横浜F・マリノス2-3鹿島アントラーズ
J1・第31節/2020年11月3日(火)/日産スタジアム/DAZN
前節の名古屋につづいて、今節は勝ち点1の差で鹿島のひとつ下の7位につけているF・マリノスとの対戦。本当は十二月に予定されていた第31節がACLの都合で前倒しになったもの。スタメンは沖、小泉、犬飼、町田、永戸、永木、レオ・シルバ、荒木、エヴェラウド、土居、綺世の11人だった。
前節レッドカードをもらったファン・アラーノと、足を傷めた和泉が欠場ということで、こういう顔ぶれになった。和泉は予想外に重傷で、全治一ヵ月くらいかかるらしいから、今季はもうほぼ出番なしかもしれない。結局ほとんどいいところを見せてくれないまま終わっちゃいそうで残念。
――とはいっても、でもそのおかげでスタメンのチャンスを得た上田綺世が素晴らしいゴールで逆転劇の狼煙をあげてくれたのだから、結果オーライ。というか、和泉には悪いけれど、個人的には彼よりも綺世に対する期待値のほうが大きいので、これから綺世の出番が多くなりそうなのはまさに怪我の功名。もう優勝はないけれど(前節の負けで川崎に追いつけないことが確定していた)、ここからシーズン終了までの楽しみがちょっとだけ増えた。
横浜は仲川がなぜか不在(怪我?)で、あとGKの朴一圭が在日韓国人のため外国人枠に引っかかってACLに出られないからという理由で、鳥栖の高丘という人とJリーグでは珍しい交換トレードになっていた。ということでこの日のGKはマリノスにやってきたばかりの高丘。
試合は前半のうちに2点を先行される苦しい展開。1点目はこの日がひさびさのスタメンだという水沼で、2点目はエリキ。水沼のゴールは左サイドからのクロスに点であわせた技ありの1点。マークについた永戸と競り合いながらの得点だったので、最初は永戸のオウン・ゴールじゃないかと思ったくらいのきわどさだった。
エリキのゴールはカウンターから。最初のピンチは止めたのだけれど、そのあとジュニオール・サントスに渡ったボールをレオ・シルバがブロックしたところ、そのこぼれ球がゴール前に攻め込んでフリーになっていたエリキに渡ってしまった。さすがにあそこでブラジル人にボールを持たれたら止めらんない。アンラッキーな失点でした。
ということで、前半30分足らずで2失点という厳しい試合内容だったけれど、でもそこまでにも鹿島はサイド攻撃を中心にかなり分厚い攻撃を仕掛けられていたので、前半のうちに1点でも返せればどうにかなるんじゃないかと思っていたら、その期待に応えてくれたのが上田綺世だった。土居がDFラインの裏へと蹴り込んだボールに反応して、ジャンプしながらつま先でボールをトラップすると、そこから右足を一閃。思わず声が出てしまうほどのゴラッソを決めてみせてくれた。綺世うまいっ!
これで形勢逆転。後半の頭から出来がいまいちだった荒木をさげて遠藤を入れ、途中で永木を三竿に入れ替えてからは、もう押せ押せ。中盤でのボール奪取がさらに顕著になり、やがてエヴェラウドに同点弾が生まれる。こちらのロングボールを相手DFがトラップしたところを横からかっさらったエヴェラウドが個人技を爆発させ、鮮烈なスーパーゴールをたたき込んでみせた。エヴェラウド、すっげー。
この同点ゴールのあと、ザーゴは土居、小泉をさげて、伊藤翔と特別指定選手の常本佳吾を投入。その伊藤翔のアシストから遠藤の決勝点が生まれたのだから、ザーゴ采配ずばりだ。いやー、伊藤の柔らかいアシストも遠藤のダイレクト・ボレーも素晴らしかった。この日の3ゴールはどれもほんと絶品だった。いいもん見せてもらいました。
これがJリーグ・デビューの現役明大生、常本もちゃんと戦力となっていた。まだ線はちょっと細い感じだけれど、この子はなかなか期待できそうだ。永戸もこの日はセットプレーをほぼすべてひとりで任されていて存在感抜群。これまででいちばんの好印象だった。そんな両サイドがしっかりと機能していたからこその怒涛の逆転劇でしょう。昨年度王者を相手に序盤の劣勢を跳ね返しての逆転勝利はとても価値がある。
鹿島はこの白星でついにFC東京を追い越して5位に昇格。これより上のクラブはどこも試合数が少ないので、ここから順位を上げるのは簡単ではないと思うけれど、でも残り6試合もあれば、まだまだ波乱はあり得る。ACL出場権をかけての残り6試合、いい試合を期待しているぜぃ。
さぁ、ということで次節はいよいよ川崎戦! どんなに強いのか、その実力を見せてもらおうじゃないか。
(Nov. 03, 2020)