのレジェンドが次々と引退を発表したので、時代の変わり目って印象もとても強い。そんな新シーズンの始まり。
 さて、今年のゼロックス杯はJ1で二連覇を成し遂げた川崎フロンターレと、オリヴェイラ監督のもと、天皇杯でひさびさのタイトル・ホルダーとなった浦和レッズの対戦となった。
 でもって、両チームの出来を比べてしまうと、やはり川崎の充実ぶりが困ったもんだった。中村憲剛、小林悠、家長昭博と、同クラブから三年連続でMVPを獲得した選手たちが健在なところへ、ロンドン五輪の得点王だったという長身FW、レアンドロ・ダミアンが加わった布陣は迷惑千万だ。
 ボランチには大島、守田という日本屈指の若手がいるし、エウシーニョが抜けた右サイドバックに加入したマギーニョもよさそうだし。斎藤学や阿部浩之がベンチって時点でなにか間違ってるだろう。まだ開幕前だからパス回しとかゆっくりな感じはあったけれど、それでもパスワークの見事さはあいかわらずだし、それよりさらに印象的だったのは、プレッシングの圧力の高さ。昨年のリーグ最小失点はこれゆえかと思った。今年もここを相手にするのはとても厄介そうだ。
 対する浦和は武藤雄樹や青木がベンチ外だったり、新加入の杉本健勇と興梠の2トップがフィットしていなかったりして、出来がいまいち。新加入のブラジル人エヴェルトンとかも印象ゼロだった。
 でもまぁ、ベンチには新加入の鈴木大輔や山中亮輔、ベテランの阿部勇樹やマルティネスら代表級の選手が控えているし、去年大怪我で離脱したファブリシオもそのうち戻ってくるんだろうし、戦力的には充実しているので、ちゃんと上位争いに絡んでくるんだろう。そもそもこの試合だって、圧倒的に攻め込まれながらも、川崎相手に1失点と守備は安定していたし(この日の決勝点は噂のレアンドロ・ダミアン)。これで攻撃に厚みが出てくれば、やはり楽な相手とはいえない。
 いやでも、やっぱやばいのは川崎。鹿島との最初の対戦は第2節だって。そんな開幕早々にあたりたくなかったぜ……。
 そういや、この日の解説者のひとりは引退したばかりの中澤だった。中澤の解説、けっこういい感じでした。少なくても僕は城なんかよりぜんぜん好きだった。
(Feb. 17, 2019)

鹿島アントラーズ4-1ニューカッスル・ジェッツ

AFCチャンピオンズリーグ・プレーオフ/2019年2月19日(火)/カシマサッカースタジアム/日テレNEWS24@スカパー!

 祝開幕──というにはやや早い。アントラーズ2019年最初の公式戦はオーストラリア2位のクラブとのACLプレーオフ。
 記念すべき新シーズン最初のスタメンは、GKクォン・スンテ、DF安西幸輝、チョン・スンヒョン、町田浩樹、山本修斗、MF永木亮太、レオ・シルバ、土居聖真、安部裕葵、FWセルジーニョ、伊藤翔の11人。
 20歳にして背番号10を譲りうけた安部裕葵、21歳で開幕スタメンに抜擢された町田、新加入の伊藤翔らがスタメンってのが意外と新鮮。あと、いきなり永木がスタメンなのは、三竿が昨年の故障から戻ってきていなくてベンチ外だから。優磨も同じ理由でスタンド観戦。新主将のウッチーや遠藤康がベンチ・スタートなのは、中3日でのJ1開幕戦を見据えてのことだろうか(違ったりして)。
 小笠原は引退してもういないし(トレーナー着たラフな格好で観戦してました)、三竿も使えないって状況だとボランチの駒不足な気がしてしまうけれど、でもまぁ、それもあってエスパルスから白崎を取ったんだろうし、そもそも永木、レオ・シルバのコンビがいるのに、そんなこといったら罰があたる──っつうか、ほかのクラブのサポーターから怒られる。実際、この日のふたりはとてもいいプレーをしていた。
 チームの出来もプレシーズンにしては上々だった。
 セルジーニョのフリック・シュートがポストにあたったこぼれ球を伊藤翔がスライディングで押し込んで先制。そのあと同点にされたのはなんだけれど、それでも前半のうちに安西のファーへのクロスを修斗が決めて再び勝ち越し。クロスが届くのを待っていたDFの前に修斗がすぱっと入り込んで頭であわせたゴールで、あまりのしてやったり感に思わず笑ってしまった。修斗ナイス。
 後半はレオ・シルバがもらったPKをセルジーニョが決め、さらにセルジは途中出場の山口一真からのグラウンダーのクロスにもフリーであわせて4点目をゲット。
 こうして振り返ってみたら、4ゴールのうちの3ゴールがセルジーニョ絡みだった。伊藤翔も予想外によかったし──どうせマリノスから獲るなら大津が欲しかったとか思っててごめん──このふたりに優磨が加わったFW陣がちゃんと活躍してくれれば、今年はけっこう得点力が期待できるかもしれない。
 守備面でもアンラッキーな1失点──伊藤がパスカットしようとしたボールが相手の10番にわたり、そこからダイレクトで打たれたシュートがチョンにあたってコースが変り、ナイスシュートになってしまった──のみに抑えているし、攻守ともにシーズンが始まったばかりとは思えないほど躍動感があった。
 ゼロックス杯を観たときには、今年は川崎の3連覇まったなしかと思ったけれど、この調子ならばアントラーズもけっこういい線いけそうな気がしてきた。
 そういや、最後は犬飼を入れて3バックも試した(もう一人の途中出場は遠藤)。3バックの鹿島を観たのって、ずいぶんひさしぶりな気がする。
 まぁ、なんにしろ勝ててよかった。ここで負けてACLはここまでなんてことになったら、今年の楽しみが10パーセントオフになってしまうところだった。一発勝負のプレーオフって、けっこうスリリングっすね。まさに勝てば天国、負ければ地獄。最初からこんな試合で一年が始まるってのも、なかなか痺れる。
(Feb. 19, 2019)

セレッソ大阪1-0ヴィッセル神戸

J1・第1節/2019年2月22日(金)/ヤンマースタジアム長居/DAZN

 今年のJ1開幕戦は、金曜の夜に一試合だけ行われたC大阪と神戸との阪神ダービー。この注目の一戦をDAZNと契約して観た。
 最初は翌日にNHKで放送される川崎とF東京を観てすまそうかと思ったんだけれど、あいにくキックオフと同じ時刻に家族の用事があって生では観られなかった。だからってアントラーズ以外の試合を録画で観るのもなんだし、では開幕戦なしで済ますというのも四半世紀来のJリーグ・ファンとしてはさびしい。
 ということで、ちょっと贅沢することにして前日にDAZNと再契約したら、そのわずか半日後に「今からDAZNと再契約すると二ヶ月無料~」なんてメールが届いたりして。ちくしょう。くやしいので一ヶ月限定で解約しようと思っているんだけれど、でも全試合がいつでも好きなときに観られるってのはなかなかいいもんですね。今年は再生環境を整えたので、画質もテレビと遜色ないし。こうなるとDAZNってけっこう魅力的かもと思った。
 さて、ということで今期の開幕を飾るのは、Jリーグでもっとも注目を集めるヴィッセル神戸。イニエスタ、ポドルスキに今年はビジャが加わり(3人の年俸が41億とかいう噂)、さらには山口蛍、西大伍、初瀬亮という日本代表経験者も獲得。GKのキム・スンギュも韓国代表だったそうだし、いわばJリーグ世界選抜とでも呼べそうな豪華な布陣となっている。
 対するセレッソはその神戸に山口蛍を獲られ、レッズに杉本健勇を引き抜かれ、山村もフロンターレへ移籍してと、今年は主力の離脱が激しい。でもまぁ、それでもまだ清武、柿谷というファンタジスタはいるし、札幌から獲得した都倉も(この日は途中出場ながら)戦力としてなかなか有望そうだしで、決してあなどれない感じがする。
 あと、セレッソは監督が去年ヴェルディをJ1昇格まであと一歩のところまで引っぱりあげたロティーナというのもポイント。対するヴィッセルのリージョ監督も同じスペイン人だから、この日の対戦は図らずもスペイン人監督対決となったわけだ。
 いや、図らずも……じゃないな。Jリーグの対戦カードには毎年、人為的な作為がありありだから。本当にコンピュータが決めているとしたら、そのコンピュータは空気読みすぎだ。まぁ、おもしろいからいいけど。
 開幕祝いってことでグラス片手に見ていたので、試合内容について細かいことは書けないけれど、結果は1-0のスコアでセレッソの勝ち。神戸は注目のVIPトリオ──3人の頭文字を取るとVIPになるって出来すぎじゃん?──が不発に終わり、セレッソのCB山下にセットプレーから得点を許して、開幕黒星を喫した。得点のシーンではボールがアシストした選手の二の腕にあたっていたから、もしもVARがあればノーゴールじゃないかと思うけど。でも結果は結果。神戸はお気の毒さま。でも試合はなかなかもしろかった。
 鹿島サポーターとして注目の西は、サイドバックにしてはやたらと中に入ってのプレーが多かった。まぁ、なんにしろ西と初瀬の両サイドってのは贅沢だし、結果は出なかったけれど、このチームの動向はいましばらくは気にせずにはいられなさそうだ。
(Feb. 24, 2019)

鹿島アントラーズ1-2大分トリニータ

J1・第1節/2019年2月23日(土)/カシマサッカースタジアム/DAZN(見逃し配信)

 開幕戦からやっちまいました。鹿島アントラーズ、J1昇格組の大分トリニータに負けて黒星発進というアジア王者らしからぬ失態。開幕早々リーグ優勝に黄色信号が灯ってしまった感あり。去年J2だったクラブに負けているようじゃ、とうてい優勝なんて望めないだろう。
 開幕戦のスターティング・メンバーはGKクォン、DF安西、チョン、犬飼、山本、MF永木、レオ・シルバ、遠藤、安部、FWセルジーニョ、伊藤翔という顔ぶれ。
 3日前のACLのスタメンから町田、土居をはずして、犬飼、遠藤を入れた形。遠藤はともかく、ウッチーがこの試合も出番なしだったのと、町田を犬飼にかえてきたのは意外だった。今年の守備は町田に託すつもりかと思っていたけれど、いまだ若い町田にはそこまで信頼は置けないってことなのか。
 でも、だとすると今年の鹿島は駄目でしょう。守備の柱がチョン・スンヒョンではどうにも心許ない。A代表での二十歳の冨安の活躍を見ていると、大岩ももっと町田を信頼してチャンスを与えて欲しいって思ってしまう。
 とにかくこの日はチョンが最悪だった。前半早々にいきなり大分の10番でこの日の勝利の立役者、藤本憲明にフリーでシュートを打たれる決定機を与えてしまうし──このときはクォン・スンテのビッグ・セーブで難なきを得た──その後の失点の場面では大分のワンツーの基点をつぶし損なっている(まぁ、あの場面は大分の連携が見事だったけど)。
 決勝点となった2点目もチョンがバウンド・ボールの扱いをミスってオナイウ阿道の突破を許したところからだ。将来の日本代表候補と期待している町田をベンチに置いておいて、即戦力の韓国人DFがアマチュアみたいなミスを連発するのを見せられたんではたまったもんじゃない。どうせ負けるならば、そのぶん町田の経験値を上積みしたかったよ……。
 選手交替の3人、安部→土居、遠藤→山口、永木→レアンドロがすべて負け越してからってのも後手に回った感がある。レアンドロなんて89分からの出場だ。そんなわずかな時間でなにをしろってんだ。レアンドロだってそんな時間からの出場じゃモチベーションがあがらないだろう。意味がわからない。
 大分は6年ぶりのJ1とのことで、元湘南の高山薫と途中出場のオナイウ阿道くらいしか知っている選手がいなかった。あと、話題性があるのはタイ人のティティパンという選手くらいだろう。監督の片野坂という人のことはどこかで見た気がするんだけれど、どんな人だかまったく記憶にない。いずれにせよ、印象的には今年の残留争い候補ナンバーワンでしょう。優勝を狙おうってクラブがそんなところにコロっと負けちゃいかんだろう。
 殊勲の2ゴールで大分を勝利に導いたFWの藤本は、この日のゴールでJ1、J2、J3、JFLと、すべてのカテゴリーで開幕ゴールを記録したことになるんだそうだ。29歳だそうだから、決して若くはない。要するにレスターで岡崎の同僚のバーディみたいな叩き上げ? Jリーグにもそういう選手が出てくるってのはいいなって思った。まぁ、これが鹿島戦じゃなければ、なおよかったんだけれど。
 鹿島の1点は後半早々にセットプレーから犬飼が高さで勝って落としたボールを伊藤翔が押し込んだもの。伊藤はACLにつづいて2試合連続のゴールで、その存在意義を大いに高めてみせた。あそこで後半の早い時間に同点に追いついた時点で負けはないかと思ったんだけれどなぁ……。
 でもまぁ、J2あがりのクラブに打ち負けて、セットプレーからの1点どまりじゃ駄目だよな。なんとも恥ずかしい敗戦でした。なんでオーストラリア・リーグ2位に快勝しておいて、去年J2だったチームに負けるかなぁ。これだからJリーグは難しい。
 唯一の救いはディフェンディング・チャンピオンの川崎がFC東京とスコアレス・ドローに終わっていること。今年の川崎にはあまり差をつけられたくないので、あちらも開幕戦で勝ち点1に終わっているのはせめてもの救いだった。
 でも次の試合の相手はその川崎なんだよなぁ。まったく勝てる気がしない。
(Feb. 24, 2019)